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第72話 動き出す者達

総合ポイント300超えありがとうございます!


ちまちまとした更新速度ですが、

たまの楽しみにでもなっていれば幸いです。

 時は少し遡る。



「グルルゥッッ!!?」



 一匹の竜が、驚きながら辺りを振り向いた。


 そして、彼方から、ある魔力を感じた。



「……どうした?レンゲ」


「……グ、ルル……」



 竜の主である人間……魔物使いの男が、

 地竜レンゲの顔を覗き込んだ。



「……うん?」



 ドガシャーンッ!と、全身に鉄の皮膚を持つワイバーンが

 魔物使いとレンゲの前に落下してきた。



「…………気絶している」



 メタルワイバーンと呼ばれる、世間一般では

 Bランクとされる、かなり強い魔物だ。



「この顔は、強い恐怖や怯え、恐れの表情だな。

レンゲ、お前は何かわかるか?」



 しかし、この魔物使いの男は冷静にメタルワイバーンの

 状態を分析していた。レンゲはそんな

 主の相変わらずな所に少し落ち着きを取り戻す。



「グルル……」



 レンゲは明後日の方向を向いた。その方向には、

 メタルワイバーンが気絶する原因があった。


 自分とは文字通り、天と地ほどの差があるとしか、

 言いようのないほどの同種の魔力を感じ取っていたのだ。


 遥か遠くからであるにも関わらず、メタルワイバーンは気絶し、

 レンゲは身震いするほどの魔力を。



「……グル」



 レンゲは、それほどの魔力を向けられた相手が、

 自身や主でないことに安堵するのだった。



「!」



 同時刻、眠っていた一匹の魔物がビクリと起き上がった。



「あら?スラちゃん。どうしたの?」



 その魔物を"スラちゃん"と呼ぶ、女性は不思議そうに

 その魔物の様子を見ている。



(このまりょくはー……どらごんさん……?……すっごーい……!)



 その魔物は、かつては普通のスライムだった。

 人間に飼われている、という点を除けば。


 しかし、ある日隠遁したある存在から、奇麗な蒼い鱗を授かった。

 するとどうしたことか、スライムはその日以降、気付けば龍の力を得ていた。


 ご主人が大好きなスライムは、あの存在が弱い自分に

 ご主人を守るための力を与えてくれたのだと思った。



(どらごんさん……おうえんしてる!……がんばってー!)



 だから、スライムにとっては、

 ご主人に負けないくらい……あの龍が大好きだ。 



 そこからさらに数日、時間を進めよう。


 ここは、ある内密に行われた謁見場。


 数人の男女と、絢爛な椅子に座する男がいる。



「君達を呼んだのは他でもない。

此度辺境都市"ハミダシ"で起こった痛ましい事件についてだ」



 その一言の後、男は隣に控えていた文官に説明を任せた。



「既に知っている者も多いと思うが、アルノス辺境伯が

治めていた辺境都市が壊滅的な被害を受けた。

その原因は、当時発生していた魔物暴走(スタンピード)……

ではなく、その後突如現れた二頭の龍によるものらしい」



 男女の顔に緊張の色が走る。しかしそれも仕方のない事であろう。

 龍とは、それほどまでに強大な存在だからだ。


 高い戦闘力、魔力を持ち、人間以上の知能を誇り、長き時を生き永らえる。

 その強さは魔物のランクでは最低でも、Sランク。

 その上、上位の個体はSSランクにすら届くという。


 C~Aランクまでしかいない、竜とは訳が違うのだ。



「報告によると、二頭の龍のうち片方は、Sランクの"魔鉱龍アダマンタイト"。

これは辺境の廃鉱山に生息している個体だと考えられる。そして……」


「そして?」



 男が、思わず聞き返す。文官は顔を歪ませながら答える。



「もう一体は……正体不明の、複数の首を持つ龍……だそうだ。 

鑑定石による鑑定も通じず、どういう龍なのかは何も分からないらしい……」


「……"鑑定遮断"を持っているのか……厄介な……」



 男はそう呟いた。鑑定遮断は、文字通り

 "鑑定"のスキルによる情報収集を無効化するスキルだ。

 

