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第67話 神力と呪い

『…………ぅ……ぐ』



 目が、醒めた……。が……思うように、身体を、動かせない。


 痛みはない。神経が、麻痺しているのかもしれない。



「……」



 フラードモドキ……いや……フラードの、怨念……か。


 なる、ほど。実体はなく、魔力が、変質し、た存在。

 所謂、魔力生命体……。


 どこから、ともなく。一枚。大きな緑の葉が落ちてきた。


 その葉からは、ただならぬ魔力を感じ取れる。


 アスは、その葉を知っている。


 死の淵からでも、たちまち回復してしまう奇跡の葉。


 "世界樹の葉"だ。



「……!」



 フラードモドキが世界樹の葉を認識し、

 その時初めて、魔力に、僅かな乱れが生じた。


 俺は、その波長を感じ取った。それは……驚き。


 それと同時に、フラードモドキが火炎ブレスを、

 世界樹の葉へと放った。



『……さ、せる……かよ……』



 水魔法で、水球を創り出し、それで世界樹の葉を包み込む。


 今の俺の身体では、魔力を上手く、練れない。

 これが、限界、だ。


 あっという間に水球が弾けて、蒸発していく。



『……す、ごい、な』



 世界樹の葉は、燃えることは無かった。


 世界樹の葉は、神力を含んだ、植物。

 その強靭な生命力が、龍の炎をも、耐えたのだ。


 風魔法。……そよ風を、創る……程度……。


 生命尽きようとしている。俺に……もう、少し……。


 ……もう少し、人生を、続け、させてくれ。


 ……世界樹の葉を、噛みちぎった。



『……ゥグッ!?』



 身体中から、骨が鳴る音が響き、全身が痙攣を起こす。


 痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!…………。



『……ァッ……』


『…………?』



 遥か遠くから、微かに魔力を感じた。


 その微量な魔力でさえ、俺は敏感に反応した。


 ……フラードが……泣いている……?


 痛みが、醒めていく。……。不思議な感覚だ。


 ……冷静になってきた。……身体が、

 再生しようとした反動で苦痛を発していた。が。



『…………悲しいな。……竜を救えなかったのか……』



 遥か遠くから、ハッキリと、ビリビリと魔力を感じた。


 ……フラードの全力。初めて感じたよ。


 …………本当に、勝てる気がしないぜ。



『……これ以上、龍族が死ぬ訳には行かないだろ?

……なぁ、フラード……』



 バキ、バキと骨が鳴り、身体が再生していく。


 鎖が砕けるかのような、縛られていた力を解き放つように。


 身体から、妙な感覚を感じる。……。


 何だろうな。自分の身体の知らなかった

 部分を、理解したような。


 フラードモドキが、飛びかかった。



『ふッ』



 ガキィン!と、金属音のような音を立てて

 右翼をフラードモドキに叩き付ける。カウンターだ。


 その翼には、かつて見た、黄金の光が宿っていた。



『攻撃が通じた!……これが、"神力"……?』



 叩き飛ばされたフラードモドキに目を向けつつ、

 その感覚を確かめながら、世界樹の葉を食べ切る。



『……ふう。世界樹の葉の治癒作用の根源は……神力だ。

神力を取り込む事で、俺の肉体や魂が、呼応した。

……今は、とりあえず、そういうことにしておくか』


「……」


『悪いな、フラード……。この力……。

まともにコントロール出来そうにない』



 全身から、光がムチのように伸び、

 勝手に、縦横無尽に飛び出す。



「……!」


『……龍眼……』



 魔力が急激に減っていく。


 それと同時に、左眼に映像が映り込む。


 三……。



『"竜闘法"ッ!』



 竜の力を纏い、跳躍する。

 フラードモドキの魔力がまとわりつき、

 不快度が増したが、気合いで耐える!


 二……。



 光のムチがフラードモドキを絡め取らんと迫り来る。



「……ッ!」



 一……!



「ガァァァッ!!」



 膨大な量の炎が一気に、薙ぎ払う様に放出される。


 フラードモドキの"息吹"によって光のムチが掻き消される。



『ここだァッ!!』



 先んじて空中に跳躍し、息吹を躱したまま、

 フラードモドキに肉薄する。



「……!」


『オラァッ!』



 フラードモドキの頭部に、神力を帯びた右脚を叩き付ける。


 息吹を放った直後の反動で、動きが鈍っていた

 フラードモドキは、それを避けられずにモロに喰らった。



『……これが、龍眼"予見"だ。……フラード。

……お前が与えてくれた、力だぜ?』



 予見。数秒先までだが、未来の最も

 起こる可能性の高い出来事が視える、というスキル。


 俺が視えたのは、神力による光のムチを、

 フラードモドキが、息吹で薙ぎ払う光景だった。


 俺が視えるのは、僅か三秒ほど。

 しかも、魔力の消費がかなり多い。


 ……だが、結果としては、フラードモドキを組み伏せた。


 …………俺は、この数秒の駆け引きに、勝ったのだ。



『大人しくしろ。今の俺なら、お前に攻撃出来るんだよ』


「…………」



 フラードモドキが、無機質な目をこちらに向けた。


 ……その目は、まるで氷のように冷たい目だった。




「……!?」



 不意に、フラードモドキを押さえ付けていた

 右脚に違和感を感じた。右脚に目をやる。



『……なッ。何ッ!?』



 ズブズブ、と音を立てそうな勢いで右脚が、

 フラードモドキの胴体に沈んでいく。



『な、何だこれはッ!……ぬ、抜けないッ!』



 どれだけ力を込めても右脚が、抜けない。


 すると、フラードモドキの肉体が、だんだんと

 崩れていき、その形を失い始めていく。



『……どうなっているんだッ。これはッ』



 そのまま、フラードモドキの魔力が、

 ()()()()()()()()()()()()



『うぐッ……グッ……』



 血液が駆け登るかのように、異質な魔力が

 体内を巡り、それはやがて、左眼へと集まる。



『ガッ……グゥゥッ……ァァッ!』



 痛い!左眼が、焼けるように、痛む……!


 思わず苦痛に左眼を閉じたままその場にうずくまった。


 それから数刻、痛みで動けずにいた。



『……ハァ……ハァ……』



 痛みから何とか立ち直り、水魔法で、水球を浮かべた。



『……こ、れは』



 水球に映りこんだ左眼は、酷い有様だった。


 左眼から、血が流れ出し、顔を伝っていた。


 しかも、フラードと同じだった、金色の瞳は、

 邪悪さすら感じる、赤黒く光る眼と、なっていた。



『……どういう、ことだ』



 頭が、混乱してきたその時だった。



【条件を満たしました。レベルが8から67に上昇しました】


【条件を満たしました。称号「神馬」を獲得しました。

称号「神馬」獲得により、神獣化の条件が満たされました】


【ユニークスキル「龍眼」を失いました】


【条件を満たしました。ユニークスキル「呪龍眼」を獲得しました】


【条件を満たしました。

「HP自動回復:LV4」が「HP自動回復:LV5」に上昇しました】


【条件を満たしました。

「苦痛耐性:LV3」が「苦痛耐性:LV4」に上昇しました】



 俺は混乱している時に余りにも突然に頭に

 情報を叩き込まれるという追い討ちを受け、

 思わず意識を再び手放し、倒れ込んでしまった。


 僅かに開いたままの、"呪龍眼"が、

 静かにその赤黒い光を放っていた……。


 こうして、洞窟内の

 異質な魔力は、霧散していったのだった……。


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