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第15話 交渉は強気にやれと誰かが言っていた

 翌朝。俺達は山を再び移動することにした。


 俺は道中で時折草を齧ったり、

 フラードは昨日仕留めた小動物を少しずつ食べている感じだ。


 俺達が魔力を解放すると何も寄って来なくなるため、

 可能な限り体内の魔力を抑えている。


 これが中々骨の折れる作業で、難しい。

 魔法を使うにしても、効果を大きくするなら単に魔力を増やせばいい。


 逆に、縮小させるのはかなり繊細な技術がいる。

 触ったらバラバラになりそうな物を壊れないように持ち続けるような繊細さだ。


 これが中々魔力操作の訓練になる。

 念話に使う魔力も、一回一回はかなり微量なためだ。


 つまりこうして魔力を抑えて移動しているだけでも、

 念話はもちろん魔法や魔力操作の訓練になるのだ。


 監修はフラードである。流石魔物の先輩だよね。

 こういう知識は非常にありがたいし、頼りになる。


 そんなこんなで、山を登っていたわけだが……。

 魔力感知にこちらに接近してくるものを感知している。

 フラードも同様だ。


『アス。何か来るぞ』


(ああ、分かっている)



 やがて、そいつが姿を現す。

 ……一言でいうと、デカいカブトムシだ。


 俺は龍眼でそのカブトムシを捉える。

 ついでに"恐怖の魔眼"を試してみるか。


 龍眼に魔力を込めてカブトムシを睨む。

 ……心なしか、相手のカブトムシが怯んだように見える。


 その隙にフラードが俺の背から離れたのを確認して、

 俺は龍眼の鑑定を仕掛ける。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族:スーパーホーン

系統:昆虫系

状態:恐怖

LV :12/35

HP :2324/2324

MP :3471/3471

攻撃力:1596

防御力:1513−302

魔法力:3247+160

魔防力:3386

素早さ:1615

ランク:C

攻撃系スキル

「全力攻撃:LV4」「突進:LV3」「投技:LV2」

魔法系スキル

「風魔法:LV3」

技能系スキル

「魔力感知:LV4」「魔力操作:LV3」「魔力強化」「統率:LV2」

「連携:LV2」「掘削:LV3」「空間把握:LV2」「飛行:LV3」

耐性系スキル

「風耐性:LV2」「物理耐性:LV3」

ユニークスキル

「甲殻」

称号

「突然変異」「率いる者」「魔法の天才」


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 恐怖の魔眼はちゃんと通じていたようだ。


 ……ふむ。称号に気になるものがあるな。

 魔法の天才に、率いる者。さらに俺と同じ、突然変異。


 見た目は重厚な甲虫って感じなのに、魔力の方が高いな。

 魔法の天才という称号なだけはある。


 正直、俺としてはコイツは倒すのはもったいないと思う。

 どうにか話し合えないかな?念話ができればなあ。


 魔力操作を全開にして強い意志を込める。

 伝えたいことを、脳波に乗せて!相手の脳へと!!魔力で送る!

 ぬおおおおおっ!……!


 ザ…………ザ……ザ…………。



『……お……。……おい』


「!?」


(んん!?今の声は…もしやアスか?)



【条件を満たしました。スキル「念話」を獲得しました】



 よっしゃ!俺は心でガッツポーズをした。

 馬の姿のガッツポーズはかなり無理矢理だが。



『あー。……き、聞こえるか?』


 スーパーホーンに問いかけてくると、

 相手から魔力の籠った電波のようなものが返ってくる。


 それを、魔力操作で解析して翻訳する。

 なるほど、フラードがしていた念話のやり取りはこういうことなのか。

 コツが掴めてきたぞ。


(……声ノ主ハ、オマエカ?)



 スーパーホーンが問いかけてくるので肯定する。

 スーパーホーンは恐る恐る、という感じで尋ねる。


(我ラノ巣ヲ荒ラスツモリカ?アノ、蟻達ノヨウニ)


『蟻?』


(人間ニハキラーアント、ト呼バレル蟻ダ。

我ガ同胞達ヤ、幼イ子供達ガ襲ワレテイル)



 なるほど。その蟻にこのスーパーホーンの仲間が襲われているのか。

 しかし、スーパーホーンはかなり強いと思うが……。



(我ハトモカク、仲間ハ我ホドノ力ハ無イ)



 そうなのか?フラードに問いかけてみる。



『スーパーホーンという魔物自体、

私も見たことがないのでなぁ……。称号の通り突然変異体なのだろう』



 マジか。フラードが見たことがない魔物か。

 俺、こういうレア物に弱いんだよね。……よし。



『なあ、俺達をそのキラーアントって奴の所まで案内してくれないか?』


(……ドウスルツモリダ。)


『決まってるだろ。……倒すんだよ』


(……目的ハ何ダ)


『お前を仲間にすること』



 そう言い切ると、スーパーホーンは少し驚いたらしい。

 しかし、すぐに口調を戻した。



(……我ハ、ソコマデ安クハ無イ)


『ああ、そう。じゃあいいよ。

もしお前の仲間が全滅しても、俺達には関係のないことだし』



 俺は立ち去ろうとする。

 するとスーパーホーンは慌てた様子で引き留めてきた。



(ワ、分カッタ!ダガ、ソノ前ニ仲間ト相談サセテクレ。

我ノ独断デハ、決メルコトハデキナイ話故)


『ふむ。まあそれくらいは必要なことだろう。

ゆっくり相談してくれ』



 俺達は明日またここに来る趣旨を伝えて、スーパーホーンと別れた。



『……アスは、人材マニアという奴なのかの?』



 その後、「それにしても意地の悪い交渉だったのぉ」と、

 フラードは俺の背の上で、苦笑していた。


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