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第28話 だれもが驚愕する活躍

 崖の上に、土柱があがった。

 そこに20メルトはある、大型のワーラットが現われた。


「ほうら、どうする。どうやらワーラットのボスのようだぞ!」


「ひとのことより、自分のことを心配しなよ。仲間がケガしてンでしょ」

「あんなデカぶつ、一体なら、わしらはなんとでも逃げられる」


 ドォォォォォォン!!。


 おおきな音がして、今度は森のほうから土柱があがった。


 うわぁぁぁぁぁぁ——。

 ぎゃあああああああああ——。


 ひとの悲鳴——。


「二体だとぉ……」


「さっき森に逃げた盗賊団、やられちゃったようだね」


「ベクトール。二体に挟まれちゃったけど、どーするよぉ」

 パケットが声をかけてきた。

 地面に広げたクロスの上でケンジュウをバラして、のんきにメンテナンスしている。


 なにしてくれてンの。ちょーくつろいじゃってるしぃぃ!。


「そうよ、ベクトール。あんた、一番ヘタッピィだったんだから、なんとかなさい」


「そうじゃな。ここは一番働きのわるいおぬしがやるべきだな」


 ロラン、あんた、指一本動かしてないと思いますけどぉぉぉぉぉ。



「じゃあ、10倍パワーと10倍スピードで、サクッと倒してくるよ」


 ぼくはパケットの心奥部を頭に描いて、そこからスキルの実を取り寄せ(アポーツ)した。



 手の中のポーションをプチっとつぶす。

 瞬時にみなぎるスーパー・スキル!!。


 ドーン!!!!。


 ぼくは森のほうの大型ワーラットに飛びかかった。

 一気にワーラットのからだを駆けあがると、ボッコボッコになぐった。

 10倍パワーで殴りつけられ、ワーラットの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

 ものの数秒でビッグ・ワーラットは倒れた。


 すぐさま、崖の上のワーラットのほうへむかう。


 だけど、自分のあまりのスピードに足が追いつかず、ぼくは木の根っこに蹴つまずいて、転んだ。10倍スピードだから簡単にはとまらない。ゴロゴロと広場まで転がり、スーパースキルの使える10秒に達してしまった。


「ドジくせぇ」

 パケットは自分の足元に転がってきたぼくを見おろしながら言った。


 一度、10倍スピードで動いてみろって!。

 あの筋肉兄弟の脚オバケは、ケガに耐えられるように、からだ鍛えてたンですからね。


 ぼくはシノビ・スレーヤーのほうをみた。

 あまりのドジっぷりに、腹かかえてわらってるにちがいない。と思った。


 彼らは前にもまして、おおきく目を見開いてこちらをみていた。

 まぁ、すくなくとも、目にもとまらぬ超スピードで、大型のバケモノを倒したのは確かなので、それに驚いているのだろう。


「で、あと一匹、どーすんだよ」


 パケットはあいかわらずひとまかせだ。


「ん、も、一回、さっきの使って始末するよ」

「あんま、ムダづかいすんなよな」


 へい、へい、わかりましたよ。


 ぼくはポーションを握りつぶそうとした。

 

 そのとき、ビッグ・ワーラットが足元をけちらして、土煙をあげた。

 パラパラと土砂がこちらに降り注ぐ。


 そのなかのちいさな小石が、ロランの頭にコツンとあたった。


「せーんーしゅーーー、ぼーーーえーーーーい」


 ロランの突然の雄叫びに、クランツェもシノビ・スレーヤーたちも目を向けた。

 

 次の瞬間、ロランのからだは空に浮かんでいた。

 上昇気流に舞いあげられたように、くるくるとからだを回転させると、ビッグ・ワーラットの頭を、ツエでコツンとこづいた。


 ぼくはつぶしかけたポーションから手をはなした。


 すべてが片づいたことを確信したからだ——。



 ボン!。



 予想外にかわいらしい爆発音がして、ビッグ・ワーラットの頭が吹き飛んだ。


 そいつを目の当たりにしたクランツェの顔といったらなかった。

 あの凛々しい顔が台無しになるほど、マヌケ面をさらしていた。


 それはシノビ・スレーヤーの面々もおなじだった。

 たじろいだ、と言っていいほどに、からだをあとずさって、呆然としていた。


 ま、もっとも目しか見えないので、マヌケ面は拝めなかったけど、ロランの信じられない魔力を思い知ったのはたしかだ。


 これでぼくらを狙う気も、うせたことだと思う——。


 そのときロランが叫んだ。

「おい、ベクトール!。『空間転移』じゃ。何者かがくるぞ」




「空間……転移……?」

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