 ただし、ユニークスキルという希少なスキルで、

 人間はおろか魔物でも所持している個体はそう多くはない。

 そもそもユニークスキルを持っている時点で、かなり強力な魔物なのだ。



「……考えたくはないが、まさか……SSランクじゃ、ないよな……」


「もしそうだとすれば、いくら私達でも手出しは難しいですね」


「……それより、都市はどうなったんだ?龍二頭に襲われて無事とは思えんが」


「都市は壊滅しましたが、龍二頭はその後急に消えた……と聞いています。

なぜ消えたのか……については、周囲には膨大な魔力の残滓が残ったせいか

魔物が発生し、調査もままならない状態なのですが……」



 文官の男が説明しながらも、溜息を吐いた。



「……彼らの力を、借りなければならないのかもしれんな」


「国王様……」


「いくら、Sランク冒険者といえども、Sランク以上の魔物複数を相手取れ、

というのは、死にに行けというのに等しいだろう」


「……それは、そうかも、しれませんが……」


「もうよい。私の腹は決まった。借りを作るのは癪ではあるが……。

聖王国に使いを出せ。辺境の調査のために……とな」


「……ハッ」


「お前達も、下がって構わぬ」


「分かりました」



 男達が、部屋を後にする。一人残り、椅子に座していた男……国王は呟いた。



「……"勇者"……の力が、必要になり得る……か」



 その頃、空島では……。



『……レッカ……!レッカ……なのか……!?』


『オロチ様……おお、よくぞ……ご無事で!』



 二頭の龍が涙を流して、お互いの名を呼び合っている。



『感動的だな』


『そう……なの?』


『だって、何百年も生死不明の仲間に会えたんだぞ?感動もひとしおだろ』


『……わからない。……生まれて一年も……経ってない……し』


『……あ……そう……。……いや、俺も同じようなもんだけど』



 ともかくアスは、二頭の龍が落ち着くのを待ってから、改めて

 クロや、ミスリル等を集めて話し合っていた。



『あれは今からおよそ七百年前のこと……龍の谷にて神龍が倒れ、

仲間が散り散りになり……俺のように力ある龍は

砕けた神龍の力の破片を守りながら各地に潜伏していたのだ……が、

まさかリンコウやアキレアがアンデットとなっていたとは……』


『……仕方あるまい』



 リンコウは、光龍リンコウ……空島で出会った死霊龍。

 アキレアは、地龍アキレア……主にミカンが戦った死霊龍のことらしい。


 リンコウ、アキレアはレッカと同じで

 ヤマタノオロチと接点の深い龍だったそうだ。



『リンコウやアキレアが死していたことは残念だ……。

だが、まだ"海龍アビス"と"闇龍クライ"は存命だ。

二匹は協力してオロチの欠片を守っている』


『……なんと』


『それに……"龍王ドラギエナ"様も、まだどこかで生きているはずだ』


『ドラギエナ?……どっかで聞いたような』


『アス。ドラギエナ大陸……龍の谷がある大陸のことだ。

龍王は代々、大陸の名を受け継ぐのだ』



 フラードが説明を加える。……ああ、そうそう、

 確かに資料にドラギエナ大陸って、あったな。

  

 

『龍王ドラギエナ……口ぶりからするに、どこにいるのか分からないのか?』



 アスの問いに、レッカは苦々しげに頷く。



『じゃ、探すか』


『……捜索は、俺達も何百年も前からしている。

が、見つかってない。簡単には見つけられないと考えるべきだ』



 レッカはアスに忠告するが、気にすることもなくアスは歩む。



『ウィズダム。いけるか?』


『問題アリマセン。検索……絞込ミ……対象ヲ感知。表示シマス』



 魔力で発現した世界地図が表示される。


 そこの大陸の一つ……無数にある青色の点の中……一際青く輝く点がある。



『コレガ"龍王ドラギエナ"ノ反応デス』


『……な、なんだと……!?そんな馬鹿な……いや、ここは……』



 レッカが狼狽しつつも地図を読み取り始める。



『……まさか、ここは……人間の国の……そんな馬鹿な……!』


『どうしたんだ?レッカ。人間の国って……』


『……この位置は、間違いない……。軍事国家"アルベリオン帝国"だ。

……"聖王国"という国を除けば、人間共の最大戦力の……!』



 ……どうやら、今度の相手は、簡単にはいかなさそうだ。

 アスは、そう思うのだった。

 

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