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第51話 情緒不安定ということにしよう

『……さて、昨日ぶりに戻ったな』


『そうだな』



 俺はフラードを発見して、ちょっと寝た後、

 ウィズダムの元に再び戻り、再度洞窟に転移させてもらっていた。


 死霊龍の肉体はもはや風化しており、僅かに残っているだけだった。


 ……やがて土に還るのだろう。

 まあでも早いとこフラードを万全にして

 この土の汚染も取り除いてやらなきゃだが。



『……いた、な』


『……』



 死霊龍となった龍が、隠すように大切に安置していた存在。


 洞窟の奥に、封龍陣に囚われたフラードの一部を発見した。



『……じゃあ、解放するぞ』


『……ああ、頼む』



 封龍陣に突き刺さっている剣に魔力を込める。

 地面ではなく魔方陣に刺さっているのが何だかシュールだ。


 三度目なのでもう特に苦労することも無く剣を引き抜く。


 魔方陣がヒビ割れ、砕け散る。



『……あ、ああ。……済まない』



 封龍陣から解放されたフラードに謝られてしまった。



『いや、気にしなくていい』


『……死霊龍……あれは、私ともそれなりに

交流のあった龍なのだ。私は、それで取り乱したのだろう』


『……恥ずかしい限りだが、そうだ』



 同一人物の会話が再び展開された。


 封印されていたフラード曰く、俺ほどではないが

 フラードとは親しい龍だったらしい。


 光龍リンコウ。それがあの死霊龍の正体らしい。


 元は光属性の龍だったらしいが、

 死霊龍に成り果てたために闇属性に変異したという。


 ……色々思うことはあるのだろうが、

 とりあえずはフラード達に一体化するように促した。


 フラード達が光に包まれて、一つになる。


 ……デカッ!?



『……ふむ。多少は、力を取り戻せてきた……か?』


『……デカイな。洞窟が崩れるかもしれないぞ』


『そうだな。……』



 フラードが"変化"のスキルで小さくなった。

 見慣れたサイズに戻ったところで、改めてフラードを見た。


 まず、頭が三本になった。まぁ、それは当然として……。



『……顔、厳つくなってない?』


『龍としての力が戻りだしたから、だろう』



 フラードの姿は今までは蛇の要素が強かったのだが、

 今はどちらかというと龍に振り幅が寄っている。


 各頭に小さいけど二本の角まで生えてきてるんだもん。



『……何だ?そんなじっと見て……』


『……いや、やっぱり龍なんだなって』


『失礼な。……いや、今までが

蛇の様だったからな、仕方あるまい』



 フラードがそう言いながらもたれかかってきた。



『重い』


『酷いことを言う。女子に言う言葉ではないな』


『離れてくれないか』


『……私は、これからは少しだけ

アスに身を委ねようと思ったのだ』


『急に真面目なトーンで変な事を言うな』


『……まぁ、一匹で悩むのはやめることにしただけだ。

これからも頼りにさせてもらうぞ。アス』


『……そう言われたら、何も言い返せないな。

乗りかかった船って訳じゃないけど、

顔突っ込んだ以上は最後まで手を貸すさ』


『……ありがとう。何か礼をせねばなぁ。

私でも貰うか?』


『……冗談ですよね?』


『さて、どうだろうな』


『ウィズダムーーッ!転移、転移よろしくゥーッ!』



 【承知シマシタ。転移ヲ実行シマス】



 ウィズダムの機械音声が頭に流れる。

 ウィズダムのユニークスキル"共有"の効果だ。


 謎の情報さんと同じ感じで頭の中にお互い

 情報を届けあったり、一部のスキルを共有できる。


 例えば俺の"韋駄天"のスキルを共有すれば

 ウィズダムにも素早さ補正が入る。


 逆に俺がウィズダムの"鑑定遮断"を

 共有してもらって身に付けたりできる。


 ただ、お互いに同数のスキルを共有しないと発動できない。


 とりあえず一旦俺は鑑定遮断を共有して貰い、

 俺からは"指揮"のスキルを共有してある。


 空間魔法が使いたいところだが、

 どうもそれはできないらしい。残念。


 後、フラードの提案は聞か無かったことにした。

 いや、冗談でもやめて欲しい。……冗談だよね?


