第1話 青春真っ盛り!
青い空。白い砂浜。
前には戯れに水際を駆けるビキニ姿の彼女、智絵里。
追い付いて、その細い腰を抱く。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「そーら。捕まえた」
「やんやん。マーくんたらぁ」
それを羨ましそうに見ているのは、友人の男たち三人。
とは言え、あいつらもカップルだ。
男女4組の恋人同士で海に遊びに来ている。
智絵里を除いたメンバーは同じ学校、同学年の友人同士。
アイツらは友人同士で結びついたのだ。
「しっかし、ホント仲いいなぁ」
「ホントホント。日焼け止め多めに塗らなきゃ」
俊介と梨奈は俺達の仲に半ば呆れ気味だ。
後ろのパラソルの中では疑いの目で見ている美沙。
そんな美沙に分かるように智絵里はベタベタしてくる。
「そんな仲いいなんてぇ。ねぇマーくん」
「そうだよな。みんなと同じくらいだっつーの」
「へっへー。さっき向こうの岩の後ろで何してたかみんなに教えてあげたら?」
「うぉい! 何にもしてねーだろ?」
「わー口硬いね。アッチと一緒で。アレ良かったよ」
引くだろ。みんなの顔が赤い。ホントに何もしてないのに。
そりゃ、智絵里のプロポーション。顔立ち。どれをとっても完璧な女性はなかなかいない。
しかもお隣に住む幼なじみが恋人なんてできすぎてるよな。
この智絵里の引くくらいのベタつきは、キレイに別れられるための計算された行動。オレは夏休みが終わったら彼女に別れを告げる。「引くぐらいベタつくから別れたわ──」と言えばそれを目の当たりにしていた友人たちも納得するだろう。
なぜ別れる前提なのか?
そう。この智絵里が恋人なのは期間限定。
しかも有料だ。友人たちの手前、雇われたレンタル彼女。
この美人で才女な幼なじみ。
彼女に好きな気持ちを抱いているのはオレだけなのだ。