表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/49

第4話 異世界ユニーク・スキルを手に入れる



 ぼくは一斉に襲ってきた怪物にむかって、フックをひいた。

 パン、パン、パン!。


 おもしろいように、怪物が倒れていく。

 まるで魔法だ!。


 だけど20回ちかくフックをひいたところで、突然、相手が倒れなくなった。

 たぶん、魔法にも限界があるのだろう。


 ぼくは使い終わったヤツを投げ捨てると、足元にある別のモノを拾ってかまえた。


 パン!。

 クマの頭半分がはじけとぶ。


 パン!。

 トラの眉間が赤く染まる。


 パン!。

 ヘビ。ちっ。こいつはうねうね動いてあたらない——。


 だけどぼくはフックをひきまくった。

 3個目に代えたところで、頭ではなく、腹か心臓を狙ったほうがいいことに気づいた。


 パン、パン、パン、パン、パン、パン……。


 からだの位置をかえながら、迫ってくる『アレ』を立て続けに倒しまくる。

 アリスはぼくのうしろで、服をつかんだままつかず離れず、ぼくに歩調をあわせている。



 15個目の武器を取りあげたところで、次にやっつけるべき『アレ』がいなくなってることに気づいた。

 あたりには、かいだことのない、煙の臭いがただよっていた。

 

 深呼吸をした。

 むせ返るような焦げくさい臭い。


 いまのぼくにはすがすがしく感じられた。

 これは勝利の匂いだ。


「アリス。やったよ。ぼく」

 ほこらしげにうしろをふりむくと、アリスは黒い物体を拾いあげて、なにかを見ていた。


「きみ、これが、なにかわかるのかい?」


「うん、ちょっとだけね。わたしの『千里眼』の力は、異世界の文字や文化も一緒に知ることができるの。ほんのわずかな情報だけど……」

「で、なんて書いてあった?」


「G・L・O・C・K……?。これ……。たぶん『ケンジュウ』っていうヤツ……」


 こいつをぼくがどこから『取り寄せ(アポーツ)』したのか、見当もつかない。 

 おそらくとんでもなく科学や文明が進んだ『異世界』なのだと思う。



 この世界は剣と魔法に支配された世界——。

 文明がもたらす機械なんか、無用にする万能世界だ——。


 だけど、この『ケンジュウ』はその剣や魔法のような力をもっていた。


 『ケンジュウ』っていうのが、どれほど使えるのか、ぼくには見当もつかない。

 でもこれはまちがいなく、ぼくのスキルになった。

 小躍りしたくなるほど、うれしかった——。


 手放したくない!。

 

「アリス!」

 気づくとぼくはアリスの手を握っていた。


「ぼくは……、きみがほしい」


 アリスの顔が一瞬でまっかになった。


 ぼくはとんでもないことを、口走っていたことに気づいた。

「あ、いや……、ちがう、そういう意味じゃ……」


「あんた、こんな森のなかで、いきなり口説くってぇ……。どういうつもりぃぃ。え、えーーー」

 アリスがぼくの手をふりほどこうとする。


「あ、いや、誤解だ。ちがうんだって……」

 ぼくはアリスにふりほどかれまいと、手にちからをいれる。



「まわりに誰もいないからって……、出会ったばかりでぇぇぇ」

「だ、だから、ちがうんだ」

 

 この手ははなさない——。


「ぼくと一緒にパーティーをくまないか……って……」


 アリスの抵抗がとまった。


「パー……ティー……を?」

「きみは今、きみのパーティーをうしなった……」


 ぜったいにこの手をはなさない——。


「ぼくなら、きみのスキルを最大限にいかすことができる……」


 くさいセリフ。わかってる。

 でもぼくの野望のために、この子のスキルを手放すわけにはいかない——。 


「アリス。ベクトール・パーティーに参加してほしい!」



「うそでしょ?」



 アリスはそう言って、今度は本気でぼくの手をふりはらった。


「なんでパーティー名が、あなたの名前なの?」


「へ?」

「どーー考えたって、わたしの名前、アリスを冠した『アリス・パーティー』でしょ、う?。だってあたしのほうが、格上パーティーにいたんだから」


 もう余裕で過去形にしているぅぅぅぅぅ。

 この子、こわいーーー。


「ぼくだって、バイアス・パーティーに……」


「しらなーい。聞いたこともなぁーーい!」


 んぎぎぎぎぎぎぎ……。

 くいぎみで否定ですか。


「いや、でも女の子のなまえの団名なんて……」

「ひっどぉぉぉい。ベクトールって、性差別主義なんだぁぁ」

「あ、いや、そうじゃな……」


「んじゃあ、妥協して『アリ・トール・パーティー』にしてやってもいいわよ」


 んぎぎぎぎぎぎ。

 だ・き・ょ・う・って——。


 こ・の・お・ん・な!!。

 よくみるとブサイクなおんなじゃないか。

 さらさらとした青い髪に、くりくりとした大きな目をして、ついキスしたくなるような、柔らかそうなくちびるをしているブスだ。

 からだはスレンダーなのに、不釣り合いなほどおおきな胸して、まるでポロポロ国のホルブタインかってぇの!!。

 おしりはおおきく張りだしてるくせに、足はながくて、ほそくて、しなやか——。


 ほんとうにブサイクだっっ!!。



「で、どうするのよ!」

 んきぎぎぎぎぎ……。

 このブスぅぅぅ。



「はい。アリ・トール・パーティーで、お願いします」



 はやくもぼくの野望は潰えた——。

「おもしろかった」

「続きが気になる。読みたい!」

「このあとの展開はどうなるの?」


と思った方は、

広告の下にある 『☆☆☆☆☆』 部分から、作者への応援お願いいたします。

正直な気持ちでかまいません。反応があるだけでも作者は嬉しいです。


もしよければブックマーク(お気に入り登録)もいただけると、本当にうれしいです。

どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