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第44話 夢の中で

「やあ。やっと会えたね?」



 男は俺を見るなりそう言い放った。 

 やっと?どういうことだ?それに俺はお前の事なんて知らんぞ。



「僕もだよ。君に実際に会ったことはない。

ここでの出来事も、所詮夢の中の話に過ぎない」


 

 そうなのか。というか、今俺の心を読んだのか?

 夢に読心術が関係あるのか分からんが。



「ははは。君は結構物事を考えたり、分析するのが好きなのかな?

道理で初期スキルが"鑑定"なわけだよ」   



 ……何なんだコイツは?何故俺がこの世界に来た時から

 持っているスキルを鑑定だと知っている?


 そんな疑問に答えることもなくこの男は話を続ける。



「今回、やっと君の魔力を見つけることができたから

こうして接触してみたんだ。いやあ大変だったよ」



 そうかい、そいつはご苦労さん。で、もう帰っていい?



「それは困るな。君には色々教えなきゃいけないことがあるからさ」



 教えなきゃいけないこと?



「うん。例えば……君がこの世界に転生した理由とか」



 ……知っているのか?



「そりゃあ当然。伊達にこの世界運営してないから」



 ……運営、だと?



「そう。君ならこう思わなかったかい?

"この世界はまるで地球のゲームの世界のようだ"……と」



 それは、そう思った。最初に気が付いた時には

 既にいた洞窟で、スライムやゴブリンやドラゴンが出て、

 レベルが上がったり、進化がある。正直ゲームのようにしか思えない。



「そうそう。この世界はそれが常識なんだ。

でも、君と同じ疑問を持った者達がいる」



 ……まさか。俺と同じ、転生者達…………。



「正解。まあ中には転生じゃなくて転移の人もいるけど。

それは些細な事だね。……君が何故この世界に来たのか。聞きたい?」



 俺はそれを聞いて思わず身構える。

 一体なぜ俺がこの世界に呼ばれたのか。

 それは可能なら知りたいと思ったことだ。



「……とはいえ、これは今は言うべきではないかなぁ。あはは」



 ……おい。



「あははは。今君がこの世界にいる理由を言っても、

後々君が面倒を背負うだけだからね。うん。

あ、決してボクが面倒くさいからとかじゃないからね」



 嘘つけ、絶対面倒くさいんだろ。



「やだなあ。君が面倒をしょい込むのも間違ってないよ。

例えば、ヤマタノオロチと不仲になったりね」



 ……どういうことだ。



「さて。時期が来たら教えてあげてもいいけど、今はまだ時期尚早だしねー」



 ……そうかよ。



「んー。突然だけど、地球の君はもう死んでる」



 そりゃあ、転生者っていうくらいだからな。



「転生者ですからね。大変お気の毒ですが

あなたの地球の冒険の書は消えてしまいました」



 ドラ◯エか!?言われても笑えねえよ!



「まあ、それはさておき。

とりあえず君はこの世界からすればイレギュラーなんだよね」



 まあ……元々いる世界が違うし、そうかもな。



「普通の勇者よりもさらにイレギュラーだから、

正直ボクも対応が面倒くさくてねえ。できれば関わりたくないんだけどね」



 うるさいわ。俺もなりたくて馬になったわけじゃないんだよ。



「えー。せっかく魔物管轄の神、邪神"ハードシップ"様が

動物神に頼み込んで創ってもらった馬なのに」



 なにそれ、詳しく。

 それはそうと邪神か……悪そうな神の世話になったのか、俺。



「邪神ってのは、単に闇属性を極めた神ってだけよ?

