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第17話 魔物との交渉の仕方が分からない

 キラーアントの巣穴はかなり広く、薄暗い。


 これだとまた洞窟にいるような感じだ。

 魔力感知を全開にしたフラードが言うには、

 しばらく蟻がいないようなので、フラードの指示に任せて移動する。


 スーパーホーンは暗視を持たないので、

 俺が光魔法で発光して目印になる形だ。

 

 MP自動回復のおかげで、発光程度の魔力の消費は問題ない。


 辺りには、水に濡れた細切れだったり、

 粉々になったりしているキラーアントの死骸が散乱しているため、

 少し道が進みにくいが、それくらいだ。


 いくらフラードが近くに蟻はいないと言っていても、

 全く何も出くわさないことを内心不審に思いつつも移動し続ける。


 それからしばらくして、キラーアントの群れを感知したと、

 フラードが報告した。どうやら一室に固まっているらしく、

 かなり強い反応もあるそうだ。


 やがて、俺達はその部屋の中に踏み込む。


 部屋の中央には、一際大きな……特にお腹が、大きい蟻がいた。

 その大蟻を守るように、二匹の蟻が前に出る。この二匹の蟻はかなり強いな。


 さらに周囲に散った形で配置された、キラーアント達。


 俺達は身構えたが、唐突に声がかかる。



『馬ヨ。何ユエ我ラヲ害スルノデス?我ガ一族ハ、

ソナタノ怒リヲ買ウヨウナ真似ハシテハオラヌハズ』



 この念話は……もしや、あのお腹の大きい蟻からか?

 俺はあの蟻を龍眼で鑑定する。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族:マザーアント

系統:昆虫系

状態:衰弱

LV :14/60

HP :2704/2704  

MP :14/2535  

攻撃力:1367−272   

防御力:1859−370  

魔法力:2109−420   

魔防力:2535−506   

素早さ:1367−272  

ランク:B

攻撃系スキル

「全力攻撃:LV3」「牙攻撃:LV3」

魔法系スキル

「土魔法:LV4」

技能系スキル

「魔力感知:LV5」「魔力操作:LV5」「暗視:LV8」「指揮:LV6」

「統率:LV7」「連携:LV5」「掘削:LV4」「念話」

「鼓舞」「HP自動回復:LV4」「MP自動回復:LV4」

耐性系スキル

「土耐性:LV4」「苦痛耐性:LV3」「物理耐性:LV3」

ユニークスキル

「産卵」

称号

「女王蟻」「統率者」「指揮官」「率いる者」


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 なんだ?妙に弱ってるな。

 しかし、それを感じさせない凛とした態度はなるほど、

 さすが女王っていうところか。

 俺は内心で評価を高めながら、返答する。



『俺達はこのカブトムシに、お前らを排除することを任された。

お前らが、こいつらの住処の子供たちを狙っているらしいからな』



 それを聞いた周りの蟻達が警戒を強める。

 しかし、マザーアントが周りの蟻達を一瞬で黙らせた。

 そして態度を崩さずに言う。



『デハ、我ラハ今後彼ノ者達ノ住処ヲ害サヌト誓イマショウ。

サスレバ、彼ノ者達モ我ラニ怯エテ暮ラス必要ハ無イデショウ』


『ほう?そうしてくれるとありがたいが、本当にそんな誓いができるのか?』


『ム……我々ニハ、証明デキル物ハアリマセン。

デスガ、我ガ一族ハ、私ニハ絶対服従ナノデス』



「故ニ、私ガ誓ウ以上ハ誰モ誓イハ破ラナイ」と、

マザーアントはそう言い切った。


 ふーむ。スーパーホーンをチラ見するがまだ疑心暗鬼、というところか。

 仕方ない。もう一押し入れるか。



『そうは言っても、所詮は口約束。いつ破棄されてもおかしくはない』


『デハ、我ガ一族ヲ滅ボス、ト?』


『もちろんその気になればできるが、そんなつもりはない。

代わりにこちらが出す条件を呑んでくれればな』


『……ソレハ?』


『俺の傘下に入ること』



 それを聞いた蟻達が再び騒ぎ立てるが、やはりマザーが一喝して黙らせた。


 何故傘下に入れるのかは簡単で、

 カブトムシ一族も蟻一族も等しく纏め上げて味方同士にすれば、

 争う相手ではなくなると思ったから。


 あと、俺の手足が増える。


 とはいえ、さっきまで争い合っていた者同士が

 手を取るなんてのは簡単にはできないだろうから、

 少し強気に振る舞って、少しずつ懐柔していくか……?

