第14話 新たな力は使いこなせてこそ
【条件を満たしました。称号「生還者」を獲得しました。
「生還者」獲得により、スキル「HP自動回復:LV1」を獲得しました】
そこは、どこかの山のふもとだった。
太陽が光をもたらし、風が優しく身体を撫でてくれる。
ついでに称号を得たらしい。
『……おおお!!ついに、外か!!』
(そうみたいだな。……やっと、か)
俺達は山のふもとに転移したらしい。
フラードでも、どこに飛ぶかまでは分からないらしいが、
どうやら比較的安全そうな場所だ。
龍眼で遠くを見ると、明らかに整備された道と、
その先に城壁のような物が見える。
遠くを見ていたのはフラードも同じだったようだ。
『アスも見ていたか。少し離れているが、人間の街があるようだ』
(そうだな。人間には興味はあるが、
その前にまずは俺達が活動する拠点の方が必要だな)
『それも大事よな。あとは……アスの身体を慣れさせること』
そういえばそうか。光魔法とか、
さっき称号で手に入った気合法とかも試してみたい。
俺達は移動を開始した。
フラードが俺の背に乗ってとぐろを巻いている。
『周囲は私が警戒してやる。アスは気にせずに走れ』
(さんきゅ。さて、どこかに住むのに適した場所はないかな……)
俺は山の方へ向かう。理由は幾つかある。
まず、山の中の方が、目立ちにくいと思ったから。特に人にだ。
二つ目は食料に困らないこと。俺は草でいいし、フラードは何か狩ればいい。
山の中だし、獲物はいくらでもいるだろう。
最後に、俺も魔力感知を働かせているが、
今のところ強い反応はほとんどない、というところだ。
俺達は山の斜面が緩やかなところを適当に登る。
道中、幾つか小動物を見かけたが、フラードに睨まれただけで動かなくなった。
ショック死したらしい。眼力で死ぬとかフラードさん怖すぎません?
『アスの龍眼でも似たようなことはできるぞ』
(え。なにそれ、聞いてない)
『……アス。龍眼、まだ鑑定してなかったのか?』
(……はい)
『……アスは、妙なところで抜けてるの』
(うっさい)
後で鑑定しよう。俺は心の底でそう決めた。
一旦眼力でしめた得物をフラードが運び、
魔物だった個体からは魔石を取り出して俺の口に放り込んでくれた。
……これ、人間だったら、「あーん」ってやつだったのかなぁ。
『アスはそういうのが好みか?』
(……いや、しなくていいぞ?)
『む。私に魅力がないと言いたいのか』
(いや、そうじゃなくて。
俺が人間だったころの感性が抜けてないだけだと思う。多分)
そんな感じで他愛のない話をしつつ、日暮れまで探索した。
今日は大きな木の根元に少し穴を開けてそこを寝床にすることにした。
一息ついたところで、俺はフラードに言われた通り、龍眼を鑑定する。
「龍眼」
最上位龍が持つとされる魔眼。
相手の能力を測ったりできるが、視覚に入ったものに限定される。
また、貴重な薬の材料にもなる。
内蔵スキル:
「鑑定:LV8」
「千里眼」
「予見:LV3」
「視覚拡張:LV4」
「暗視:LV5」
「動体視力強化:LV7」
「恐怖の魔眼」
ごめん。ちょっと分からない情報が多すぎる。
一個一個、丁寧に鑑定していくしかないか……。
続けて鑑定を行い続ける。
「魔眼」
魔力を帯びた眼。
特殊な能力を持ち、ユニークスキルであることが多い。
「千里眼」
遠くを見れる。魔力を込めると見れる範囲が広がる。
「予見」
魔力を消費することで、未来の最も起こる可能性が高いものが見える。
見えるのはレベル×1秒先まで。
「視覚拡張」
視界が広がる。レベルが高いほど効果が上がる。
「動体視力強化」
動体視力が強化され、素早い物の動きも見切れるようになる。
「恐怖の魔眼」
魔力を帯びた視線で相手に「恐怖」の状態異常を与える。
「恐怖」
恐怖状態になる。防御力の低下や魔力操作の乱れを誘発する。
相手が怯えて逃げやすくなる。
千里眼は昼間、何となく使った奴だな。
動体視力強化に、視覚拡張…地味だが有用なものもあるな。
……いや、動体視力強化のおかげでホワイトドラゴンの魔法や、
フラードのステ補正による俺自身の加速にも対応できたのか?
……まあ、いいか。
しかし、予見は壊れ性能だと思う。魔力をどのくらい使うのかわからないけど。
現時点で3秒先までが見えるわけだろ?
戦闘において3秒先が見えるってのがどれだけ凄い事なのか、ね……。
因みにホワイトドラゴン戦では気付かなかったので使ってない。
これがあればもうちょいマシだっただろうなあ……。
恐怖の魔眼はよく分からない。
ただ恐らくフラードが小動物を睨み殺したのは、この類だと思うが。
その後、気合法(魔力を持続消費で全ステータス強化)、
竜闘法(魔力持続消費で全ステータス強化、一時的に「竜麟:LV1」獲得)
等を試した。これらは重ね掛けもできるようなので、
どうしようもない強敵に出会った時に使うことにしよう。
そして現在、俺の全身は弱めの光だが、光っている。
光魔法の初歩の初歩、"発光"だ。
『ふむ。熱はないが、光源として焚火代わりになるか』
(確かに今のところそれくらいしか使い道がないな)
その後、念話の特訓を行い、だいぶ感覚を掴めてきた。
もう少し訓練すれば、フラードと普通にやり取りができるようになるだろう。
称号は……また、今度でいいかな……。
鑑定、連続で発動すると頭痛くなるし。眠いし……。
俺達はそのまま、心地良い外の風を感じながら適当に雑魚寝した。




