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第81話 凶馬

平成最後の投稿になります!明日からは新元号の令和ですね!


令和になってもちょこちょこと更新していくつもりなので、

暇のある時にでも軽く見てやってくださると幸いです。

「……グオ……ォ……ッ」



 魔力を搾り尽くすように吐き出した息吹を出し切った、

 異形のソレは、ゆっくりと、力尽きる様に倒れた。



『……ぬ、ぅ……終わった……か……?』



 尻尾で頭部を覆い、防御態勢を取っていたフラードは、

 防御を解き……そして、辺りを見渡して……言葉を失った。


 何処を見ても、あるのは、瓦礫と死体ばかりだったのだ。


 死体、瓦礫。シタイ、がれき。したい、ガレキ……。


 最悪の予感を感じ、フラードは感情を失いかけた。

 しかし、かすかに"魔力感知"に、反応を感じた。



『……あれ……は……』 



 その方向を向けば……。



『……これは……どういう……こと……なの……?』



 闇魔法"吸魔"を広範囲に展開し、一ヶ所に固まっていた

 龍達や、昆虫族達を、破滅的な威力を持った息吹から護っていたモノがいた。



『……クロ……!』



 神龍は、初めて……心の底から、黒き神馬に感謝の念を抱いた。



『……一応、俺も、いるんだけど』



 同じように"吸魔"が使える、ダマスカスが

 グレッシャースライムをかばいながら、ポツリと呟いた。


 フラードは、龍達が全て無事だったことに、安堵したが……。



『キラーアント達も……バトルビートル達も……

殆どが死に絶えた……。ロボットも、ほぼ全壊したか……』



 その犠牲の多さは、戦果に見合ったもの、だったのだろうか……?


 無数の死体を眺めながら、建物が無くなったことで、

 風がよく通るようになった帝都に、風が吹きすさんだ。



『……ッ……!』



 風に撫でられたことで、フラードは初めて自身の身体に痛みを覚えた。


 痛みがする、尾の方を見れば……。



『……これほどまで、とは……』



 尾を覆っていた鱗は消し飛び、肉が剥き出しになっていた。

 尾の大部分が焼け爛れ、血が滲んでいた。



『……あの時以来だ、な。……ここまでの傷を負ったのは』



 既に、傷を再生しようと蠢く尾を眺めながら、

 かつての勇者(クソヤロウ)を思い出し……。



『…………』



 これほどの攻撃を、してみせた、アスに対して、

 勇者の時に似た焦燥感を、フラードは覚えた。



 ************



『……なるほど……。……そういう……こと……なのね……』


『……ああ』



 未だ倒れて動かないアスを監視しながら、

 フラードは後からやって来たクロに事情を伝えた。



『……魔力の質が……大きく……変わった。

以前の……アスとは……違う……と、見るべき……』


『……うむ。……これほど、禍々しい魔力は……殆ど感じたことがない』



 フラードは、腫れ物に触るように、その眼でアスを見つめた。

 見たくもないのに、その眼にはアスの能力が鑑定(みえ)る。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

名前:アス

種族:ドラグーン

系統:龍馬系

状態:魔力欠乏

LV :47/85 

HP :61106+14233/75339

MP :43+14233/75262

攻撃力:51997+11386

防御力:54803+12807

魔法力:59655+12807

魔防力:55154+11386

素早さ:74558+14797 

ランク:S

攻撃系スキル

「全力攻撃:LV3」「突進:LV3」「蹴撃技:LV3」

魔法系スキル

「水魔法:LV6」「雷魔法:LV6」「風魔法:LV6」「闇魔法:LV6」

技能系スキル

「鑑定:LV5」「魔力感知:LV7」「魔力操作:LV7」「暗視:LV2」

「気合法」「竜闘法」「HP自動回復:LV6」「MP自動回復:LV6」

「威圧」「指揮:LV3」「統率:LV3」「連携:LV2」

「バーサーク」「飛行:LV7」「韋駄天:LV5」

耐性系スキル

「水耐性:LV6」「雷耐性:LV6」「風耐性:LV6」「闇耐性:LV6」

「苦痛耐性:LV3」

ユニークスキル

「呪龍眼」「竜麟:LV10」「龍麟:LV2」「息吹」

「付与:鑑定遮断」

称号

「転生者」「神馬」「凶馬」「突然変異」

「神龍の盟友」「竜殺し」「下剋上」「生還者」

「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「昆虫殺し」「昆虫駆除のプロ」

「総大将」「統率者」「指揮官」「率いる者」

「狙撃手」「人族殺し」「人族の殺戮者」「機械ブレイカー」

「機械クラッシャー」「空島の主」「災害」「覇者」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 …………。……凶馬……か……。



