第22話 冬の騒動 その1
何か、最近スノースライムをよく見るようになる。
俺の家に居付いているスノースライムと見間違えてしまうので目印を付けた。
目印と言っても俺の尻尾の毛を少しちぎって、
それを加工して羽みたいなのをキラーアントに作ってもらった。
その後フラードには鱗を一枚分けてもらいバンド型に変形してもらい、
キラーアントが作った羽を飾りに挿せば完成だ。
スマートが喜んだ。ああそう、種族名で呼ぶと区別付けれないから
俺は心の中ではスマートと呼んでいる。
そんな中、フラードが愚痴をこぼす。
『いくら龍眼の要領で鱗を細工できるといってもな。
一応私は龍族の頂点であってだな。
そんなホイホイ鱗を渡せるわけではないのだぞ?』
『じゃあ、お前からたまにポロポロ落ちる鱗は何だ?』
『あれは鱗が生え変わっているだけだ』
『じゃあそれを使えばいいんじゃないのか?』
『いや、私自身が加工するには生きた魔力でないとダメだ。
抜け落ちて死んだ魔力の残滓では不可能だ』
「精々、武器や防具に加工するかだな」とフラードは言い終わる。
武器に、防具だと?……今度作ってみよう。
だって、スマートが付けてる羽飾りの風格がすごいもん。
そもそも龍眼じゃないと鑑定できない時点でそのレベルは推して知るべし。
絶対凄い道具ができる気がする。
加工方法は……今度マザーにでも聞いてみよう。
マザーはこの山の地下に巣を構えるだけあって、
山のことにかなり詳しい。俺も結構世話になっている。
そうそう、この山は結構デカい。
ヤマヒメがいるおかげもあって、人間が狩りをすることはあっても
開拓されたり切り開かれたりすることはないそうだ。
とはいえ、ヤマヒメにはあまり変なことをしないよう釘は刺されている。
フラードの乱獲、キラーアントとバトルビートルの一族の合併、
謎の白い建物の建造。……変なことしかしていないような気がしてきた。
とはいえ、兼ね平和に過ごしていた。
変化と言えば、フラードは自身の分体が放っている
微弱な魔力をずっと追いかけているようで、ここ数日動かなかったが、
つい最近、分体フラード捜索隊キラーアントの帰還と同時に
フラードが動きだして、捜索隊の何匹かをマザーから借りて
地下通路を掘り始めた。何か目星がついたのだろうか?
ある日、雪が降るようになり外の冷気が辛いと思うこの頃。
水魔法で出した水が数分で凍ってしまう感じだ。
屋根もあるおかげで雪はしのげているものの
この寒さは如何ともしがたい。
しかし、
その寒さとは別の問題が発生した。
「「「「「すのののー!!」」」」
『何なんだコイツらはよぉぉぉッ!!』
俺は屋内にまで入ってきたスノースライム達を
ライトバレットで撃ち抜く。
それだけで倒せるほど弱いがとにかく数が多い!
スマートも同族の暴走には
「フッ……。お前達のような
稚拙な者には……このマロは超えられぬ……」とのこと。
何言ってんのかよく分からないが、
スマートはスノースライムを取り込んで倒して(?)いる。
アレがユニークスキルの「捕食吸収」なのだろう。
何体か吸収する度にスマートのレベルが上がっているようだ。
この分だとすぐに進化できそうだ。良かったな。
……さて、それとは別にこれは非常に困った。
スーパーホーン達カブトムシ一族は冬眠のため活動休止。
キラーアント達も寒さのせいで殆ど外に出てこない。
さらに最高戦力ことフラードさんが現在お出かけ中。
頼れるのは………。
『マロ?』
……スマート、お前だけか!
とりあえず今はコイツに背中を預けるしかねえ!
俺はライトバレットを使いスノースライムの数を減らし、
時折"恐怖の魔眼"で動きを阻害する。
スマートは「捕食吸収」でスノースライムを取り込んでいる。
って、取り込んでいる間は無防備なのか!
袋叩きに合わないように俺が守らないといけないのか!
『めんどくせえ!光魔法"シャイニーレイ"!』
放たれた光線がスノースライム達を一瞬で貫く。
貫通力に優れたこの魔法。
ホワイトドラゴンが放っていた光線の正体はこの魔法だった。
今はそんなことは関係ないが。
【条件を満たしました。レベルが5から6に上昇しました】
俺のレベルアップ情報が頭に入ると同時に、
敵のスノースライムを吸収しきったスマートの身体が光り輝き出す。
この現象は……知っている。
俺はスマートの周りのスノースライムを蹴散らし、
スマートの周囲を光魔法"シャイニーウォール"で覆う。
光魔法で展開された壁はスノースライム程度の攻撃では
そうやすやすとは剥がされまい。
後は時間を稼げれば……!
そう思った矢先、俺は後ろから体当たりを受けてしまう。
それと同時に体内に体当たりの威力からは想像できない
痛みを感じる。それは熱を伴い全身に広がり出す。
これは、毒か……!
光魔法ですぐに毒を解毒するが……
こんな状況が続いてしまっては、いずれ魔力が枯渇してしまう。
そうなったら、次第に数に押し切られて
こいつらの餌にされてしまうだろう。それはゴメンだ。
毒攻撃を喰らわしてくれた
スノースライムを反撃で踏み潰した時、魔力感知が反応を捉える。
俺はそれを感じ取った時、思わず乾いた笑い声を上げた。
『おいおい……。俺の魔力感知でも、数百匹はくだらないぞ……』
俺が感じ取れるだけでも数百匹のスノースライムが、
こちらを目指して一直線に進んでいた……。
俺が、その数に焦燥感を覚えると同時に、
横から強い魔力反応が現れる。ソレは俺の展開した光の壁を容易く粉砕した。
俺は簡易とはいえ、自分の魔法を撃ち砕かれたことに
驚きつつもその光景を見守る。
消滅した壁の内側から現れたのは一匹の魔物。
それは、全身が氷柱のような鋭利な氷に覆われたスマートだった。




