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作戦会議2

「本当だよね。未来は変えられるんだよね」

「おそらくそうだ」

「でもどうやって?」

「タイムエイジマシンを使うにきまっとる」

「じゃ、お父さんが横断歩道で寝ころぶ時間へ移動して、それを妨害する…、とか?」

「そうすると、誰かが代わりに寝ころぶかも知れんな」

「どうして?」

「運命とはそういうものなんだ。いいか、時の流れというのは宇宙の流れだ」

「何なのそれ?」

「つまりだな、八月二十三日の夜にお前さんの親父さんがトラックにひかれて死んでしまうというのは、宇宙の流れとして『予定』されてしまっていることなんだ」

「宇宙の中で予定されてしまっている?」

「運動会の予定であっても、大雨が降れば中止される。つまり予定とはその程度のものだ。しかしその次の日に晴れれば、運動会は予定通りに行われるかもしれない。つまり宇宙の流れは…」

「え~! それってちょっと分かりにくいたとえ話!」

「まあいい。具体的に言えば、とにかく、親父さんを尾行をして後ろから捕まえて、寝ころばないようにするなどというような、ちゃちな行動を取ったとしても、時の流れは変えられんかも知れんのだ。つまり、宇宙の流れは変わらんかも知れんのだ」

「宇宙の流れは、変わらない…」

「そうだ。それどころか、お前さんが寝ころんでしまい、親父さんの代わりにトラックにひかれるかも知れん」

「次の月曜日に運動会がある…、みたいな?」

「お前さん、運動会のたとえ話をよく理解しておる。そうだ! つまり身代わりだ」

「え~? 月曜日に身代わりの運動会? ええと、また分かんなくなった」

「わからんでもいい。とにかく、もっともっと、でかいことをやらんといかん」

「でかいこと?」

「ちゃちなことをやっても、運命は変わらんかも知れんのだ。はたまた、似たようなことが起こるだけかも知れんのだ。しかし、とてもでかいことをやれば…」

「とてもでかいこと?」

「そうだ」

「でかいことやると?」

「でかいことをやると、時の流れ、宇宙の流れ、つまり運命が変わるかもしれんのだ。これは宇宙的なスケールの話だ」

「宇宙的なスケールででかいことなら、ええと、最低でも地球を爆破しなきゃいけないの?」

「ばかなことを言わん。そこまでばかでかいことはやらんでもよかろう。しかし、あ~、親父さん一人だけではなく、例えば多数の人間の行動を変えれば、それはかなり大きな変化が起こるかもしれん」

「多数の? だけど一体どうやったら多数の人間の行動を変えられるの? お父さん一人の行動を変えるのだって大変だろうに…」

「そのヒントは、お前さんのおふくろさんが言っておった」

「お母さんが何と言っていたっけ?」

「おふくろさんは『あんなパーティーさえ開かれなければ…』と言っておられただろう」

「たしかにお母さん、そう言ってたね。で、パーティーが開かれなければどうなるの?」

「パーティーが開かれなければ、出席予定者全員の運命が変わるんだ」

「出席予定者全員の運命が変わる? たしかにね。で?」

「出席予定者全員だけではない。パーティーがなければ、出席者の奥さんたちは余分に夕食を作る羽目になる」

「う~ん…」

「そしてそれは、夫婦喧嘩の元になるかもしれんし…」

「それは大変だね」

「そうかと思えば、奥さんがパーティーの会場まで旦那さんを車で送る必要もなくなるな」

「うん。それもあるね。お母さんは楽だね」

「で、パーティーがなければその中華料理屋で出す予定だった料理も作られない。そして帰りのタクシーも要らない」

「うんうん」

「すると何台ものタクシーの動き、運転手の仕事、そしてタクシーの売上も変更されるはずだ」

「そうかぁ…」

「つまり考えれば考えるほど、いろんな変化が起こると予測される」

「そうだよね」

「だが、気がかりなこともある」

「何?」

「たとえ何らかの変化が起こったとしても、それが元々の現象と『似たもの』である可能性もあるということだ」

「似たもの?」

「そうだ」

「やっぱり月曜日の運動会みたいな?」

「お前さん、これで運動会のたとえ話を完全に理解したな」

「え~、よくわかんない!」

「まあいい。ともあれ時の流れ、宇宙の流れとはそういうものなんだ」

「へぇ~」

「そして一番怖いのは、ほかの誰かが犠牲になるということだ」

「犠牲?」

「そうだ!」

「犠牲…」

「しかしそれを今、あーだのこーだの言っておっても何も出来ん」

「うん…」

「だから、当面の目標はまず、パーティーの開催を阻止することだ」

「そうだよね。だけどどうやったら、パーティーは開かれなくなるの?」

「そこが問題だ」

「問題だよね」

「しかし方法は、ないわけではない」


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