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第61話 魔鉱龍を捜索しよう ~接触~

★Side:ミスリル



『うわー、こんなにオリハルコンがゴロゴロと……』


『……凄まじいマロ……』



 ミスリルがやって来た洞窟。彼女らは魔鉱龍と呼ばれる

 希少な龍種と接触を図りにある洞窟へとやって来た。

 ところがこの洞窟、少し進むと出るわ出るわ、

 希少なハズのオリハルコンの鉱石がゴロゴロしているのである。


 こんな洞窟があると知られていたら、

 人間が寄って集ってやって来るはず。


 自身が魔鉱龍であるため、常に追われる立場だった

 ミスリルはそう考えた。しかし現状人間が洞窟を

 踏み荒らした形跡は見られない。



『先に進めば分かるかな?』



 ただ、唯一ミスリルの魔力感知に一つだけ反応があった。



『魔鉱龍オリハルコン……どんな子なんだろう!?』



 ミスリルは察しがついていた。この辺りに散らばるオリハルコンは

 魔鉱龍オリハルコンが作り出した物なのだと。


 魔鉱龍は不定期で自身の体内に溜まった不要物を

 変換して魔法金属を創り出している。


 アコヤガイと呼ばれる貝が長い年月をかけて

 美しい真珠を作り出すのだが、その真珠の核は

 実はアコヤガイにとっては不要物の物である。


 魔鉱龍はその感覚に近い感じで魔法金属を創る。


 それが敵を作ると知りながらもやらなければ

 いずれ身体が弱ってしまうのでやらざるを得ない。


 ミスリルは魔鉱龍という存在の肉体の不便さを

 よく知っている。オリハルコンもきっと同じハズだ。


 そう思い、足を進める。



『……あらあら。こんな所までよく来ましたね?』


『…………』



 洞窟の最奥部。ソレはそこにいた。

 内部は半透明だが、表面が蒼いという

 不思議な金属に覆われた龍。


 神の金属とまで言われる伝説級の金属、オリハルコン。


 "魔鉱龍オリハルコン"が優しそうな目線で

 ミスリルとグレッシャースライムを見つめた……。



★Side:アス



『……ふと思った。登らずに飛んだ方が早くない?』


『はやいー?』


『こんなクソ暑い火山の上空なら飛んでる魔物も

少ないだろうし……。となると、

俺がどれだけ耐えられるか……か』



 火山の頂上を見据える。火山からはモクモクと

 煙が登っており、活発に活動しているのが分かる。



『……もし急に噴火されたりしたら嫌だな。

よし、早速飛んでみよう。ミカン、行くぞ』


『とぶ!』




 俺は助走を付けて、地を蹴って空へと躍り出る。


 一方ミカンは普通に後方に着いてきた。

 "浮遊"のスキル、便利そうだよなあ。


 ……それは、さておき。



『……暑っついなぁ……』



 水魔法を使い、身体を水の膜で覆う。

 おおう、ぬるい……。マジかよ。


 一方ミカンをチラリとみると、余裕そうに着いてくる。

 環境程度には左右されないってか?


 ……まぁ、いいけど。


 気を取り直して、火山の頂上目指して飛ぶ。

 あ、やっぱり飛んだ方が早いな。


 火山というだけあって地面が岩だらけで

 歩きにくいのもあるあるんだろうけど、

 それを考えても飛んだ方が早いな。うん。


 それから少しの間飛行し続けていると、

 不意にミカンが騒ぎ出した。



『あす!あれ、なーに?』


『ん?』



 火山の向こう側を器用に針状にした身体を伸ばして

 示したミカンの方向を見る。


 そこには、金色の光を尾からキラキラと

 散らせながら羽ばたく鳥がいた。


 炎のように赤いが、細部には白い羽も見える、神々しい鳥だ。


 ……えっ?



