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第十章:鍵のかかった扉、その向こう

黒澤は、静かに語りかけるような声の人だった。言葉は優しく、それでいて一本芯が通っていた。初めてサロンに訪れた夜、美由紀はその雰囲気に圧倒されつつも、妙な安心感を覚えていた。


「まずは、お話からにしましょうか。無理にプレイをする必要はないの。この場所は“自分の心を見つめ直すための場所”でもあるから」


そう言って出されたカモミールティーは、ほんのりと甘く、心をゆるめてくれた。


美由紀は少しずつ、自分のことを話していった。


女装に目覚めたこと。レナに裏切られた夜。メイクの楽しさと、外の世界の怖さ。男性としての「てつ」としての違和感。誰かに抱きしめてほしかった夜。


黒澤は一度も言葉を遮らず、ただ静かに頷いていた。


「あなた、ずっと“頑張る女の子”だったんですね」


その言葉に、涙がこぼれた。


「……でももう、ここでは頑張らなくていい。力を抜いて、誰かに預けてみましょうか?」


美由紀は小さく頷いた。


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