第23話 冬の騒動 その2
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:シャープ・アイシクルスライム
系統:スライム系
状態:通常
LV :1/35
HP :1693/1693
MP :1904+550/2454
攻撃力:1170
防御力:2100+205
魔法力:1767+288
魔防力:1826+241
素早さ:1170
ランク:B
装備:
E.龍麟の羽バンド
攻撃系スキル
「全力攻撃:LV3」「氷柱攻撃:LV5」「毒攻撃:LV5」
魔法系スキル
「水魔法:LV5」
技能系スキル
「魔力感知:LV6」「魔力操作:LV6」「念話」「堅固」
「余裕」「魔力強化」「HP自動回復:LV4」「MP自動回復:LV4」
耐性系スキル
「水耐性:LV5」「物理耐性:LV6」「苦痛無効」「毒耐性:LV6」
ユニークスキル
「スライムボディ」「捕食吸収」「保管」「分裂」
「氷柱弾」
称号
「魔物殺し」「死線を越えし者」「突然変異」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
進化したスマートを鑑定した。
なるほど、かなりのステータスだ。
って、氷柱が生えたせいで羽バンドがベルトのように下にずり落ちてる。
いや、スマートが進化するときに位置を変えたりしたのだろうか?
……とりあえず呼び方はスマートからシャープに改名だな。
さて、こっから反撃といこうか!
俺がライトバレットでスライム達を倒す。
そんな中、シャープは全身の氷柱をスノースライムへと向けていく。
パキパキパキ、と歪な音がシャープから響く。
そして、その氷柱を一気に発射した。
その光景に俺は一瞬呆気にとられたが、すぐに気を取り直す。
これは恐らくユニークスキルの"氷柱弾"なのだろう。
一本一本の氷柱がスノースライム達を貫通し、絶命させる。
シャープは氷柱がなくなると、
スマートの時同様のスノースライムの姿だった。
しかし発射したそばからすぐに全身に氷柱が生成されていくようだ。
ピキ、パキと音を鳴らしながら全身が凍り、
鋭くとがっていく様は中々に異様な光景だ。
さらに氷柱を武器に体当たりや、連続で攻撃もできるようだ。
ス、スライムなのに近接戦に強い!スライムなのに!
俺は思わず、スライムの可能性を感じた。これは侮れないわ。
俺は気を引き締め直して、スノースライムに立ち向かう。
ライトバレットで遠距離から攻撃しつつ、
近付いてきたスノースライムは踏み付けて処分。
シャープは氷柱が生えそろうと、"氷柱弾"を発射して
スノースライム達を一掃し、
氷柱が生え揃うまでの間は魔法と最初に生えきった氷柱を用いた
近接戦でスノースライムを蹴散らしていく。
スライムとはいえ流石Bランクだけあって、
シャープ・アイシクルスライムは強い。近接、遠距離ともに氷柱を用いた
攻撃手段があり、高位のスライムなため耐性も高い。
多分、全身を氷柱で逆立てて防御態勢らしき構えを取ってしまえば
並みの魔物では迂闊に触れることすらできないだろう。
それほどまでに長く、鋭利な氷柱なのだ。
この氷柱、スライムの物理攻撃が弱い、
という点を大きくカバーしているのが最大の特徴だろう。
俺はシャープの強化のおかげもあって、
ある程度戦局に余裕が出始めたことで、冷静に能力の分析を始めていた。
とりあえず俺の中の貧弱なスライム像は脆くも崩れ去った。
それは間違いない。
ごめんな、某ドラゴンなRPGのぴぎー達。
……いや、アイツラも灼熱の炎を吐いたり、
全魔力解放して発動する極大魔法使えたりしたっけか?
そう考えたら、スライムって別に全然弱くないじゃん。
単に育て方の問題なような気がしてきた。
途中からスノースライムに混じり、恐らく通常の上位種であろう
"アイススライム"なるものが混じっていたが、
それもスノースライムとは大差なく、普通に処理できた。
やがて、スノースライムの波が去り、
残ったのは大量のスノースライムの残骸と魔石だった。
俺はその異様な光景を眺めながら一息つく。
『ふう。やっと、スノースライム達を追っ払えたな。
……しかし、何でまたこんなにスノースライムが大量にここに』
『マロ~?』
「それは、ここに大量の魔石が置かれているからじゃのう。
ああ、邪魔するぞ。おお、ここは結構広いようじゃのう」
声のする方を見ると、長い黒髪の和服の女性。
この山の主であるヤマヒメ、ソイツがいた。
俺はヤマヒメの発言に疑問を持ち、問いかける。
『魔石?確かにマザーから貰ったものを奥に置いているが、
何で魔石が置かれているだけであんなにスノースライムがくるんだ』
「あのスライム達は、魔力の多い場所目掛けて移動してきたのじゃ。
そして、この建物には魔力の塊である魔石が大量に保管されている」
『……もしかして、魔石って置きっぱなしは不味かったか?』
「キラーアントの巣の奥のような誰も辿り着けんような場所に
隠して貯め込むならともかく、壁一枚二枚ではなぁ」
ヤマヒメはそう言って苦笑している。
なんということだ、俺がとりあえず何となく置いた魔石が原因で
こんな羽目に遭ったのか……。と、思った矢先だった。
「まあ、原因はそれだけではないがのう」
『……え?』
他にも原因があるのか?
ヤマヒメは「そう急かすでない」と言いつつも教えてくれた。
「実は例年ではこれほどの数のスノースライムは発生しないのじゃ。
ただでさえ今回の冬は、人間の山狩りで小動物等が減っている」
『……まさか、食料不足の時期にたまたま大量発生した
スノースライムが暴徒化したって言いたいのか?』
「話が早くて助かる。既に山の各地でスノースライムによる被害が出ておる。
飢えて気が立っている上数が多く、毒もある難敵。
しかもスライムだから動物も植物も関係なく取り込んでしまう」
俺はヤマヒメの話を聞いて黙り込む。
確かにあの数と毒は脅威だ。俺も一人だったら危なかっただろう。
あくまでシャープが手助けしてくれたからどうにか退けたのだ。
そして、ヤマヒメが強い口調で言う。
「つまり、このままだとスノースライムが
何もかも食べ尽くし、山を丸裸にしてしまうのじゃ」
『……思ったより、ずっと深刻な状況なんだな』
「そういうことじゃ。さて、では本題に入ろう」
『本題?』
「ああ……わらわは、ソナタに頼みがあってここに来たのだ」
『ドウヤラこの冬の騒動ハ、これからガ本番のヨウダ……。マロ』
『……面倒だなぁおい…………』
ヤマヒメの発言を聞いてシャープは何故かノリノリだったが、
俺は対照的にゲンナリとしてしまった……。