  

 そんなことを思っていると、マザーが返答する。



『ソレガ、条件デスカ?』


『ああ。俺としては、お前達に雑事を頼むつもりだが、

代わりにお前達が対応できない敵と戦う時は、

俺達が代わりに倒す、あるいは追い払う。

それにある程度の自由等、それくらいは認めるつもりだ』



 マザーアントは少し考えているようだ。

 少し揺さぶりをかけてみるか。



『どうもあんたは見たところ、

だいぶ弱っているようだが。どうしたんだ?何かあったのか?』



 マザーアントはそれを聞いて驚いたような素振りを見せる。

 本人は隠してるつもりだろうからな。


 その後、小声で食料不足だと教えてくれた。

 なるほど、だからわざわざカブトムシの子供たちを狙ってたわけか。


 俺はフラードに念話を送る。

 フラードはそれを受けて部屋を去った。



『今、俺の友人が獲物を取りに行った。

しばらくすれば戻ってくるだろうから、荷運び役を用意することだな』


『……アノ、蛇ガデスカ?

シカシ、我々ノ食事ヲ賄エル程確保デキルトハ思エマセンガ』


『大丈夫だ。アイツは俺より強い』



 その言葉を聞いて、マザーアントも、スーパーホーンも驚いた。

 どうも半信半疑のようだが、俺は嘘はついていない。


 その後、しばらく俺はマザーアントとスーパーホーンの間で

 不戦か、戦闘続行かのやり取りを横で聞いていた。


 一応俺は部外者なのであえて口は挟まなかった。


 しかしそれもフラードが大きな獲物を

 咥えて戻ってきたことで終わりを告げた。

 見たところ、デカい狼の魔物のようだ。



『コレハ……。フォレストウルフ、デスカ。

キラーアントナラ、十匹ガカリデドウニカ仕留メラレル、

トイウトコロデショウカ?』


 

 マザーの丁寧(?)な解説に対してフラードが返答する。



『ああ、その狼ならまだ外にあるぞ。

それ以外にも、ホーンラビットやスタンバードを適当に。

一番大きな獲物はジャイアントバイパーよ。デカすぎて運べなくてな』



 その報告を聞いてマザーアント達やスーパーホーンは

 お互いに顔を見合わせ、どの程度狩ったのか尋ね、

 フラードが、「数百匹ほど?」と、返答すると

 彼らは、とうとう思考を放棄してしまうのであった……。


 その後、実際にキラーアント達が食料を運びに来ると、

 食料の見張り役を頼まれたらしいバトルビートル達がいたようで

 彼らも荷運びの手伝いで何匹か付いてきた。

 

 その様はさっきまで争い合っていた

 種族同士とは思えないほどの協力体制だった。


 フラードが狩った量が多すぎて、この有様のようだ。


 その後、しばらく山積みとなった

 死骸をセッセと運ぶキラーアント達を眺めていたが、

 その魔物の魔石は何故か俺の前にどっさりと置かれている。


 後で知ったことだが、これはマザーアントの指示だったらしい。


 獲物を狩ったのはフラードだが、そのフラードが何故か

 あくまで俺の方が格上で、自身は下あるという立ち位置を貫いたため

 マザーアントがフラードの意志を尊重して、

 俺を丁寧に扱うように命令したらしい。まあ、それはさておいて。



『……我ガ一族ハ、ソナタ達ノ傘下ニ

入ルコトヲ、喜ンデオ受ケ致シマショウ』



 「フラードが獲物狩っただけだよ?」と返すと、

 「我ガ子供達ノ命ノ恩人ニ

 ドウシテ報ワナイノデショウカ、イヤ報ウデショウ」

 と強い口調で返されてしまった。


 そして、マザーアントがさらに

 大量の魔石をキラーアントに運ばせ、俺の前に丁寧に置いた。


 話を聞くと、魔石は普段はマザーアントが食べる女王専用食らしい。

 そして、あえてそれを全て俺に

 奉納することで傘下に入る印にしたいらしい。


 流石にマザーアントの食事を全て

 かっさらうのはやりすぎだと、半分は返却して傘下入りを認めた。

 元々こちらも望むところだったしな。


 マザーアントはそれを受けて何故か感動していたが……。

 まあ、いいだろう。


 さて……この後、どうしよう?


 俺の目の前には、先ほどよりは減ったとはいえ、

 相変わらず山盛りの魔石が積まれていた。


 ……俺、どこかで交渉の仕方を誤ったかもしれない。


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