第8話 黒猫の耳としっぽ
リリィを保健室に連れていった後は、教室に戻り一人ずつ自己紹介をして解散となった。
この学校は全寮制のため、寮に戻る。
私の部屋はボディーガードのアルとメイドのシャルルの間の一人部屋。アルとシャルルは私が寝るか許可を出すまでは私の部屋にいる。
「ミーア様?何かいいことがあったのですか?」
ミルクティー色の猫の獣人、シャルルに聞かれる。
「なんでそう思ったの?」
「だって、ミーア様がお戻りになってからずっとお耳としっぽが嬉しそうにゆらゆらと揺れていますもの。」
「えっ……」
「無意識でしたの?」
「うん…。」
イベントを阻止できたことが嬉しかっただなんて言えない……。
言いたいけど言えない…。
なんだか、色々考えてしまい、しょんぼりしてしまった。
本当に阻止してよかったのか、なにも知らないように過ごすべきか、むしろ、あの物語に沿うように協力するべき……??
頭が混乱する。
それに、王妃になろうとしている私が自分の耳としっぽをコントロールできないだなんて…情けない。
いっそのこと、前世の記憶なんてないほうが楽だったかもしれない…。
あのまま悪役令嬢として生きほうが…
などと考えたせいか、しょんぼりどころか、耳としっぽは力なくだらんとしてしまった。
「今度はしょんぼりか?忙しいやつだな~」
アルがからかいながら話しかけてくる。
「もう、ほっといて」
そう言ってアルから顔を背けると、
「そうむくれるなって 。」
と言いながら、頭を撫でてくる。
その手をパシンッと払いのけながら、
「子ども扱いはしないで。私はアルの主人なんだから、私の言うことを聞けばいいの。」
「へーへー、ミーア様」
「ミーア様、ホットミルクが入りましたよ。」
「ありがとう、シャルル」
アルの反応を無視して、シャルルが入れてくれたホットミルクを飲む。
私は、教室で無意識にゆらゆらしてた耳としっぽを揺らしてことは知ったが、揺れていた耳としっぽがある人物を惹き付けていたことは知らなかった。
読んでくださりありがとうございますm(。_。)m
次回は3月3日16時投稿予定です(*´∀`)♪
犬飼 蘭U^ェ^U