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第86話 神鳥来訪したので土地改造します

『……出てきましたね。神龍』


『……神鳥か。この空島に、何の用で来たのだ』


『私が棲んでいた火山が、跡形もなく崩れ落ちて、

今ではただのマグマ貯まりになっているのですが、どういうつもりなのですか』


『……いや。それは……済まないと思う。

しかし、私の一部が火山の中にあったものでな』


『……アレは、火龍が運んできたものです。

何故外に持ち出してから融合しなかったのですか』


『……いや、私も、分裂するのは初めてのことでな。

融合していく度に、元の体格に近付くとは分かってはいたのだが、

まさか急に山に近しい大きさになるとは思わなくてな……』


『……つまり、あなたの過失ということですね?』


『……う、それは……』


「はいはい、ストップストップー」



 手をパンパンと叩いて、魔王が注目を集めた。


 魔王の姿を瞳に納めた神鳥は、驚いた表情を浮かべた。



『……魔王ですね。あなた、何故ここに……』


「クック。それはね、ここの主とは仲良しだからだねー?」



 魔王がニヤニヤしながら俺を一瞥した。ウザイなその顔。



『……はぁ。……まあ魔王はどうでもいいです。

私の住処を壊した落とし前を付けてください』


『それじゃ、この島に火山でも作るか?』



 アスは神鳥に提案した。神鳥は初めてアスを視界に納め、

 首を傾げて問い返した。



『あなたは?始めて見る種族ですね……』



 すると、アスは急に頭上から熱湯を被った。



『アッツーーーーッ!!?』


『ふむ。種族は"ドラグーン"。龍馬系。闇属性の龍の能力を持つ馬』


『……なッ……』


『ああ、失礼しました。これは"盟神探湯"というスキルです。

魔力を込めた熱湯を浴びせ、浴びた相手の能力を把握することができます』


『アツツ……メチャメチャなことをするなあおい!』


「大丈夫かー?」



 魔王が水魔法で身体に水をかけてくれた。

 つ、冷たくて気持ちいいなぁ……。隣でシャングリラがギョッとしてるけど。



『さて、あなた。アスという方ですね?

私は神鳥"フェニックス"。魔王や神龍と共にいるということ、

あなたの中にある魔力……から見て、神獣については把握しているようですね?』


『あ、ああ……』


『……では、火山を作ると言いましたが、どう作るおつもりですか?』


『ああ……それは、コレを使うんだよ』



 アスの言葉と同時に、空島の地下施設がある地点の土地が真っ二つに割れた。



【マザーコンピュータ。発進します。

 危険ですので、発進地点から離れてください】



 そんなコールと共に地響きが発生し、亀裂の中からウィズダムが現れた。



『……何なのだこれは』



 フラードは呆けた様子で呟いた。確かにウィズダムが

 こういう風に発進できると知ったのは、

 俺も最近のことだから、仕方ないだろうが。



『空島管理権限ヲ行使シ、土地ノ変形ヲ開始シマス』


『おい魔王、仕事だぞ』


「……なるほど……随分と魔王使いの荒い馬だ」


「うるせえ」


『何でアイツは魔王を顎で使えるんだ……?』


『さあ……』



 ヒヒイロカネとダマスカスが何か言っているがスルー。


 魔王はというと、ウィズダムに魔力を流している。

 凄まじい勢いで魔力が減っていき、あっと言う間に魔力が無くなった。



「……ちょ、ちょっと……待って……これ、どんだけ魔力使うの?」


『ま、魔王様、大丈夫ですか!?』



 龍形態に戻ったシャングリラが魔王の心配をしていたが、

 同様に魔力を使いつくして倒れた。

 


