第48話 ご利用は計画的に
マザーコンピュータ。
この空島の地下研究施設に鎮座しており、
空島のあらゆる機械の脳と言える存在。
その存在が、語りかけた。
『マスターヲ登録シテ下サイ』
『って、言われてもな……』
俺はフラードの顔を見た。
しかしフラードは真顔で、
『空島を発見したのはアスだ。
そして資料を読み解いたのもアスだ。
ならばこの機械の主はアスがなるべきだろう』
『……そうか』
『ああ。それがこの機械や資料を遺した者への
手向けにもなるはずだ』
俺はフラードの言葉を聞いて、
マザーコンピュータ……ウィズダムに向き合った。
『俺はアス。ウィズダム、君の前のマスターの
資料を読み解いて、君を起動させた者だ』
『ハイ』
抑揚の無い平坦な機械音でウィズダムは返答した。
『前のマスターと違って、至らない点も多いと思う。
けど、力を貸して欲しい。
俺を、ウィズダムのマスターとして登録してくれ』
『分カリマシタ。マスターヲ"アス"様ニ設定シマス。
…………設定ガ完了シマシタ。
改メマシテ、私ハマザーコンピュータ"ウィズダム"。
マスターアスノオ役ニ立チマショウ』
ウィズダムの輝きがいっそう強くなる。
そして、頭の中に情報が入ってきた。
【条件を満たしました。称号「空島の主」を獲得しました】
称号を獲得したことで、どうやら俺は
正式にウィズダム……いや、空島の主と認められたらしい。
『ゴ命令ヲドウゾ』
ウィズダムが急かしてくるので、
まずウィズダムについて色々聞いてみた。
『ウィズダムは何が出来るんだ?』
『ハイ。世界ノアラユル情報ノ収集、保存。
計算、予測、予知。生命体ヤ物質ノ合成。
能力ノ付与。戦闘兵器ノ作成。空島ノ制御。
ソノ他様々ナ機能ガ搭載サレテオリマス』
『……ちょっと、すごすぎない?』
『マスターナラバ、私ヲ鑑定ガ早イカト』
『そうなのか。よし……"鑑定"!』
俺はウィズダムを鑑定した。
……そして吐いた。フラードもそれには驚き、
慌ててこちらに駆け寄った。
『アス!大丈夫か!?どうしたのだ!?』
『……大丈夫、ちょっと、情報酔いしただけ……ウップ』
その後、しばらく横になったとだけ言っておく。
因みに鑑定で見えたウィズダムの結果はこうだ。
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名前:ウィズダム
種族:マザーコンピュータ
系統:物質系
状態:通常
Lv :99/99
HP :163500/163500
MP :163500/163500
攻撃力:163500
防御力:163500
魔法力:163500
魔防力:163500
素早さ:163500
ランク:SS
攻撃スキル
「剣術:LV10」「全力攻撃:LV10」
魔法系スキル
「火魔法:LV10」「水魔法:LV10」「雷魔法:LV10」
「土魔法:LV10」「風魔法:LV10」
技能スキル
「魔力感知:LV10」「魔力操作:LV10」
「高速演算:LV10」「並列思考:LV10」
「思考超加速:LV10」「自動修復」「物理障壁」
「魔法障壁」「魔力吸収」「逆探知」「軍師:LV10」
「予測:LV10」「予見:LV10」「予言:LV10」「飛行:LV10」
耐性スキル
「全属性無効」「物理耐性:LV10」「魔法耐性:LV10」
「状態異常無効」
ユニークスキル
「ヘヴィメタルボディ・改」「世界記録接続」「世界規模鑑定」「技能複製」
「付与」「技能強奪」「結界展開」「素材合成」
「制御」「空間魔法」「作成」「魔力変換」
「鑑定遮断」「確率操作」「重力操作」「硬質化」
「超硬質化」「共有」
称号
「マザーコンピュータ」「知恵袋」「賢者」「冒涜者」
「最終兵器」「天災」「災厄」「禁忌の存在」
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まず、ステータスがおかしい。うん。
そして所持スキル。俺が吐いた原因。
一つ一つのスキルの規模が狂ってる。
このスキルで何が出来るのか、
というところまで鑑定してしまったせいで、
俺の頭がオーバーヒートした。だから吐いた。
『薬ヲドウゾ』
ウィズダムがどこからか薬を俺の目の前に置いた。
フラードがギョッとした様子で尋ねた。
『その薬……どこから出した?』
『ゼロから作成致シマシタ』
『……ふぅ。楽になったよ。ありがとう。
フラード、ウィズダムのスキルには"作成"という
自身の魔力と記憶を媒体にあらゆる物質を作り出す
スキルがあるらしい』
『……デタラメすぎるな』
『でもこのスキル、それなりの量の魔力と、作成する物質の
あらゆる情報を網羅してないと作れないらしい。
だからほぼ、ウィズダムにしか使えないスキルだな』
『……なら、いい……のだろうか』
因みに防衛システムのロボットも、
第一号を誰かが製作し、それをウィズダムが解析し、
ウィズダムの"作成"スキルで量産、って感じらしい。
魔法金属や魔石まで作れるのか。狂ってやがる。
『俺、神に殺されたりしない?』
『悪用しなければ、問題ないだろう。恐らく』
いや、正直人……いや馬の手に余る代物だと思います。
その後、ウィズダムに食事を作成してもらった。
内容は肉、馬草、魔石。
ウィズダムの鑑定はフラードの神龍眼の鑑定に匹敵するらしい。
それは普通の鑑定には映らない情報も映っているそうだ。
そういうわけで、俺は進化に関わる魔石をバリボリしてる。
この魔石は同族……つまり
ペガサスの魔石(を作成したもの)らしい。
『同族ノ魔力ハ、身体ニ良ク馴染ミマスカラ』
『共食いが個体を強くするのか……なんか、なぁ』
実際にペガサスを狩ったわけではないので
倫理的には……セーフ?なのか?
でも魔物の心臓とも言える魔石は作れる。
……分からなくなってきた。
ウィズダムの扱いは細心の注意が必要だな……。
慎重に扱おうと、そう心に固く誓った。
そして後日、俺達は空島を襲った龍……
やはり死霊龍となっているらしい。
その死霊龍の居場所をウィズダムに探って貰った。
『現在、空島第三山脈ノ洞穴ノ中ニ居ル様デス』
『そうか、分かった』
『宜シケレバ長距離転移デオ送リシマス』
『……マジで何でもアリだな』
『完全無欠ヲ目指シテ製作サレマシタカラ。
前マスターハ、地球ノ科学技術ト、
コノ世界ノ魔法技能ヲ調和サセルコトデ
全能ノ機械ヲ作リ出セルト考エラレタノデス』
『それが、ウィズダムなのか』
『ハイ。デスガ私ハ廃棄サレルマデ未完成ノママデショウ』
『……そっか。全能なんて、成ろう作ろうで
生み出せるものじゃないもんな』
『ハイ。前マスタートテ不完全ナノデス。
マシテヤ不完全ナ存在ニ製作サレタ私ガ
完全ナハズガアリマセン』
『まぁ、完全な存在なんて寧ろならない方が良いだろう』
フラードが締めくくった。
『……コレヨリ転移ヲ開始シマス』
『……』
俺とフラードは頷いた。
『転移対象二名、転移先……"死霊龍"。
システムエラーチェック……。異常無シ。
空間魔法発動……"長距離転移"!』
『!』
俺達が認識した瞬間、目の前の空間がグニャリと歪み、
そのまま俺達はその歪みの中に飲み込まれた……。




