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第62話 魔鉱龍を勧誘しよう その1

遅くなってしまい、申し訳ありませんでした!


これからもよろしくお願いします!

★Side:ミスリル



『……綺麗ですねー』


『ありがとう。あなたも銀の輝きが美しいですよ?』


『……なーにこれ。マロ』



 魔鉱龍。魔法金属をその身に宿す希少な龍が二匹いる。


 魔銀とも呼ばれる、ミスリルを宿す魔鉱龍ミスリル。

 そして、神金と称される魔法金属、

 オリハルコンを宿す、魔鉱龍オリハルコン。


 同じ魔鉱龍が、向かい合って互いの金属を褒めている。


 氷塊のような大きさの凍り付いたスライムである、

 グレッシャースライムはこの妙ちくりんな光景に

 半ば呆れていた。このスライム、知能は高いのだ。



『せっかく来てもらったのに、何も出せなくて

ごめんなさいね。そうだ。オリハルコンでも食べます?』


『わあ、良いですねー!折角ですから

私のミスリルを試食してみません?』


『会話の内容が、普通に考えたら意味不明マロ……』



 オリハルコンはミスリルをバリバリ食べた。


 一方ミスリルはオリハルコンを食べるのに

 悪戦苦闘していた。


 ついでにグレッシャースライムも苦戦した。

 魔力抵抗が強いのかそれとも腐食しないのか、

 スライムの特技である取り込んでの消化が難航しているのだ。



『……か、硬い……歯が、欠けそー』


『……オリハルコン、消化出来ない?マロ……』


『うふふ。仕方ないかもしれませんね。

オリハルコンは、ミスリル以上に硬く、魔力に敏感ですし。

それでいて軽さはミスリルと同等。……強度ならアダマンタイト。

魔力伝達率ならヒヒイロカネ。魔法付与ならダマスカスの

方が優れていますが、オリハルコンは代わりに全てが高水準。

……ただ、ミスリルと違って、自然界にはほぼ存在しないのですがね』


『……じゃあオリハルコンさんが生まれちゃったのって、

相当、稀な事だったんだねー。

ミスリルなんて、鉱脈にでも当たればそこそこ出てくるし』


『偶然オリハルコンの鉱石を飲み込んでしまった時は

本当に死ぬかと思いましたよ。私も……』


『私もミスリルうっかり飲み込んだ時は死にかけたなぁー。

まぁ、そのおかけで今の超不便な身体を手に入れたけど』


『私も同感です。魔鉱龍って何で存在してるんでしょうね?

人間に追われるし、鉱物を好む魔物に襲われるし、

身体は重いし、魔法金属創らないと体調悪くなるし、

正直良いところ、無いですよねー』

 

『『はぁ……』』



 ミスリルとオリハルコンは揃って溜息を吐いた。



『みょーな奴らに挟まれてしまったマロ……』



 グレッシャースライムは魔鉱龍にしか通じない

 独特の会話内容に居心地の悪さを感じていたのだった。



『そういえば、この洞窟、良いですよねー。

中々居心地が良くて驚きましたよ!』


『同感マロ。あと参加出来る会話ありがとマロ』


『『?』』



 魔鉱龍にはグレッシャーの真意は伝わらなかった!



『そうですね。ここは良いところです。

実はこの洞穴は湖のすぐ側にありましてね。

側と言っても湖中何ですけど。

ともかく普通の人間には気付かれないような場所なんですよ』


『おー!そりゃ快適だぁ!』


『外敵の心配が少ないですからね。

それに水の冷気が伝わって年中涼しいです。

あと癪ですが湖を中心に人間が水田をしているからか

土壌の栄養分も豊富なようですね』


『うーん。そっかぁ。となるとこりゃ失敗かもー』


『失敗とは?』


『あー。実は私達、勧誘に来たんだよね』


『勧誘、ですか』


『うん。まず人間に見つかる心配が無くて、味方もいて、

なおかつ快適に暮らすことが出来る場所に

引っ越さないかっていう、勧誘何だけどね』


『それ、一体どこの話なのでしょうか?

私の知る限りそのような場所、無きに等しいと思いますが』


『……うーん。教えるのは構わないけど、

信じてもらえるかどうか……』


『大丈夫です。とりあえず気になるので話してください』


『あっ。うん。えっとね……』



 ミスリルはオリハルコンに空島について

 かなりざっくりと説明した!



『……うーん。空に浮かぶ島……浮遊島?

