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第52話 引越し相談

来年もよろしくです!

それでは皆様、良いお年を……。

 空島から降りて山を目指す。


 一気に下降するだけなので

 空を移動する魔物にだけ注意すればいい。


 まぁ流石に今回は魔石を運んでたりはしてないので

 ワイバーンの群れに襲われるとかも無く、

 普通に山に辿り着いた。


 どうやら俺に気付いたらしく、

 キラーアント達がわらわら集まってくる。


 しかし、俺と一緒に行ったはずのフラードの

 姿が見えないのを不思議そうにしている。


 そんな中、アリ達に先導されてマザーアントが出てきた。



『お帰りなさいませ。アス様』


『ああ、ただいま……と言いたいところだが、

少し大事な用件があってな……』


『大事な用件ですカ。分かりました。全員集合デスよね?』


『ああ、頼む』



 マザーの合図と共にキラーアント達が

 慌ただしく動き始める。


 やがてミスリル、グレッシャースライム、

 ハイパーホーンらカブトムシ一族、

 そして沢山の蟻、クワガタ、蜂、蝶、蜘蛛がやって来た。


 え、何これ。というかどれもこれもデカイな。

 流石にこの数はちょっとキモい。



『ご命令通り全員を集めました』


『……ありがとう。その前にちょっと聞いていいかな』


『何でしょうカ』


『……彼らは?』


『倒して手下にしました』


『……誰の?』


『アス様のです』



 ハイパーホーンをチラリと見た。めっちゃ肯定された。


 クワガタ達を見る。俺を訝しげに、

 あと若干の怯えを含んだ目で見ている。



『……そういえば何か虫同士で戦ってたんだったな。

こっちも色々あってすっかり忘れてた……』



 クワガタ達が恐る恐る、と言った雰囲気で様子を見ている。



『数は彼らの方が多かったデスが、個々の質の差、念話による

指示や連携の取りやすさや、グレッシャーさんの

助力等のおかげで、イイ具合に勝利できましたヨ』



 「これもアス様のおかげですね」と満足気に答えるマザー。

 あ……そうなんだ。これ全部配下なのね。とりあえず。


 ……ヤマヒメ、そろそろキレるんじゃないだろうか。

 今の俺でようやく互角くらいな気がするんだよね。ヤマヒメ。


 とはいえ、まずはこの状況をどうにかしないとな……。


 マザーに頼んで、各種族のリーダーを残して残りは、

 とりあえず今もストックされているらしい

 白亜の家の魔石を渡して一旦帰ってもらった。


 残ったのはマザーアント、ミスリル、ハイパーホーン、グレッシャー、

 デカイクワガタ、デカイ蝶、デカイ蜘蛛、デカイ蜂。あと俺。


 彼らはどうも俺の言葉を待っているらしく、

 こちらを観察するようにジッと見つめている。



『……えー、とりあえず自己紹介してくれるかな。

念話はできる?無理なら俺が自分で拾うけど』


(……申シ訳ナイ。ソレデ頼厶)



 クワガタが代表したのか、そう答えた。



『じゃあ俺が拾うから、俺に向けて自己紹介してくれ』


(……俺ハ"バーサクワガタ"。クワガタ族ノ長デ、

コノ連合ノ主デモアッタ)



 バーサクワガタが蜂達を見ながら答えた。

 

 その蜂達は「何で俺達に話を振るんだバカ!」

 といった感じの視線だ。俺はどういう扱いなんだ。


 その後、蜂の長"デッドリービー"、蜘蛛の長"トラップスパイダー"、

 蝶の長"メガバタフライ"の挨拶を受けた。


 彼らはハイパーホーンとグレッシャー(の分体)にボコられ、

 アントジェネラル率いるアリ軍団に部下はボコられ、

 蜘蛛達が本陣に奇襲に行けばミスリルに看破され、

 最終的に惨敗したそうだ。


 ……踏んだり蹴ったりだったんだな。

 魔物は負ければ食われるか下僕になるか、ぐらいしか選択肢はない。


 だがハイパーホーン達が俺に気を遣って?