 フラードの顔を見る。妙にニコニコしてる。

 ……ある意味情緒不安定なままではあるな。


 そして、一瞬でマザーコンピュータルームに戻った。



『ウィズダム。ありがとう』


『問題アリマセン。デスガ、一ツマスターニ

オ伝エシナケラバナラナイ事ガアリマス』


『何だ?言ってみてくれ』


『魔力ガ不足シテイマス』


『……マジか』



 魔力……というかエネルギー充填装置を見ると、

 メーターが空っぽになっていた。



『今ハ予備ノ魔力デ動イテイマスガ、

コノママデハ強制停止シマス』


『分かった。とりあえずできるだけ魔力を入れる。

フラードも、悪いけど魔力をくれるか?』


『分かった』



 装置に魔力を込める。

 俺もフラードもMP最大値の半分は入れたが

 メーターの上昇量は芳しくない。



『……これ、いくら入るんだ?』


『ソチラノ装置ハ小型デスノデ、百万MPトナリマス』


『……これで、小型か…………』



 フラードすら若干引いたような声色で呟いた。



『魔力を入れる方法は他にないのか?』


『空島領域内ニ居ル生命体ガ自然ニ放ツ

魔力ヲ回収スルコトモ可能デス。

数ガ少ナイトアマリ効果ハ見込メマセンガ』


『……なるほど。なら、いけるか?

ウィズダム。空島の気候とか、気圧とか

そういうのを地上と同じにできるか?』


『可能デス』


『よし。一通り全部地上と同じにしてくれ』


『分カリマシタ……設定ガ変更サレマシタ。

環境スイッチヲ"地上"モードニ移行シマシタ』



 どうやら地上と同様の設定になったらしい。

 試しに外に出ると、日差しや風が弱まり、

 長時間居ても息苦しさも無くなった。


 夜冷えることもこれなら多分無いだろう。


 天空にある分空島の環境は見た目と違い

 結構過酷だ。出来るなら地上と同じの方が良いだろう。


 確認が終わったのでウィズダムの所に戻る。



『外の空気が変わってるのは分かった。

じゃあ俺はこれからハイパーホーン達の所に行ってくる』


『なるほど。彼らは確かに頭数は多い。

急ごしらえだが連れてこれば魔力供給源にはなるな』


『そういうことだ。ほぼ、空島に移住して貰う

って話になっちゃうから、何とか説得してみるよ』


『分かった。私も行こうか?』


『いや、フラードはここに残ってくれ。

もし魔力が足りなくなったら供給して欲しいからな』


『……そうか、彼らを運ぶのも転移の方が早いか。

そうだな。では私はここに残る事にしよう』


『悪い、頼む』


『これくらいは構わない。……行ってらっしゃい』


『……行ってきます』



 おかしいな。今の「行ってらっしゃい」は、

 何か含まれた意味を感じるぞ。


 例えば、同棲してる彼女が仕事に出る

 彼氏に向けるような……。


 ……考えるのは、やめよう。


 研究施設から出て、翼を羽ばたかせて空島を飛び降りる。


 ……さて、彼らにとって山は住み慣れた地。


 俺の都合で移住させようとする訳だから、

 それなりに相手が納得するような条件じゃなきゃな……。


 後はヤマヒメにも断りを入れなきゃな……。


 ふぅ、フラードは未だに情緒不安定だし……。


 ……情緒不安定だよな?それで片付けていいよな?


 ……とにかく、まずは彼らに会いに行かなきゃな。


 色々思うところはあるが、

 俺は空を一気に駆け下りていくのであった……。


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