『……もしかして。神鳥"フェニックス"じゃね?』


『ふぇに?』



 通称"不死鳥"。あらゆる傷も瞬時に再生し、

 たとえ死が訪れようとも自らの身体を燃やすことで

 何と再誕するという不思議な鳥だ。


 羽や尾には傷や病を癒す効果もあるとされ、

 血を摂取すれば身体の老いを遅らせられるとされている。


 空島の資料によれば、そのあまりの利用価値の高さから

 時代を問わず様々な人間が、果ては

 国が大軍を挙げて追ったという話もあるくらいだ。


 ……何だか魔鉱龍に似ているような気がするなぁ。

 利用価値の高さとか、それで追われるところとか。



『一体、どこに向かって羽ばたいてんだろうな』


『かなー?』



 俺達はフェニックスを遠巻きに見送った後、

 火山の頂上付近に着陸。そこにある横穴へと入った。



『……すごいな。表面は紅いのに、中心になるほど

色合いが金色になっている。魔力も相当感じるぞ』



 横穴には緋緋色金(ヒヒイロカネ)の鉱石が散乱していた。


 ミカンは緋緋色金の鉱石を取り込んで食べている。贅沢な奴だ。


 そこに魔力感知が魔力が収束しているのを感じ取った。



『!』



 その瞬間、横穴の奥から炎が吹き出してきた。



『"アクアウォール"ッ!』



 正面に水の壁を展開して、咄嗟に炎を防ぐ。


 横穴の奥から、一匹の魔物が現れる。


 表面が紅いが、中心になればなるほど金色に見える

 魔法金属、緋緋色金に覆われた龍。


 "魔鉱龍ヒヒイロカネ"。



『……なんか、怒ってる?』


『……グルルッ!!』


『げきおこ!』



 ……ヒヒイロカネに出会えたものの、何かキレてる。

 どうやら何故か、戦わざるを得ないようだ。


 俺は溜息を吐き、臨戦態勢を取る。

 ミカンも魔力の変化を察知して、真剣な雰囲気となる。


 そして、魔鉱龍ヒヒイロカネとの戦闘が、始まった……。



★Side:フラード



 人間達の喧騒が騒がしい。それもそのはず。


 今、私が来ているこの都市には

 魔物暴走(スタンピード)の危機が迫っているからだ。


 多くの一般市民は避難指示を受けて慌てて逃げ出している。


 あまりにも突然のことでほとんどの人間が

 ろくに準備も出来ず、手に抱えられる程度の荷物しか持っていない。


 どさくさに紛れて空き巣まがいのことをやる豪胆な奴もいる。

 同じようにスリや痴漢もいるが、私に対してやろうとした

 人間がどうなったか。まあそれは言うまでもあるまい。


 冒険者や都市の警護を担う騎士達が忙しそうに動き回り、

 都市の出入口に突貫工事で柵を構えたりしている。


 おっと、よそ見している暇は無かったな。行くか。


 ……その前に、あの店に置いてある仮面を拝借するか。

 ……店主は逃げたようだが、構わんだろう。


 そのまま仮面を被り、目的の場所へと向かう。

 そこには騎士がまだ何人かいるようだ。



「あ?何だお前は?今は見ての通り忙しんだ!」


「……ここが、この都市の貴族の屋敷か?」


「……確かにここはアルノス辺境伯の屋敷だ。

だがお前のような怪しい奴を通すわけないだろう!

たとえ魔物暴走が発生していてもな!」



 やれやれ。無駄に職務に忠実らしい。


 私は銀色の鞘から、剣を抜く。



「……その行為、貴族への宣戦布告と取るぞ」


「……これが、一番手っ取り早いだろうからな」



 数人の騎士がフラードを取り囲み、一斉に槍を放つ。



「……愚かな」



 剣を無造作に振り回した。たったそれだけで

 騎士達も槍も輪切りとなり、倒れた。



「……さて、行くか」



 一人の少女が、屋敷へと乗り込む。



「な、なんだお前は!?ここを誰のお屋敷だとウグァッ!?」


「邪魔だ」



 屋敷の警備でもしていたのだろうか?

 向かって来た騎士を斬り伏せた。


 使用人らしき女達が悲鳴を上げながら逃げて行く。


 ……さて。アダマンタイトはどこにいるのか。

 手がかりがあればいいのだが。


 ……それに、この程度の騎士の実力では

 お世辞にもSランクの龍種を捕らえることは出来ないだろう。


 何か、ある。フラードはそう思いながら先へと進む。


 途中で騎士を一人捕らえて、持っていた槍で

 両手を貫き、壁に固定する。


 手荒いが、尋問した方が早い。だからやる。



「魔鉱龍アダマンタイトはどこだ?」


「グッ……な、んのことだッ」


「知らないのか?」


「アダマンタイト、なんて……そんな厄介な魔物、

廃鉱山にいるということしか、知らん!」


「……ふむ」



 闇魔法"短期洗脳"をかける。

 短時間だけ相手の精神を乗っ取り、命令させることが出来るものだ。


 騎士の目が虚ろになり、脱力したのを確認して問う。



「もう一度問う。魔鉱龍アダマンタイトはどこだ?」


「はい。屋敷の地下です」


「アダマンタイトをどうやって捕らえて運んだ?」


「はい。裏の闇魔道士を雇い、連れて来たと聞いてます」



 ふむ。何やらきな臭い話だな。



「最後だ。アダマンタイトをどうするつもりだ?」


「はい。アダマンタイト製の武具、魔道具を作り、

アニマ大陸に侵攻すると聞きました」


「なるほど。"解除"」



 騎士がハッとして、意識を取り戻す。

 しかし、その時には既に仮面の少女はいなくなっていた。


 少女は地下へと辿り着く。……強引に床をぶち抜いて。


 そして、檻に捕われたソレを見つけた。


 透き通った透明な金属。まるでダイヤモンドのようにも見える。

 "アダマンタイト"に覆われた龍。


 そして。



(……何か、いる)



 もう一つ、何かがいる。

 フラードはその存在を確かに感じとっていた……。


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