気紛れで狐にエサをやってはいけません
王様は頭を悩ませていた。
それは忠誠を誓う護衛騎士である。
通称“王様の恋人たち”と呼ばれるペリエ一族である。
実際愛人ではない、断じて。だがそう呼ばれるほど彼らは王様に強い忠誠を誓っているのである。
何故そこまで強い忠誠を誓うのか。
それは数百年前の王様が腹を空かせている狐に干し肉と水をやったことから始まった。
その狐は妖狐で、ペリエ一族はその血を引いているのである。
その恩が今も続いているのである。
ペリエ一族は高い能力を持っているが、王様を最優先するので、夫婦仲は悪く、子供も一人しか生まないので、高い能力者があまり増えない。
長年“愛人たち”だと思われたことで、王妃とも仲が悪く、側室を持ってきた。一夫一夫制である国でありながら。
そのため貴族や民から受けが悪い。
幸い王様の王妃は隣国の姫なので、“愛人たち”のことは信じておらず、仲は良好で側室もいないが、いつまで持つか。
その上婚約者を作らないので、その斡旋もしなくてはならない。
一族の次期当主も三十になるのに未だ婚約者を作っていない。
ますます“愛人”だと思われるではないかと王様は頭を抱える。
「男爵家のキーヴァン家の末っ子様が、レヴ様と婚約者になりたがっているようですよ」
侍従が紅茶を注ぎながら、天気がいいですね、と言うように、王様に言う。
「キーヴァン家の末っ子か」
「ええ。あの家も確か妖狐の血が流れているはずです。いかがですか? 狐には狐をぶつけてみては? 案外うまくいくかもしれませんよ」
「そうだな。狐には狐だ。うまくいって子供を二人ぐらい作ってくれたら御の字だ」
「てはその通りに」
「頼んだぞ」
結果として思惑は成功し、ペリエ一族の次期当主と男爵家の末っ子は半年で婚姻し、その一年後には子供が生まれた。
王様はとても喜び、お祝い品を送った。
だが王様は知らない。狐夫婦がそれから二人、三人、と子供を生んでいき十人も生むことを。
そして十人の子供たちに忠誠を誓われることを、王様はまだ、知らない。




