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第47話 マザーコンピュータ

ブックマークが50件を超えました。

感謝です!!ありがとうございます!

 空島の地下施設の最奥部にある扉を開く。


 そこは、酷く埃っぽかった。


 思わずむせそうになったので

 風魔法を使い、埃を運んで空気を洗浄していく。



『酷い埃だな。よほど長い期間使われていなかったのだろう』



 フラードが風に運ばれていく埃を眺めながら呟く。


 どうやらこの部屋にはガード恐竜ロボットを始めとした

 防衛システムに組み込まれたロボット達は入ってこないらしい。


 まぁここが研究施設だろうから、

 一々ロボットが大量に出入りしたら邪魔何だろうね。


 それはさておき、あれだけの防衛システムを作るくらいだから

 かなり重大な研究をしている可能性は高いだろう。

 転生者、あるいは転移者が関わっている

 可能性が高いとなれば尚更だ。


 沢山の机が並んでいる。

 その机には何かの資料らしき羊皮紙が散乱している。


 因みに全て日本語で書いてあるので読めはするのだか、

 内容が複雑すぎて何を書いているのかよく分からなかった。


 ただ、"神魔法"とか、"空間魔法の伝説"とか、

 "時魔法の謎"とか、触れちゃいけない

 気がするワードがチラッと見えた。


 その後も"魔王と世界樹"、"神龍"、"神鳥"、"神狼"

 といったヤバそうなタイトルの資料を見かけた。


 せっかくなので魔王と世界樹と神龍の二つ、

 これらは何とか読めそうだったので、読んでみた。


 フラードに伝えて一旦立ち止まり、

 魔王と世界樹から読んでみる。



 "魔王とは魔物を率いる王である。

 魔王という存在そのものはこの世界の歴史が資料として

 残され始めた時代より以前から存在するとされている。

 そのような長い歴史を持つ魔王という存在だが、

 時に代替わりしつつ、この世界の片隅で行く末を見守り続けた。

 魔王は時には人口爆発し、星の環境を破壊し尽くす人間を粛清するため

 魔物の大軍を率いて世界を巡ることもあった。

 多くの人間からすればそれは厄災。

 だが世界にとっては防衛行為と取れる。

 増えすぎた人間は星にとっては異常をきたした

 細胞と何ら変わりないのだ。

 やがて人間は魔物に対抗するため

 勇者という存在を得るがそれはこの資料では割愛する。

 さて、世界樹について話をしよう。

 世界樹は、極稀に出回る樹皮や葉から推測するに

 樹齢は凡そ3万年と考えられる。ただしデータ不足で確証はない。

 その世界樹……通称神樹"ユグドラシル"と言われる。

 葉はあらゆる病や傷を癒し、樹皮はどのような攻撃も通さぬ防具になる。

 朝露はあらゆる闇を撃ち祓うほどの聖なる魔力を帯びている、と言われている。

 何故言われている、という書き方をしたかと言えば

 世界樹の情報はとにかく不足しているからだ。

 どこに生えているのかすら分かっていないのだ。

 一説には魔王が生やし、そこに居住していると

 されているが、確証はない。この説も魔王自体が

 3万年ほど前から行方知れずとなっている

 という歴史から推測しているに過ぎない。

 何にせよ今後も情報収集を行うことが求められる。"



 魔王と、世界樹……か。

 ここに世界樹の葉が丸ごと一つあります。


 やっぱり世界樹は昔から貴重らしい。

 後魔王の歴史って長いんだな。


 続いて"神龍"についての資料を呼んでみた。



 "神龍とは、神によって直接創造された龍のことである。

 神龍ヤマタノオロチは、巨大な城のごときサイズである。

 8つの首と尻尾を持ち、各々の首が魔法や息吹を放ち、

 尻尾が薙ぎ払うことで後方の敵をも撃ち払う。

 そんなヤマタノオロチだが、その使命は龍王を始めとする

 龍種の行いを見届けること、とされる。

 龍種は圧倒的な能力を持った優れた生命体とされる。

 また、高位の龍であれば高い知性を持つ。

 しかし同時にその力は余りにも強大だった。

 神龍は、悪しき事にその力を行使しようとする龍を粛清する。

 もし星が汚染されれば、それを浄化する。

 不当に龍種が攻撃されることがあればそれを護った。"



 へぇ、……魔王が夢の中で言っていたことと

 大体同じ感じかな?……ん?


