直下型地震対策1
それからぼくとデビルと、そしてデビルの子分たちにも頼んで、手分けして自転車で回り、証明写真の場所を調査した。
そして証明写真を発見すると、茶トラ先生にから渡された地図に、正確にその場所を書き込んだんだ。
とにかくそういうことを続け、2週間くらいをかけて、茶トラ先生が予想した、地震の被害の及ぶ範囲…、それは20キロ四方というとても広い範囲なんだけど、とにかくぼくらは手分けして、その範囲にある証明写真の場所を調べ上げ、地図に書き込んだ。
それからぼくがそれらの地図を集め、それを茶トラ先生の所へと持って行ったんだ。
もちろん茶トラ先生はそのとき、実験室で今回の「ミッション」のための、いろんなものを作ったりして、準備に余念がないようだった。
それから数日後、ぼくとデビルは茶トラ先生の研究室へ呼ばれ(ぼくのケイタイ風無線機がブーと…)それからデビルといっしょに、茶トラ先生の所へと向かった。
茶トラ先生の実験室の壁には大きな地図がかけてあり、先生はそれを示しながら説明を始めた。
「さてさて、これから君たちに直下型地震対策のミッションのあらましを説明する。まず君たちが見つけてくれた証明写真の場所を示す地図をもとに、この大きな地図にまとめて×印で示した。そして地図に示す赤いラインの内側が、今回の地震で大きな被害の発生が予測される地域だ。そしてこの地域内で中継器を設置する証明写真を選び、バツ印の上に赤丸を付けた。すなわちこれらの証明写真に中継器を設置すれば、それが即ち、わしが言っておった『証明写真ネットワーク』が出来上がるというわけだ」
「なるほどね。そういうことだったんだね」
「そしてこうすれば、ここにあるタイムエイジマシンからの電磁波を、各々の証明写真の中継器が受信し、増幅し、そしてそこから電磁波を発生することにより、あ~、目的とする地域全体の時を制御できるというわけだ」
「ねえねえ、ずっと分かんなかったんだけど、時を制御したらどうなるの? それで地震がどうなるっていうの?」
「まずここにあるタイムエイジマシンの、時の制御機能を作動させる。そして証明写真ネットワークを介して、地震の被害が発生する地域全体の、時の流れを制御する」
「セイギョって、あやつることだよね。だったらゆりちゃんの心をセイギョ…」
「田中君、茶トラ先生の話の邪魔しないの!」
「あ~、わしは科学者だ。したがって、あ~、女の子の心は全くの専門外だ。えへん。それで…、あ~、どこまで話したっけ?」
「ええと、『ここにあるタイムエイジマシンの、時の制御機能を作動させる。そして証明写真ネットワークを介して、地震の被害が発生する地域全体の、時の流れを制御する』までだったよ」
「そうか。イチロウは記憶力がいい」
「えへん!」
「それでだ。地震の被害が発生すると予測される地域の時を制御して、あ~、具体的に言うと、時の流れの速さを3600分の1にするんだ。そうすると制御された世界の1秒が、制御されていない我々にとってちょうど1時間になる」
「ねえねえ茶トラ先生、『制御されていない我々』って、一体どうやってそんな『我々』になれるんだい? 電磁波が出たら、我々だろうが我々でなかろうが、一網打尽に制御されちゃうんじゃないの?」
「よくそれに気付いたな。あ~、そのことについてはわしはちゃんと考えておる。それは、あ~、時の制御を遮蔽できる、ある特別の防護服を…」
「ねえねえ、シャヘイって何?」
「遮蔽とはさえぎることだ」
「へぇー」
「で、わしはその防護服を作ったんだ。それはわしの分と、お前さんたちの分だ。あ~、田中君の分は特別大きく作ったからちゃんと着れるはずだ。心配はいらない。そして実は、予測される地震は約10秒間続く。だから時の制御は、我々にとって約10時間必要だ」
「つまり制御された10秒間が、ぼくらにとって10時間になるってこと?」
「つまりそういうことだ。だから制御から外れた我々から見れば、そこはほとんど止まったような世界に見えるだろう」
「そうすると先生、へへへ、ゆりちゃんは、ええと、10時間じっとしてくれるってことなんすか?」
「一体田中君は、何をたくらんでいるんだい?」
「まあいいじゃんか」
「またそうやって話を変な方へもっていく! とにかくだ。こうやって時の流れを遅くすると、地震の被害が大幅に軽減できるんだ。例えて言うならば、自動車でがたがた道を通るとき、スピードを落として通過するようなものだ」
「それって何となくイメージわくね。地震の時、時を徐行させるんだね」
「まあ、そういうふうに考えてもよかろう」
「じゃぁ、ゆりちゃんも思いきり徐行してくれるんだね(^^♪」




