第1章 「憂鬱な日々」
~登場人物紹介~
ハマダ ユウコ
浜田 幽子
この物語の主人公。幽霊として無視され精神的ないじめを受けている。2年1組 美術部
オカザキ ハルト
岡崎 悠人
2年男子で数少ない恵美を嫌う人の1人。2年1組 バレー部
ヒメヤマ エミ
姫山 恵美
2年生の中のお嬢様。幽子や橙をいじめてる中のリーダー格。2年1組 テニス部
シミズ サラサ
清水 更紗
恵美の親友。幽子や橙をいじめている中の1人。2年4組 テニス部
ヌマタ キララ
沼田 雲母
恵美の親友。幽子や橙をいじめている中の1人。2年2組 テニス部
ナカタ チェン
中田 橙
サンドバッグとされ肉体的ないじめを受けている。2年4組 卓球部
~序章 「刻々と迫る脅威」~
「私を北公園まで誘ってどうしたの、更紗?」
「さて、私達のサンドバッグはついに不登校………どうするの、恵美?」
「ふふっ、そうね。新しいサンドバッグ探そっか。ふふっ、あはは、あははははははは!!!!!」
「それ、まじ賛成wwなんなら〜、1組の浜田にする〜?w」
「更紗、あんたそいつまじいいじゃん!ふふっ… 明日みんなに新しいサンドバッグとして迎え入れたいと話をしましょ!あの幽霊の絶望顔見てみたいわぁ!!!」
「ふふふふっ!じゃあ決まりね。今日はもう遅………くはないか。でもうちの親うるせぇから、帰ってLINEしよ。」
「分かったわ。雲母にも言っとこ!じゃあね!」
「オケ。バイバーイ!」
誰もいなくなった北公園には、まだ彼女らの甲高い笑い声が響いてるような…そんな雰囲気が残された。
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
〜第1章 「憂鬱な日々」〜
私は【浜田幽子】。今日もいつも通りに中学校へ歩く、ただ私の登校には他人とは違うことが一つある…それは「学校なんか行きたくない」そんな憂鬱な気持ちで歩くことだ。先生が嫌なわけじゃない、勉強が嫌いなわけじゃない。ただただ、私のことを見えていないように扱うクラスメート…いや同学年の人が嫌なだけ。物理的ダメージを受けたことは無い。私はまるでそこにいないかのように無視され"幽霊"と呼ばれる。いわゆる私はいじめられっ子というやつなのだ。私がいじめられる原因になるようなことをした覚えなどない。でも、私は生まれつき病気で体が弱いから運動ができないそして何より彼女らにとって私を幽霊だと感じさせるのが……私の真っ白すぎる肌と名前だ。私は親からの遺伝と日に弱いためあまり外に出ないのが原因で異常に肌が白い。親は肌が綺麗だから気にすることはないと言ってくれるが、同級生はそうは思わないらしい。...いや、逆に嫉妬されているのかもしれない。その嫉妬心と【幽子】という名前から幽霊として扱われてしまっている。悲しいものだ。無論、最初の頃は毎日泣いていた。でも今では涙も枯れてしまっている。何度も何度も死にたいと思った。けど家に帰ると母が笑顔で「おかえり。」って言ってくれる。その言葉を聞くと行動は起こせなくなる。母だけを頼りに生きていた。父は私が小学校低学年のとき死んでしまったから、本当に私には母しかいないのだ。学校は嫌なことばかりだけど、将来とためにと考えれば休むなどできない。今日も学校へ行く足取りは重い、重すぎる。そう思っている間に私は校門の前までたどり着いていた。
教室に入るとクラスメートが挨拶してくれる...なんてことはない。けど今日はいつもより騒がしい気がする。「気のせいかな。」そうつぶやくとほぼ同時に、
「おっはよぉ~!」
「「「おはよ!」」」
「ねえ、恵美聞いて昨日Twitterで喋りまくったあの人実は...」
「えっ!それマジ!?」
「マジだよ!やばくね?」
「やっば、まじか!ないわぁ~。」
どうやら昨日の夜ネットでちょっとしたことがあったようだ、でも私には関係ない。かばんをロッカーに片づけた頃、なぜか先生に呼び出された。
「浜田さん、ちょっといい?」
「はい、大丈夫ですけど...」
「確か浜田さん、中田さんと同じ委員会だったよね?」
「はい、そうですよ。」
「放送アンケートのお知らせ、中田さんお休みだから代わりにしてあげて。プリントは先生の机の上に置いてあるから。」
「分かりました。」
先生とそんな会話を交わした後、私は先生の机に行きアンケートの紙をロッカーの上に移して、席に座った。本でも読むかな...