『……五百万くらいはいるんじゃないか?』


「いや無理だから」


『まさか魔王ともあろうものが自分で結んだ約束を違えるつもりか?』


「……いやまって、こんな急に大量の魔力がいるとは思わなくて」


『仕方ねえな、今回は残りは貯蓄分の

魔力で賄ってやるよ。利子付きの貸しだからな』


「……高利貸しの、予感……トホホ……」



 魔王が何か言っているが、やはりスルー。

 ウィズダムには、ここ数ヶ月で貯まった魔力を全て使わせる。

 というか、それで何とかギリギリ足りるくらいだった。


 程なくして、島の後方で山がみるみる隆起し、

 ついには爆発して火を噴き上げた。



『個体、飛龍レッカ、魔鉱龍ヒヒイロカネノデータヲ参考ニ

火山ヲ作成シマシタ。マタ、ソノ付近ノ湖ノ地下ニ鍾乳洞ヲ作成シマシタ』 


『『俺達のデータ?』』


『空島に長期間いると、過去の記憶とかそういうのが

ウィズダムに魔力と一緒に情報として回収されるんだよ。

だから、あの火山は二匹の記憶や情報を元に再現した火山だな』


『……驚きましたね。まさか、土地を生み出す方向で変化させるとは』


『地下の鍾乳洞って、聞こえたけど、もしかして……』


『ああ、そっちはグレッシャーとミスリルの情報から作った、

魔鉱龍オリハルコンがいる洞窟の再現だ』


『!やった!オリハルコンさん喜ぶよー!グレッシャーもきっと!』


『ああ』



 グレッシャースライムは、ダメージは受けていたものの、

 スライムであるため槍に貫かれても致命傷とまではならなかったらしい。


 今は療養中ということで、アダマンタイト親子たちの相手をしに行った。


 ……ジェネラルアントの供養も、早めにしないとな……。


 そう思考が逸れた時、目の前に神鳥が舞い降りてきた。 



『……魔力を、破壊の形で使う者はごまんと見てきました。

……しかし、こうして、生命を育む創造の形を、これほどの規模で

使った者は始めて見ました』


『お、おう……』


『神龍や、魔王が興味を持つ理由も、何となく分かる気がします』



 神鳥はそう言って、微笑みを浮かべ、翼を俺の頭に置いた。


 燃えているにも関わらず、焼けることはなく、じんわりと暖かいだけだった。

 神鳥が翼を退けると、そこには一つの羽根があった。

 


『ふふ。それは差し上げます。これから世話になりますよ。あの火山だけですが』



 そう言って、神鳥は飛び去っていった。

 残された羽根は、光り輝いており、存在感を放っていた。


 まあ、"鑑定"した方が早いので、鑑定を使ってみた。



「不死鳥の羽根」

 不死鳥と謳われる神鳥"フェニックス"が認めた者に授ける聖なる羽根。

 その羽根を身体に当てることで傷や病を癒し、呪い等も解呪できる。



『……つまり、怪我や病気に呪いにまで使える、万病薬みたいなもんなのか』


「……フェニックスに好かれるなんて、

大したもんだね?あの子結構気難しいんだよ?」


『お前よりはマシだと思うが』



 魔王が起き上がりながら、声をかけてきた。

 魔力はもう七割は回復しているようだ。回復速度が尋常じゃないな……。

 これじゃ、折角の貸しがすぐに返されるかもしれないな……。



「ま、世界樹の葉と違って、身体欠損は治せないけどね、それ」


『……あくまでも自然治癒で解決できる範囲の傷だけってことか』



 "HP自動回復"のスキルも、物凄く時間をかければ身体の欠損も

 修復できなくもないらしいが、余りに欠損が酷いと無理らしい。

 精々、治せても人間の部位で言えば指ぐらいまでだという。


 まあ、欠損が酷いってそれ実質死んでるだろうし、あまり関係ないだろう。


 不死鳥の羽根を近くにいたキラーアントに渡して、しまってもらう。

 雑用を押し付けるようで悪いけど、

 渡されたキラーアントは嬉しそうに羽根を受け取って移動していった。


 さて、神鳥の抗議はこれで一応解決っぽいし、

 魔鉱龍オリハルコンを迎える準備も出来た。後は……。



『……クイーンアントに土下座かなぁ……』


 

 キラーアントの巣の出入り口を見ながら、俺は遠い目で呟いたのだった……。


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