……皆目見当もつかないですね……』


『だよねー。私達そもそも空を飛べないから、

普通空島なんて知るわけがないし……』


『ですが、その空島というものは実在し、

あなたはそこで仲間と健やかに暮らしているのでしょう?』


『まぁ、そうだけど。ね?グレッシャー?』


『ふっ。まぁ、肯定してやるマロ』


『良いじゃないですか。興味ありますよ。私』


『まあ、でも空島にはまだこんな居心地の良い所

みたいな場所が無いんだよねー』


『ふふ。では、もし空島の方でここと同じ様な場所を

見つけられたのなら、是非招待して欲しいです』


『なるほどー。じゃあ、そういうことで!』


『そうですね。……それにしても驚きましたよ』


『ん?何が?』


『私と同じ魔鉱龍なので、てっきり逃げてきたのかと

思っていたら、実は土地の紹介に来たという有様でしたからね』


『あー、なるほど。確かにそれは驚くかも。

しかも私達にとって安住の地っていうもんね』


『普通は信じられませんが……。

まあ私と同じ魔鉱龍からわざわざそんな事を提案しに

来てくれたので、当面信じるつもりですよ』


『ありがとう!必ず空島に招待するね!』


『楽しみにしてます』



 その後、ミスリルとオリハルコンはしばらく談笑し、

 グレッシャーは再び居心地が悪くなるのだった……。



★Side:クロ



『……さて……?……獣人の……皆さん……』


「「!?」」


「お前達、落ち着け。これはただの念話だ。

……どうやらあの黒いのが飛ばしているらしい」



 モジャモジャ犬耳の獣人が周りの獣人の動揺を抑えた。



『悪いことは……言わない……。

魔鉱龍から……手を引いて……帰れ』


「……悪いが、それは出来ない相談だ」


『何故?』


「……魔鉱龍の力が、必要だからだ!」



 剣を構えた犬耳が再びクロへと斬り掛かる。が……。



「……ガフッ……な、に?」


「ラ、ラグアッ!!」



 モジャモジャ犬耳……ラグアは得物を

 取り落とし、地に伏した。


 ラグアの着込んでいる鎧が、内側から血に滲んでいく。



「ラグアに……何をしたァァァッ!!」



 猫耳の槍使いがその槍の矛先を向けながら突進する。



『……影』



 トン。と、クロは槍を避けつつ猫耳の男の影を踏んだ。



『……今度は……見える……よね?』



 クロに踏まれた男の影が、蠢き出す。

 そして鋭利な剣のように尖り、猫耳の男の背を斬り裂いた。



「グアッ!……こ、こういう……ことだったのか……!!」


『……影魔法"影斬"……対象の影を……操り、斬り裂く……』


「ちょっと!何一人で突っ込んで怪我貰ってるのよ!」



 兎耳の女が猫耳を回収し、ポーションを飲ませている。



『……驚いた、な。強いのだな。お前は』



 ダマスカスが念話で呟いた。

 しかしクロ的にはどうせならアスに褒めて欲しかった。

 好感度アップのために内心四苦八苦しているのである。



「……退却、だ」



 傷をポーションで多少処置したらしいラグアが

 ヨロヨロと起き上がりながら指示する。



「ラグア!ダメだ!魔鉱龍がいなかったら、皆が……!」


「……しかし、精鋭であるはずの我々が、この様だ。

不意打ちも通じず、対処法が分からぬ影を用いた攻撃。

仮に勝てたとしてもさらに魔鉱龍を

半殺しにして連れ帰らなきゃならん。

……恐らく、無理だ。どうやら、伏兵までいるようだからな」



 ラグアが目を細めて、木々の隙間を見つめる。


 露呈したことを悟り、ハイパーホーン、バーサクワガタが

 慎重な足取りで出てくる。



「……これでも、お前は目的を達成出来ると思うのか?」


「……それは……」


『……魔鉱龍は……私が……連れて行く……。

あなた達の事情は……知らないけど……ね……』


「……このまま魔鉱龍に行方を眩ませられると困る。

人間共が俺達を捕まえに来る……。戦争になる」


『それは……私達には……関係ない』


「人間達は魔鉱龍を使って、装備や兵器を整えるつもりなんだ!

アダマンタイトを使うつもりらしいんだ!

とても太刀打ちできない!」


『……アダマンタイト……』


『……クロ殿。となると、モシかすると……』



 ハイパーホーンがクロに進言する。

 クロはゆっくりと、頷いた。



『……その計画……きっと失敗する……よ?』


「……どういう、ことだ?」


『……少しだけ。……答えてあげる……』



 一息ついて、答えたクロによって、

 森の中が、静寂へと包まれていった……。


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