表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/119

通夜へいく準備

 そういうと茶トラ先生は、それぞれのスーツの上下をぶら下げて実験室の片隅へ行き、それらをハンガーに掛けると、その「染めQ」とかいう塗料の缶スプレーを実験室の片隅の引出しから取り出して、缶をカランコロンといわせながら塗装を始めた。

 もちろんその前に、窓を開けたけど。

 すると赤と白のスーツは見る見る真っ黒に染まり、あっという間に立派な喪服が二着完成した。

 少々色にムラはあったけれど…

 そして茶トラ先生は、実験室にあった強力なヒートガンで(焦がさないように気を付けながら)これらをあぶると速攻で乾いた。

 それから早速二人で着替えることにした。

 ぼくも茶トラ先生も、おそろいの茶トラパンツの上からズボンをはこうとして…、だけどその前に、茶トラ先生は茶トラパンツ姿でまた家の奥へ行き、白のカッターシャツと黒のネクタイを二組持ってきた。

 それで早速ぼくらはそのカッターシャツを着てズボンをはいて、ネクタイを結ぼうとしたけれど、ぼくが結び方がよく分からないと言ったら、茶トラ先生が器用に結んでくれた。

 とにかくそうやって、ぼくら二人は立派な喪服姿になったんだ。

 それから茶トラ先生は香典袋をこれまた二つ用意して、それぞれに思いついたでたらめな名前を書き、お金を入れた。

 しかし茶トラ先生って手際いい!


「さて、お通夜の会場へ行くとしよう」

「だけど考えてみると、茶トラ先生がお通夜に来てくれて、どうするの?」

「だからわしはさっき『それなら調査をせねばなるまい…』と明確に言ったぞ。お前さんの親父さんが亡くなった事情を聞き出すのだ」

「事情を聞き出すと、どうかなるの?」

「対策を考えるのだ」

「対策? 一体そんなのがあるの? ねぇ、死者を生き返らせるつもり?」

「わしはゾンビは嫌いじゃ」

「そうだよね」

「じゃがわしらにはタイムエイジマシンがあるんだぞ。ともあれ、お前さんの家へ行くとしよう」


 それでぼくらは、ぼくの家へと向かうことにした。

 ああ、それから喪服にスニーカーじゃおかしいとかいって、茶トラ先生はぼくに立派な革靴を貸してくれた。

 とにかくぼくらは、ぼくの家へと向かって歩き始めたんだ。


「お前さんの親父さんの仕事は?」

「今はラジコン飛行機の会社に勤めてるよ」

「ラジコン飛行機? で、そこでどんな仕事をしているんだ?」

「ラジコン飛行機のテストパイロットなんだけど、最近は自動操縦装置の開発をしている、みたいなことを言ってた」

「ラジコン飛行機のテストパイロットに、自動操縦装置の開発?」

「うん」

「つまりラジコン飛行機が自動的に、つまり手放しで飛ぶわけだな」

「そうみたいだよ」

「そりゃまたすごい」

「最新の機械なんかをいろいろ使ってね」

「それじゃGPSやら、高性能の慣性航法装置なんかも必要じゃないのか?」

「GPSって? カンセイコウホウソウチって?」

「それはだな…」

 そんな話をしながらしばらく歩いたら、ぼくの家に着いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