実際にはこの世界や他の世界で勇者召喚という

名の強制拉致からの徴兵をする、アホ女神の尻拭いに奔走している

超が付くほどの苦労人ですから」



 悲報。この世界の女神、定期的にやらかす模様。



「まあそれはさておき。この世界に迷い込んだ君の魂を察知した

ハードシップ様は、動物神に頼み込んでとりあえずの器として

馬の肉体を用意したのよ。ハードシップ様は

魔物担当の神だし、邪神という肩書だからこの世界の

下位神皆に恐れられてて。オマケに女神とは仲悪いから

結局仲間が動物神とか龍神くらいしかいなくて……

だから馬くらいしか魂の器が用意できなくてねぇ……。

人間担当の女神と仲悪いのが決定的だよね。ごめんね元人間くん」



 悲報。邪神は友達が少ない。あと元人間言うな。



「とりあえず君の魂を馬にぶち込んで

その後、魂に残ってる記憶を封印したのよね。人間の感性100%の状態で

馬になんてなったら多分遠くない内に発狂するから」



 なるほど、俺が人間の時の記憶がないのはそのせいか。



「で、洞窟に飛んだのは龍神のお力なんだよね」



 どういうことだ?


 

「君は導かれたんだよ。神龍ヤマタノオロチの下まで」



 フラードとの出会い、か。

 洞窟に飛んだのは、俺がフラードと出会うためだったのか?



「龍神としては、神龍が封じられているのは無視できない問題。

神龍は地上の龍族を見守り、場合によっては秩序をもたらす存在。

それでいてこの世界の魔力の調整をする役割もある。

オマケに負のエネルギーである瘴気を浄化する役目まであるんだよね。

だから何とか神龍の封印を解きたい。

でも神々は地上のこの世界に基本的に干渉してはいけないんだよ。

だから今までヤマタノオロチを救う算段が立たなかった」



 そうなのか。フラードにそんな役割があることには驚いた。

 ……つまり、ようは俺は転生者だから知能はあるし、

 馬だからもう人間じゃないし、

 ちょうどいいからフラード救出させる駒として俺を洞窟に送ったと。



「まあーそうだね。中々トゲトゲしいけど言い方してくれたけど。

……結果として君はヤマタノオロチを救出したから良いと思うけどなあ」


 

 まあこの際、それは置いとこう。

 俺がこの世界で馬になった理由も洞窟にいた理由も一応分かった。

 じゃあ俺はこれからどうしたらいいんだ?



「ヤマタノオロチを完全に復活させた後は好きに生きるといいよ。

最強の魔物を目指して戦いに身を投じても良し。

平和を望んで静かに生きるも良し。

美人な馬の魔物かき集めてハーレム作るも良し。君の好きなふうに……」



 ……なんだそりゃ。あと、最後はちょっとおかしくない?



「だってねぇ、君ってこの世界に来る経緯が

イレギュラーすぎるんだもの。ボクだってハードシップ様の

命令がなければ不干渉でいきたいレベルで。あ、これさっき言ったかな」

 


 その言い方はないだろう。おい。

 というか、一応聞くけど俺人間には戻れないのか?



「無理だね。もう君の魂がその身体に馴染んでる。

それにヤマタノオロチと魂が入り混じってるから

これ以上動かすと……崩壊するよ?魂」



 そうか。まあ、今更って感じだな……。

 できればなぜこの世界に来たのか知りたいところだが、

 それは答えてくれないわけだろ。



「まあ、そうだね。ただ君が滞りなくヤマタノオロチを

復活させてくれれば、教えることもできるかなあ。一応」



 ふーん。そうか。



「それにしても神龍が闇魔法"魂の契約(ソウル・コントラクト)"を使うとは、

よほど、信用してなかったんだねえ」



 どういうことだ?信用って、何の信用だ?



「一見何も気にしてないように振る舞ってるし、

助けてもらったことに恩義を感じていないわけでもない……が。

それとこれとは、話が別ってことだねえ」



 ……どういうことだ。説明しろ。



「……あ!そろそろ時間切れだ。

今日の夢の時間はおしまいだよ。馬くん」


 

 え、ちょっと待て!まだ聞いてないことが……!



「ははは。次にボクの気が向いた時にまた会おう!

時間を取らせて悪かったね、せっかくだからお土産をどうぞ!」



 ち、ちくしょぉぉぉぉぉ!

 葉っぱ一枚がお土産とかふざけんなぁぁぁぁ!!



 俺の痛烈な心の叫びと共に、男の姿は靄となって消えていく。


 まるでスッキリしないまま葉っぱを

 頭に乗せられた俺は、そのまま意識がハッキリし始めた……。


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