 この資料、裏に殴り書きで何か書かれている。

 風を起こして資料をひっくり返し、読んでみた。



 "しかし、ヤマタノオロチは目立ちすぎた。

 本分は全うしていたが、その姿を見た人間は

 ヤマタノオロチを強く恐れた。

 そして、ヤマタノオロチを始めとした龍種達は

 勇者スサノオとスサノオが率いた

 人間の軍団によってその大半が滅ぼされた。

 ヤマタノオロチは力を奪われ封じられ、龍王は行方不明、

 そして龍種の大半が滅び、その個体数は大幅に減少した。

 龍種の楽園だった龍の谷は人間によって奪われ、

 生き延びた龍も世界中に散り散りとなった。

 この空島にも龍が逃げてきた。しかしその龍は空島の人間を見るなり

 狂乱しながら息吹を乱発し、空島の奥地へと飛び去った。

 そして、空島の天空都市は滅ぼされた。

 生き残ったのは、この地下研究施設に篭っていた私だけだった。

 龍は重症を負っていた。息吹を乱発したのは

 恐らく自身を傷付けた人間をこの空島で

 発見したことで防衛本能が働いたのだろう。


 龍を恨む気持ちが無い訳では無い。

 私の大切な妻や子供や仲間達、再び全てを失った私の悲しみは深い。

 だが、この事態を招いたのは愚かな人間なのだ。

 もしこれから先、空島に辿り着き、

 この日本語を読み解けるものがこの資料を読み解いたなら。

 その者に私が残す機械や資料の全てを託そう。

 奥のマザーコンピュータルームへと向かうが良い。

 どうか私の代わりに記録を取り続けて欲しい。

 そして龍には決して近付いてはならない。

 強い恨みを抱いたであろう龍は……"死霊龍(ドラゴンゾンビ)へと成り果てるのだから。"



 ……死霊龍……だと?

 これは、無視できない情報だ。


 思わず難しい顔をしたら、フラードに顔を覗き込まれた。



『アス。随分熱心に資料を読んでいたようだが……。

何か、あったのか?途中から難しい顔をしていたが……』


『ああ……。悪い、夢中になってたな。

……実はな、この資料には……』



 俺はフラードに資料で分かった死霊龍について、

 そしてここにある資料や機械は

 好きにしていいということを伝えた。



『なるほど……そうか……。

全ては、私の不甲斐なさの成すところだ……』


『フラードが気に病むことじゃない。

元々人間の自業自得だろ。龍に襲われたのは』


『……済まない』


『……勇者か』


『!』



 フラードの眼光が強くなった。黒い感情が伝わってくる。



『……どこまで、知った?』


『え?……フラードが勇者に負けた、というところだけだ』


『……なら、いい』


『……?』



 フラードはそのまま先へと進み出した。

 よく分からなかったが俺も慌てて後を追った。



 この研究室の奥にはまた扉があった。

 扉には起源文字もとい日本語で

 "マザーコンピュータルーム"と書かれていた。


 ゆっくりと扉が開かれる。


 中には、やはり資料が散乱した机があるが、

 一つだけ違う所があった。



『……デカイな』



 そこには、巨大な機械が奥に鎮座していた。



『これが……マザーコンピュータか』



 今は起動していない空島の地下研究施設に

 安置されていたマザーコンピュータ。


 研究施設の自動防衛システムは

 前の部屋の研究資料と、

 このコンピュータを守っていたのだ。



『どのようにすれば、起動するのだ?』



 フラードに問われた。



『……これじゃないかな』



 俺はコンピュータに取り付けられている、

 日本語で"エネルギー充填装置"と書かれた

 タンクのような物を蹄で小突いた。



『これに魔力を込めれば、起動すると思う』


『なるほど』



 俺は装置に触れて、魔力を流す。すると、部屋が振動し出す。


 バランスを取るために前脚を装置から放した。


 そして機械的な電子音が響いた。



『魔力重鎮ヲ確認。全言語翻訳機能作動。

システムエラーチェック……異常無シ。

魔力エネルギー回路解放。エネルギー調節機能作動。

自動防衛システムOS1.0、一時停止。

全システムオールグリーン。全システム、作動開始。

マザーコンピュータ……"ウィズダム"、起動シマス!』



 マザーコンピュータが淡く輝き出す。


 部屋に光が灯された。どうやら天井に付けられていたらしい

 光を灯す魔道具とやらが起動したらしい。


 そして、揺れが収まった。そのままマザーコンピュータの

 ウィズダムが、機械音で語りかけてきた。



『ヨウコソ。私ハ

空島コンピュータシステムマザーコンピュータ、

"ウィズダム"ト申シマス』


『……』



 俺はどう返事をしようかと思っていると、

 ウィズダムが機械音で、答えた。



『現在、私ハマスター設定ガリセットサレテオリマス。

新タニマスター設定ガ必要デス』

 

『えっ……』


『新タナマスターヲ設定シテ下サイ』



 マザーコンピュータの……マスター……だと?


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