表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/97

第70話 目に頼らない立ち回り

『…………よぉ』


『…………アス、か』


『お加減はいかが?』


『……少し眠い』


『魔力を使い切った反動だよな。

まさか気を失うまで暴れるとは思わなかったが』


『…………すま、ない。……迷惑ばかり、かけたな』


『……気にするな。目の前で……なんだろ?

暴れるなって言う方が酷だろうな』


『…………』


『フラード。俺の左目をちょっと診て欲しい』



 俺は瞑っていた赤黒く光る目を見せる。

 フラードは驚いた様子で左目を見つめている。



『……これは…………何故、そんなことに?』


『……お前の祟神に会った』


『……な……な、何だと……!?』


『手強い相手だった。ほぼ、死んでたからな』


『…………そう……か…………す、まない』


『謝るくらいなら、この目の状態を教えてくれ。

こうやって普通に見ているだけでも痛むんだよ』


『……あぁ。……その目は……呪われた龍眼。

故に"呪龍眼"と呼ばれる……。

魔眼としての力は龍眼を上回るが、常に苦痛を伴う

厄介な代物だ。……その上アスのモノは浄化も難しいな』


『そうなのか?』


『ああ。私の祟神と化した神力が……お前の中にある

私の魂と同化してしまっているのだ……』


『……それって』


『……もしその目を失うと、魂に綻びが生まれる。

無論浄化しても同様だ。その目は、アスの

第二の心臓と言っても過言ではあるまい』


『…………厄介な……』


『こればかりは、私もどうしようも、ない。

…………すまない』


『……いや。仕方ない。そういうもんなんだろ?』


『…………』


『どした?』


『…………あるいはアスの力が、私の力を上回れば、

何かあるかも知れんな……』


『俺の力が?』


『……ああ。アスが、アスの中にある

私の力を超えれば……。…………む?』



 フラードはアスをじっと見つめ……顔を顰めた。



『……な、何だよ?』


『……神馬……』


『……あぁ……それか』


『そうか。合点がいった。どうりで祟神を抑え込めたわけだ』


『……フラード?』


『はっきり言っておくが』



 フラードは強い口調で言った。



『神の名を賜った意味を考えよ。理解しろ。

……その責務をこなせ』


『……』


『そして……その力は、無闇矢鱈に扱うな。

今のアスの弱い力でさえ、

人間の小国の一つや二つ、軽く潰せてしまうのだ』


『……むむ』


『……お前を殺したくはない……』


『……フラード?』


『……神獣として相応しくない者は

消さなければならないのだ』


『……フラード……』


『お前には恩義がある。……いずれ沙汰が来るだろう。

……頼む。私に恩人を害させないでくれ……』



 その声は、とても弱々しかった。



『…………まだ、神獣がどうとか、全然分からないけど。

……フラードは本当に心配性だな』


『な、なんだと?』


『俺だってこんな力、無闇に使うつもりはないよ。

そもそも、まともに扱えてすらいないしな……。

何とか肉体に纏わせるのが限界だし』


『……はぁ』



 フラードはため息を吐いた。



『……分かった。ならば神力の事は信じよう。

……話を戻すぞ。……その眼だが……』


『……』


『……目のない動き、というのをやってみたらどうだ?』


『目のない動き?』


『ああ。アスは戦闘経験が少ない。

特に格上との戦いはさらに少ない。

そしてアスは気付いていないかもしれんが、

基本的な立ち回りが龍眼の動体視力頼りな面がある』


『…………ふむ』


『呪龍眼の負担は、軽減する方法は存在する。

が、すぐには出来ん。なら今は、負担にならないように

目に頼らない戦い方を身に付けるべきだろう』


『……なるほどな』


『その眼は使わない分には負担はないはずだ。

……ただ、使えば使うほど負担が増していく。

出来る限り使わない方が得策なはずだ』


『……そうか……。わかった、やってみよう』


『うむ……』



 目のない立ち回り……か。



 それから少しして……。



『はあ。私で練習相手が務まりますかねー?』


『そういうなよミスリル。神力は使わないさ』


『……分かりましたよ。じゃあ行きますよ?

