第24話 冬の騒動 その3
俺は現在、自宅の防衛をシャープに任せ、雪の散る山を移動していた。
途中遭遇するスノースライムを踏み殺しながら移動する。
何故こんな雪が降る中わざわざ移動しているのかというと、
ヤマヒメから厄介な依頼を受けてしまったからだ。
俺はその依頼を確認するために記憶を振り返る。
「今回のスノースライムの大量発生には原因がある。
丁度ここの逆側辺りにスノースライム達を発生させる元凶がいるのじゃ」
『元凶ねえ』
「そなたへの頼みというのは、わらわに代わりその元凶を排除することじゃ」
『アンタがやればいいんじゃないのか?』
「わらわは山の生き物を逃がしたり、
スノースライム達の駆除しなくてはならぬのだ。
そなたでは後者はできても、前者はできまい。
これが最善だとわらわは思うておる」
『むむ……。なるほど、分かった。
やれるだけやってみるが、太刀打ちできそうになければ俺は逃げる。
命は惜しいからな。それくらいは構わないか?』
「そうじゃの。もし敵わない相手ならばできるだけ
時間を稼ぎ、弱体化させてくれ。そうすればわらわが何とかできるだろう」
『因みに、元凶がどういう奴なのか分かるか?』
「恐らく、魔力の質からすれば、冬になると
毎年発生する"スノーマン"という魔物の類だとは思うのだが……」
『分かった、探してみるよ』
「すまぬのう。フラードとやらもいれば良かったのだが……」
『あいつは今出かけているからな。いないもんはどうしようもない』
「そうじゃな。では、そちらは任せたぞ」
『ああ。そっちもしっかりやれよ』
そうして、俺達は分かれてそれぞれの役目のために行動しだしたわけだ。
俺はスノースライムから出た魔石を
喰って魔力を回復させ、目的地へと向かう。
その目的地は、山の中腹だというのに不自然に開けた場所だった。
所々に歪な形で、抉られたような感じの、
齧りかけのようにも見える倒木が何本もある。
なるほど。スノースライムが植物を食い荒らす。
動物で例えれば、こんな感じで人間の畑を荒らすように一つの作物を
齧ってはすぐに別の作物に齧りつく。そうして作物の方はダメになってしまう。
何というか、それに近い。
これはスノースライムによって山が丸裸にされるというのも、
それほど大袈裟な話でもないな、と俺は気を改める。
開けた空間に足を踏み入れる。
まるでここだけ雪原のようだ。
それと同時にスノースライムがまたしても大量に現れる。
雪に埋もれていたため、見分けがつけにくくなっていたが、
魔力感知はその魔力をきちんと捉えている。
ライトバレットでスノースライム達を撃ち抜く。
まだ十分な距離があるためこれで十分だ。
慎重に移動しつつスノースライムやアイススライムを撃ち抜く。
【条件を満たしました。レベルが8から9に上昇しました】
【条件を満たしました。称号「狙撃手」を獲得しました】
レベルが上昇し、称号が付いた。
レベル自体は確認する暇がなかったが、自宅防衛戦でも上がっている。
幸先良く、スライム達を狩ることができたので先に進む。
俺の魔力感知は既に元凶の魔力を掴んでいる。
かなり大きな魔力だ。他にはこれ以上のものは感知できないから、
恐らくはコイツが原因なのだろう。
やがて、その魔力が感知される目的地に辿り着く。
そこには、大きな二つの雪玉が積み重なっている。
『かなり、デカいな。おい雪だるま。答えろ。
お前がスノースライムを大量発生させてるのか?』
『………』
雪玉は返答せず、代わりに周囲の雪を収集し、
それに魔力が宿ることで動き出す。スノースライム誕生の瞬間である。
『それが挨拶ってことか』
誕生したスノースライムをその場で踏み潰す。
誕生したてはレベル1。しかもスノースライムは
Dランクなので俺にとっては一匹では雑魚でしかない。
雪玉はスノースライムが踏み潰されたからか、
その雪の身体を震わせて動き出す。雪で出来た手足が生え、
上の雪玉に雪を掘って作ったかのような顔が浮かび上がる。
その雪玉が声を荒げながら動き出す。
『我コソハコノ山ノ新タナル支配者トナル者!
馬ノ分際デ我ニ歯向カッタコトヲ、後悔スルガイイ!』
『はいはい、そういうのはいいから』
俺は雪だるまが振り下ろしてきた腕を
かわして距離を取り、龍眼を発動させる。
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種族:キングスノーマン
系統:物質系
状態:通常
LV :2/70
HP :3548/3548
MP :2687/2687
攻撃力:3384
防御力:3229+161
魔法力:1986
魔防力:3022
素早さ:1986
ランク:A
攻撃系スキル
「全力攻撃:LV5」
魔法系スキル
「水魔法:LV5」
技能系スキル
「魔力感知:LV5」「魔力操作:LV5」「念話」「堅固」
「HP自動回復:LV4」「MP自動回復:LV4」「統率:LV1」
「連携:LV1」
耐性系スキル
「水耐性:LV5」「物理耐性:LV4」「苦痛無効」「毒耐性:LV6」
ユニークスキル
「従属生成」
称号
「突然変異」「率いる者」
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『…………は?』
俺はキングスノーマンなる魔物の能力を知って、
思わず別の意味で驚いてしまうのであった。




