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第二十五章:再会と決断
慎と理子の再会は、仕事の打ち合わせだけだった。
だがその夜、慎はどこか気持ちが上の空だった。美由紀はその変化に、すぐ気づいた。
「……まだ彼女のこと、気になってる?」
「いや、そうじゃない。ただ……あの頃の自分を、否定できないんだよ。俺は、あの人に“飼われてた”感覚が、どこかで心地よかった。今になって気づいたんだ」
美由紀は、慎の手を取った。
「じゃあ、聞かせて。あなたが今、私に何を求めてるのか」
「……美由紀に、“傍にいてくれ”って言いたい。でもそれは、俺の弱さかもしれない」
「いいよ。私も弱い。だけど、あなただから、一緒にいようと思えるの」
その夜、美由紀は慎を“抱くように”抱きしめた。愛することとは、守られることではなく、守りたいと自分が思えることだった。