"アクアバレット"ッ!』


『うっ!』



 慌てて身体を捻り、水弾を躱す。



『……思ったよりも、速く見えるな……』



 地面を蹴って、飛び立つ。っとととッ!!?



『わわわわ!!は、速いはやいッ!?』



 風魔法を発動し、無理矢理その場に静止する。



『……何やってるんですか……』


『……わ、分からん。も、物凄い速度で身体が動いて……』



 ミスリルが呆れ顔をこちらに向けてくる。



『……明らかに、眼を使わないとか、

どころじゃない何かが起こってるな……』


『肉体が成長した、とかですかね?』


『成長……能力……?……あっ!!』



 俺は祟神との戦いの後のことを思い出した。


 あの時、急激にかなりのレベルアップが起きたんだ。

 自身を"鑑定"して、レベルを見る。



『……67……!?』



 余りにも、過剰過ぎる…………。


 どのステータスも、1万以上も上昇している……。



『……俺今、全ステータス3万超えてるわ』


『すてえたす……もしかして身体能力のことですか?

……それ、高いんですか?

私"鑑定"出来ないので分かんないです』


『……多分、素でミスリルと戦える。

"竜闘法"を使えば倒せる』


『…………マジデス?』


『大マジだよ』


『龍と同等以上の強さ……完全に見た目詐欺ですね』


『見た目ペガサスだしなぁ』


『他を当たってくださいよ。私じゃ相手にならないんでしょう?』


『つっても、ヒヒイロカネや

アダマンタイトに頼む訳にもいかねぇだろ。

クロやフラードは強すぎるし、ミカンとかじゃまだ

相手するのは難しいだろうし』



 因みにアダマンタイト一家はキラーアント達に

 連れられ空島観光に行っている。


 子供とも触れ合えるし、少しくらいは

 心の慰めになるかもしれないしな。



『一応言っておきますがー……

私そんなに都合のいい女じゃありませんよ?』


『……仕方ない。なんとかするか……』


『あ!そうだ!』


『ん?どうかしたのか?』


『洞窟!洞窟を作ってください!』


『へ?洞窟……?』


『はい。オリハルコンさんが棲んでた洞窟、

凄く居心地が良かったんですよ』


『確かに、マロ』


『うお、グレッシャーか。いつの間に』


『それでですねー、オリハルコンさんの棲んでた洞窟

みたいなのを作れたら、オリハルコンさんも空島に

来てみたいと言ってたんです!』


『ああ、なるほど……ウィズダムの言っていた

条件次第って、そういう事か……』


『……まあ。私も住みたいから、何ですけどね』



 ミスリルはボソリと呟いた。聞こえてるからな。



『分かった。ウィズダムに聞いてみよう』


『わあ!ありがとうございますー!

洞窟が出来たあかつきにはお姉さんいっぱい撫でちゃう!』


『お前に撫でられたら身体が潰れるわッ!!』


『……プッ』



 グレッシャーが何かを吐き出した。


 カラカラと音を立てて、石や半透明の金属が出てくる。



『洞窟の土や石、ソレからオリハルコンマロ。

何かに使えそうだから持って来ておいたマロ』


『い、いつの間に……?』


『アホのお前らが呑気に食っちゃっべってた間マロ』



 グレッシャーが機嫌悪そうに答えた。



『グレッシャー、ありがとな。じゃあこれらは預かるぞ』



 風を起こしてオリハルコンや石を持ち上げる。

 ……オリハルコン、めっちゃ軽いな。



『……さてと。洞窟のことはまた改めて報告するよ』


『はい。楽しみにしてまーす!』


『マロ』



 その時だった。



『あァーーーーッ!!し、しまったァァァァ!!』



 ヒヒイロカネが焦った様子で大声を叫びながら

 バタバタと動き回っている。



『一体どうしたんだ、ヒヒイロカネ』


『おお!お前か!すまん!すぐに火山に戻してくれ!』


『へっ?』


『このままだと俺、おっさんに滅茶苦茶怒られちまうよ!』


『お、おっさん……?』



 結局俺は話が飲み込めないまま

 ヒヒイロカネにまくし立てられ、慌てて

 ウィズダムの転移を実行するのだった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