 強制的に配下にしたそうだ。


 まぁ、今回の俺の用件を考えれば、それは都合がいい。

 とりあえず俺が戻って来た理由を話してみた。



『……なるほど、移住が必要……デスか』



 マザーが難しい顔をした。

 クワガタ達は「え、引っ越すの?」的な顔をしている。



『ああ、一応ヤマヒメにも相談はするつもり何だが、

マザー達の方でも相談してくれると助かる。

ただ強制でもないし無理強いはしない。

急に暮らす環境が変わるし、何より俺のワガママだからな……』



 辺りがザワザワしている。俺はマザーやハイパーホーンに

 相談しておくように一声かけて、その後ヤマヒメの下に向かった。


 ヤマヒメの居住場所は山の山頂の小さな祠のような所だ。

 来てみると、祠の前でのんびり、という感じで座っていた。


 ヤマヒメがこちらに気付いたらしく、声をかけてきた。



「おや。冬の時以来だのう」


『そうだな。久しぶり……。

今日は少し話したいことがあって来たんだ』


「そうか。話してみよ」


『マザーアント達を連れて引っ越したい』


「……詳しく説明せよ」



 訝しげな表情のヤマヒメに空島の事を話す。

 ヤマヒメが難しい顔をしながらしばし考え、

 やがて口を開いた。



「……よく分からんが、空島とかいう宙に浮いた土地……。

この時点で理解出来んが、ともかくそういう土地がある。

そしてその土地には膨大な魔力が必要な機械があり、

その機械のために大勢の魔物を連れて行きたい。

……そういうことか?」


『まぁ、簡単に言えばそうだな。

あと空島は、多分全土が俺の土地だと思う』


「……はぁ。連れて行く魔物達を十分に

養える程度には土地がある、ということか」


『その辺は問題ないと思う。

何か不足があれば、その時開発すればいいと思うし』


「開発……というより、話を聞くと創造にしか聞こえぬが。

その機械、少し気になるのう」


『出来れば機械のことは他言無用に

して欲しいけど、まぁ、いいや』


「……ふぅ。そうだな……蟻族に関しては他にも

巣を構える者達がいるから、連れて行くのは構わん。

ただ、それ以外の虫族はせめて各半数は残して欲しいな。

分かるとは思うが、虫というのは植物の送粉者という

役割を持っている。特に蜂や蝶だな。

それ以外にも役割はもちろんあるのだが、

ともかく彼らが根こそぎいなくなっては山の生態系に

大きな影響が起こる。それは流石に看過できぬ

カブトムシ一族、クワガタ一族はいざという時の

山の防衛戦力にも成りうるしな。

その条件の下であれば、ソナタの采配に任せる」


『……長々とありがとうございます』


「礼を言う部分が違うと思うが」


『そうだな……分かった。じゃ、そのようにするわ』


「ああ。……たまにはその空島とやらに

来てみたいのう。面白そうだからな」


『落ち着いたら、招待するよ』


「そうか。楽しみにするとしよう」



 ヤマヒメから条件付きだが許可を貰ったので、

 マザーアント達の所まで戻って来た。


 まだ少しザワついているが、大方結論が出たらしい。


 蟻達とカブトムシ一族、クワガタ一族、ミスリルは移住派。

 グレッシャースライムはどちらでもいい。

 それ以外の虫族は残留派。


 俺としては残りたい奴を無理矢理連れて行くのは忍びないので、

 残留派の虫族達に志望型で空島移住組を募った。


 因みに結果は各種族五十~百匹程度である。

 やはり見知らぬ土地に行くのは抵抗があるらしい。


 でも悲愴な顔付きをした各種族の長が着いてくるみたいだ。

 一体何の決意をしたらそんな表情になるのか

 気になるが、聞かないでおこう。


 さておき、何故クワガタ一族は丸ごと移住派なのか。

 聞くと単にライバルのカブトムシ一族が移住派だかららしい。


 ハイパーホーンにカブトムシ一族の半数を残す様に伝えたみた。


 即座に新たなリーダーが決められ、

 半分ずつにカブトムシ一族が分かれた。


 それに対抗するかのようにクワガタ一族も

 半分ずつに分かれた。それでいいのか?



『……じゃあ、俺に着いてきてくれるのは

これだけで良いんだな?』


『良いと思いマス』


『ですねえ』


『マロ』



 マザー達が頷く。俺の為にわざわざ

 着いて行く道を選んでくれた奴らだ。


 空島は、多分世界的に見てもかなり安全な方だと

 思うが、それでもしっかり護ってやりたい。


 そう思いながら、俺は空島……ウィズダムへと意識を向けるのだった。


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