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替え玉作戦開始!

 それからぼくらはタイムエイジマシンで数時間前の八月二十三日の朝へ移動し、再び茶トラ先生の軽自動車に乗り込もうとしたけれど、茶トラ先生はその前に何やら少しばかりの小道具を持ってきて、さっさと車に積み込んだ。

 そして車で移動して、ラジコン飛行場が見渡せるフェンス近くの小道に、もう一度車を止めた。

 それはちょうど、再び動画を再生するように、デモフライトの準備が始まろうとする頃だった。(タイムマシンってYouTubeみたいで便利!)

 それで実は、茶トラ先生が持ってきたその小道具とは、「クロロホルム」と書いたラベルが貼ってある茶色の小瓶と、気付け薬と、そしてハンカチだった。

 何のためかはさておいて…

 それから茶トラ先生は素早くそれらをポケットに忍ばせ、よっこらしょとフェンスを乗り越えた。

 茶トラ先生は意外と身軽なのでぼくは驚いた。

 そして茶トラ先生が、フェンスの向こう側からひそひそ声で「行くぞ」というので、ともかくぼくも必死でフェンスを乗り超え、先生の後に続いた。

 それからぼくらはそのフェンス沿いを、ゲリラのようにはって進み、ぐるりと回り込んで駐機場の向こう側まで進むと、トイレ近くの木陰に身を隠した。

 それからそこでしばらく様子を見ていると、「お散歩」の口笛が聞こえ始め、その方角を見るとお父さんがグレーのスーツなんかを着て、ラジコン飛行機の送信機を持ち、キザなサングラスなんかを掛けて歩いて来るのが分かった。

(再びぼくは、お父さんが「生き返っった!」という不思議な感覚に…)

 それからお父さんは「予定」どおりトイレに入った。

 すると茶トラ先生はひそひそ声で「今だ!」と言いい、それから抜き足差し足しながら、お父さんの後を追うようにトイレに入った。

 それでぼくも後に続いた。

 

 トイレではお父さんがおしっこを始めていた。

 送信機は小便器の上の小さな棚の上。

 そして茶トラ先生は、お父さんのおしっこが後半にさしかかるのを見計らうと、素早くハンカチをクロロホルムで浸し、後ろからお父さんに忍び寄り、おしっこが終わるや、お父さんを後ろから豪快に羽交い絞めし、それからハンカチをお父さんの顔にガバッと被せた。

 何と酷いこと…

 ぼくはそう思ったけれど、よくよく考えてみると、茶トラ先生はお父さんを助けようとしているのだからと思い、ぼくはそれをじっと見ていた。

 それから少しすると、やっぱりお父さんはだらりと気合が抜けた。

 後から聞いた話だけど、クロロホルムとは手術に使う麻酔薬だそうな。

 茶トラ先生が、一体どうやってそれを手に入れたかは謎だけど…

 それから茶トラ先生は、お父さんからサングラスをうばうとぼくにトスし、そのままお父さんをずりずりと、トイレの個室の中へ引きずり込んだ。

 茶トラ先生は意外と、というか、はっきり言ってとんでもない怪力なのでぼくは驚いた。

 そしてお父さんをトイレに閉じ込めると、中から茶トラ先生の声がした。

「イチロウ。そのサングラスを掛けて、そこにある送信機を持って、そしてデモフライトをやってこい。とにかく、豪快に飛ばすんだぞ!」

「豪快に? ええと、りょ、了解!」

 ぼくはやっと意味が分かった。

 そういうことか! 


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