第8話_護送任務
ストーリー展開に行き詰って時間かかりました。申し訳ありません。今後もスローペースにはなりますが更新は続けますのでよろしくお願いします。
一週間はすぐに経った。
私はカナデ達と共に、ギルドへと向かっていた。
「おはようございます、ハクちゃん。今日も早いのね」
「おはよう、いつも通りだろ」
「そう、餓狼隊はまだ来てないみたいだから、ゆっくりしておいていいわよ」
「そうか。ありがとう」
しばらく待っていると餓狼隊がやってきた。
「おはよう!待ったか?」
「そうでもないさ。それじゃ、出発前に軽く打ち合わせをしようか」
「ああ」
「わかった」
「了解」
私達は、今回の依頼について話し合った。
「今回俺たちは、貴族である領主様を護送する護衛任務だ。道中は山賊や魔獣が出る可能性がある。そのため俺達が先行する」
「なるほどな。確かにそれが一番安全そうだ」
「だろ?まあまず村に行かなきゃならんが普通に歩いても1日で着く。ちゃっちゃと行こうぜ」
「ああ、分かった」
「肝心の王都までの護送だが数台の馬車が使われる。俺たちが全体に散らばるから、あんたらはお嬢様の馬車を頼む。なんなら一人馬車に乗ってもいい」
「わかった」
「それじゃあ、出発するぞ!」
こうして、私たちは村へと向かった。
「止まれ、お前たち何者だ!」
「傭兵団の餓狼隊だ。ギルドからの依頼で領主の護送に来た」
「ああ、お前たちが。話は聞いている、通ってよし」
村までは何事もなく到着した。
「ここが、目的地の村か」
「ああ、そうだ。とりあえず、村長の家まで行くぞ。そこで詳しい話を聞くことになっている」
「分かった」
「了解」
「わかりました」
「いい村じゃの」
「ああそうだな」
カナデのいう通りこの村はいい。まさに田舎という感じだ。川のせせらぎが聞こえ、鳥の声も聞こえる。平和そのものといったところだろうか。
「ついたぞ。ここが村長の家だ」
扉をノックする。すると男性が出てきた。
「失礼します。ギルドから依頼を受けて参りました、餓狼隊の隊長、ガルムです」
「おお、よくぞおいでくださいました。この村の村長をしております、ドランと申します。ささ、お入り下さい」
「はい、失礼します」
そうして応接間に通される。そこには先客がいた。一人は初老に片足突っ込んでいるような男性。もう一人は10代の女性。凛としている。
「皆さんもどうぞお座り下さい」
「ありがとうございます。では失礼して……」
私たちが座るのを待って体面に座る男が口を開いた。
「ドラン、この方たちが?」
「えぇ、彼らがギルドから派遣されてきた方々ですよ」
「はじめまして、私がこの度、ギルドに依頼を出した、エルン=レクトニアと申すものです」
「私は、アリシアと申します。よろしくお願い致します」
「はい、よろしくおねがいします。傭兵団、餓狼隊の隊長ガルムです」
「冒険者パーティ『血染めの月』リーダーのハクだ」
「血染めの月!?」
お嬢様が反応した。驚いた表情をしている。
「どうかしたか?アリシア」
「い、いえなんでもありませんお父様。続けてください」
エルンの話によると護衛を雇ったのは今度王都で開かれる魔法学会に出席するためらしい。どうやらこの村で魔法の研究をしているらしく、王都にある本家の屋敷まで向かうらしい。
「なるほど。それで我々に依頼をしたわけですね」
「はい。報酬は弾みましょう。それと……事前に伝わっていると思いますが、娘を王都に連れて行っていただきたいと思っております」
「はい、承知しております。我々が責任を持って送り届けましょう」
「それは頼もしい。道中の案内は任せます。それと、こちらが前金になります。ご確認を」
「はっ、確かに」
「出発は明日となります。今日はゆっくり休んでおいて下さい」
「分かりました」
「それでは、我々はこれで」
「はい、また明日に」
翌日、レクトニア家の屋敷まで行くと馬車3台が用意されていた。1台目はエルンとアリシアが乗るもの。2台目は荷物を積んだ貨物車。そして3台目は私たちのためのものだった。休憩や貨物用として自由に使っていいとのことだが太っ腹である。
「おはようございます。準備はよろしいかしら?」
「はい、問題ないです」
「うむ、こちらも大丈夫じゃ」
「私も」
「それじゃあ行きましょう」
こうして私たちは出発した。
「あ、あの!ハクさん!」
「?どうされました。アリシアお嬢様」
しばらく歩いていると馬車の中から声をかけられた。
「少し話しませんか?馬車の中へ」
「わかりました。それじゃあ、お言葉に甘えて」
「ええ~ハクだけずるいぞ。わしも乗せろお」
「中はそんなに広くねえよ。せいぜい4人ぐらいだ」
「ぶー、仕方がないのう」
馬車の中にいるのは、エルン、アリシア、私の三人だ。
「改めて自己紹介をしましょう。私はアリシア=レクトニアです。あなた方のことはもちろん知っています。冒険者パーティ『血染めの月』まさかこんなところで会えるなんて思っていませんでした」
「光栄だね。でもその名前も変えたいんだけどねえ」
『血染めの月』というのはもともと私とカナデが二人で暴れまわっていたときにつけられた二つ名だ。めんどくさくてそのままパーティ名として登録してしまったが後からの変更は原則できないと知って後悔している。
「そうなんですか?とても素敵な名前だと思うのですが」
「血染めを素敵とは、お嬢様は変わってるな」
「おっほん…。アリシア、そろそろいいかね?」
エルンが口をはさんできた。
「お父様、すみません。憧れの人でしたのでつい…」
「まぁ、構わんさ。それより、ハク君。君のことを聞かせてほしくてね」
「私の?」
「ああ、小耳に挟んだんだが、君の師匠はミコ=アーデリア氏らしいじゃないか?」
「!?師匠とどのような関係で…」
「ん?いやあ恥ずかしながら学会お見かけしたことがあるだけで話したことすらないよ。魔法研究やっててその名を知らなきゃもぐりだってくらいの人だからね」
「そ、そうですか」
心底ほっとする。
「どうかされました?」
「いえ、あのイカれたマッドサイエンティストの知り合いとかだったらまずろくな人じゃないんで。良かったなと思って」
「い、イカれた…」
師匠には感謝しているがthe研究者という感じの人だったからな。
「ま、まあとにかく、あの大魔導士のお弟子さんと話せるチャンスを逃すわけにはいかないと思ってね。それにアリシアは冒険者にあこがれていてね。ちょうどいい機会だと思ったんだよ」
「もうっ!余計なこと言わないでください!」
「ははっ悪いわるい」
(親子仲良いみたいで何より)
それからしばらくの間、雑談をして過ごすことにした。