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その理由は…

 そしてぼくらは、またゲリラのようにはって茶トラ先生の軽自動車へ戻り、それから実験室へと向かった。

「それにしても見事な墜落だったな。トイレの小窓から見ておった」

「あれで…、良かったんだよね」

「もちろんだ。これでお祝いのパーティーが開かれることはないだろう」

「でも、残念会なんか…」

「その可能性はなきにしもあらずだな」

「なきにしもあらず?」

「う~ん…」

「そしたらどうするの?」

「しかしそれは、そのとき考えるしかなかろう。だが、少なくとも運命は大きく変わったはずだ」


 それからぼくらは、 茶トラ先生の実験室へ戻り、「もう一人の茶トラ先生」が起きないうちに、二人で七月十九日へ戻り、そしてぼくは十二歳に戻された。

 だけど実はぼく、本当はもう一度八月二十四日に戻りたかったんだ。

 その理由は…


「ねえねえ、本当はぼく、もう一度八月二十四日へ戻りたかったんだけど…」

「親父さんのお通夜がどうなったのか知りたいのか?」

「まあね」

「それはやめておけ。つまり、運命が書き換えられるのには、少しばかりの時間が必要なんだ。それを今すぐに八月二十四日へ行くと、まだお通夜をやっておるかも知れんし、お前さんが行くことで妙な相互作用が起こり、 運命がより複雑な変化を起こすかもしれん」

「いや、小難しい話はいいからさぁ、それはお父さんのこともあるけどね。ぼく、甲子園の優勝校が知りたくて…」

「お前さんはまだそんなばかなことを考えておったのか!」

「いや…、ちょっとね」

「はは~ん。この前はジュースを賭けるくらいに言っておったが、もしやお前さん、金を賭けとるだろう?」

「…」

「そういえば、いつぞやは自転車をこわしておったが、もしやあれは誰かにこわされたのではないのか?」

「…」

「やっぱりな。要するに悪ガキに自転車をこわされ、多分、ジーパンが破れたとか何とか言って、因縁を付けられて金をせびられとるのだろう?」

「茶トラ先生、ものすごい洞察力!」

「洞察力はいいが、とにかく、そういう連中とはあまり関わるな」

「うん…」

「まあいい。とにかくお前さんがラジコン飛行機を破壊したおかげで、ああ、一機は行方不明だが、とにかく、親父さんの運命は変わったはずだ」

「うん」

「まあそれで運命がどう変わるかは、予測困難な部分もあるが、ともかく、様子を見るとしよう」

 それから夏休みが始まる


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