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第二十四章:支配されないという選択
ある夜、美由紀は黒澤の元を再び訪れた。だが、今日は縛られに来たわけではなかった。
「私、もう“誰かのもの”でいようとするのは、やめたいの」
黒澤は、美由紀の目を見て、少しだけ微笑んだ。
「あなたはもう、支配も服従も、超えてるのね。なら、“与える”ことを考えなさい」
「与える……?」
「自分を守るんじゃなくて、自分の存在が誰かの“支え”になるっていう感覚よ。そこからまた、違う関係が見えてくる」
それは、美由紀がこれまで避けていた“他人を導く側”の話だった。