私が本を読み始めてから十数分後にチャイムが鳴った。みんなが一斉に席に着きその後、
「はい、朝礼始めます。今日の当番は...」
「岡崎ー、お前だろw」
「あー、そうだったw」
「忘れないでよねw会長でしょ?w」
「ごめんごめんw」
そう言って、岡崎さんが前に出る。
「今から朝礼を始めます。起立...礼。」
「始めます。」
「「「始めます。」」」
そうやっていつも通りに朝礼が進み...
「何かお知らせはありませんかー?」
そういえば、アンケートのお知らせしなきゃ。ゆっくり手を挙げた。
「はい、浜田さん。」
私は驚いた。いつも先生が忘れてると指摘ししぶしぶあてられる展開なのに...なんか先生が言ったのかな?身に覚えがないのでそれを疑問に思いながらも、私は立ち上がり、
「はい。放送委員からですが、お昼の放送についてアンケートを取ることになりました。ロッカーの上に紙をまとめて置いておいたので、リクエストなどがある人は紙を書いて私に出すか、職員室前のボックスに入れておいてください。」
「「「......。」」」
まあ、さすがに返事はないか。やっぱいつも通り無視されてるかな。さっきはたまたま...だよね。そして朝礼が終わった。
いつも通りに無視されたまま終礼前になった、アンケートの紙を確認すると、一枚も減っていなかった。もちろんこれはよくあることだがさすがに一枚も減らなかったとなると委員会の先生にさぼっていると思われてしまう。ダメ元で直接渡してみようと思い、プリントを持ち、クラスメートに話しかける。
「ねえ、ちょっといい?」
「...。」
「ねえ。」
「...。」
誰も返事をしてくれない。あーあ、ほんとどうしよう。部活の後輩に渡すかなー?それとも...
「なあ。その紙くれよ。」
「えっ...。」
「何?配ってんだろ?書きたいからくれ。」
「あぁ、う、うん。はい。」
話しかけてくれたのは岡崎さんだった。驚いた誰も反応してくれなかったのに...
「あ、そういえば。昨日の放課後、全員分の机整頓したのお前だろ?」
そういえば昨日、机がたがただったから直したんだっけ?
「う、うん。そう..だよ。」
「やっぱり!サンキューな!」
「いえいえ。」
まさかお礼を言われるとは...中学校入ってから初めていわれたから正直うれしかった。けど、周りの女子たちの岡崎さんを見る目がとても冷ややかだった気がした。
「お、俺にもくれよ。」
「俺にも!最近話題のあの曲が聴きたい!」
「僕にも頂戴...」
数名の男子が私の周りにきた。その男子たちに渡した後、今度は女子に話しかけてみた。けど、
「「「...。」」」
やっぱり無視されるんだなぁ。
「おーい!終礼始めるぞー。」
みんなが席に座っていく、私も席に着いた。そして終礼が終わった。
美術部は、個人で黙々と作品を作るため部員とあまり話さない。私は校庭の風景画を描いていた。校庭では野球部・テニス部・サッカー部など様々なが活動している。私もあんな風に動きたいな。体の弱い私は、涼しい日陰でただただスケッチブックとにらめっこしながら描いていた。
家に帰り、
「ただいま!」
という、
「おかえり、幽子。ご飯作るわね。」
と返ってくる。やはり家が一番好きだ。
そのあと、いつも通りに母と夕食を食べた後、宿題・入浴・就寝をした。
「おやすみ~。」
「はーい。おやすみ。」
明日も学校か...。そう思うと憂鬱になってしまった。ダメだ、寝づらいから考えないでおこう。そしていつの間にか私は寝ていた。
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
~第2章 「状況の凶変」~
【あらすじ】
次の日学校へ行くとなぜかいきなり「今日の6時、北公園に来てくれる?絶対だよ!」と恵美に言われる。その日を境に恵美たちの幽子に対する接し方が変わっていき...
次回作もお楽しみに!!!