『……グル……アスは、無事なのか?』



 レッカは、緊張した表情でフラードに尋ねた。



『……分からない……』



 フラードは、ただそう答えることしかできなかった。



『おーい!』



 そんな中、やたらと呑気な声が響く。



『みんなー!りゅーおー?ってのの、そうちを、たべてきたよー!』



 それは、オレンジ色の浮遊するスライムのような何か。

 ミカンだった。


 ミカンは、アスの指示によって、直接戦闘には参加せず、

 帝都の地下を進み、アス達が暴れたおかげですっかり手薄になっていた

 地下を単身で制圧。龍王を縛り付けている装置の除去をしていたのである。


 アスの暴走により、皆すっかり頭から抜けていたが、

 元々は龍王を解放しに来たのだったな。と少し表情を明るくした。



『……龍王の装置を……!そうか……ミカン、よくやってくれた……』


『えへ!がんばった!ミカンえらい?』


『うん……えらいね……』



 皆から褒められたミカンは、嬉しそうにふわふわしている。


 そして、気を失っている、アスに気付いた。



『かっこいーなー。おうまさん』


『……そうなの、か……?』


『さあ……』



 体色はすっかり赤黒く、血のような色になり……体毛は一転して、

 不気味なほどに白くなったアス。


 ペガサスの頃にあった美しい翼も、今は龍のような

 ゴツゴツとした物々しいものとなっていた。


 僅かに、翼の上部には、かつての名残なのだろうか、

 蒼い羽毛が見える。そんな歪な姿をした、龍とも天馬ともつかぬ、

 異形の龍馬(アス)をかっこいいと言い出す、ミカン。


 ミカンの感性は、誰にも理解されなかったのであった。



『……そうだ、龍王は、どうだ?ミカン』



 話題を逸らそうと、闇龍クライは話題を振った。


 クライにしては空気を読んだな。とレッカは思った。



『んーっとね……まりょくをうしなってて……そのせいかなー?

からだも、あんまりじったいがないみたいー?』


『実体がない?……精霊、のようになっている、ということか?』



 フラードは、ミカンの説明に頭を捻った。

 そんな時だった。



「……グ、グル……ル……」


「「「「「……!」」」」」


 

 アスが、目を覚ました。

 思わず全員が身構え、アスの様子を注視した。


 鑑定(視れ)ば、魔力は半分くらいまでに回復している。



『……ウ……ググ……グ…………こ、こは……』



 アスは、その身体を起き上がらせ、辺りを見渡した。


 左眼の、呪龍眼が赤黒く光を灯し、一匹一匹を見つめた。


 背筋も凍るような、恐怖を感じる視線。

 一体どうしたら、そんな眼を宿らせることになるのか?


 龍達は思わずそう思い、たまらず視線から顔を逸らした。



『……ふーん。都は滅んだのか。フラードがやったのか?』


『……い、いや……私では、ない。……覚えていない、のか?』


『…………さて、何か、あったのか?』


『……え……?』



 何か、おかしい。会話が微妙に噛み合わない……?



『ア、アスよ。我々は何しにここへ来た?』


『え?人間を殺すためじゃないか。何を言っているんだ?』


『…………?……お前は本当に、アス、なのか?』


『……何を言ってるんだフラード。冗談きついぞ?』



 アスは、ヤレヤレ困ったと言わんばかりの口調で答えた。


 ……おかしい、アスは、そんな奴ではない。


 ……そんな、無情な者では、ない……。はず……だ……。



『アス……私達は……龍王。龍王ドラギエナを救いに、来たんだ……ぞ……?』


『……龍王?……ああ、いたな、そんな奴……』



 その言葉には、龍達、どころか、昆虫達も絶句した。



『……ふむ。龍王は、長年に渡って魔力を奪われたために……。

……なるほど、半霊体になっているのか』


『……アス…………?』


『何だ?何か用か?』



 アスは、赤黒く光る左眼を向けながら返事をした。


 ……いや、待て……。

 何故、開いているだけでも、苦痛を伴う呪龍眼を開けて……

 そんなに、平然としている……?


 そしてフラードは、ハッとした。


 神龍眼を、目を凝らして。アスの魂の形を、色を視た。



『…………ッ……!』



 フラードは、自分が視えたものが、信じられなかった。


 アスの魂に、呪龍眼から放たれる呪力が、深部までへばりついていたのだ。

 その上呪力は、その上でアスの魂が……私の一部も含めて持つ、

 神力をまるで、防護膜のように覆わせていた。


 ……これでは、まるで……異常を起こした

 細胞に侵された、病人と同じではないか。 



『……ク……ロ……』


『……うん……』


『何だァ?お前……俺に、文句があるって顔だぜ……?』



 フラードは、クロと、共に構えた。



『……お前達、ここから、離れるぞ……!』


『えっ……ええッ!?』


『俺達はいても、最早邪魔になるだけだッ!!』



 レッカ達は、急いでフラード達から距離を取り出す。



『おい?どこへ行くんだ?』


『うがッ!?』


『ぐゥッ!?』


『な、何ですか、コレは……!?』


『身体が、重……い……!?』


『……ぬ、ぬう……!』



 フラードは、その眼で何が起こったのかを視た。

 ……アスの、付与(エンチャント)で与えられたスキルが、"重力操作"に代わっている……。


 これで、私達にかかる……重力を、大きくして……!


 バキバキと、身体が地面へと沈み込んでいく。


 ま、不味い……迂闊に動けば、地面が崩れて……まともに、動けなく……!



『……ッ!』



 ……これは……!


 そして、フラード達の身体が地面に完全に沈んだ瞬間だった。


 大地から、間欠泉のように。


 光の塔が、大きく放たれた……。


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