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Side B:(1)
「あのなぁ、あいつの言う事を真に受けて、変な夢を見るんじゃねぇ。この稼業は、そんなに甘くねぇんだ」
ガルダスさんは愛用の戦斧と槍と弩弓の手入れをしながら、弟子入りを願ったボクにそう言った。
「ど……どう言う事ですか?」
「なぁ、あいつの愛用の武器は何だ?」
「えっと……長剣と弓矢です」
「ヤツが使ってる長剣は……文字通りの『諸刃の剣』だよな……。『腕がねぇヤツが使えば、自分が怪我をする』って喩えに使われる代物だろ?」
「ええ……」
「弓だってそうだ。マトモに使えるようになるまでは、結構な訓練が要る。だから、俺は、若い頃からコレを使ってるんだ」
そう言って、ガルダスさんは愛用の弩弓に視線を向けた。
「弓をちゃんと使える同業が居たとするなら……そいつの前の稼業は……猟師や専門の弓兵か……」
「あとは……辺境の遊牧民……」
「もう1つ有るだろ……。ちゃんとした弓術を身に付けられるような生まれ育ちが……」
「えっ?」
「あいつの……いつもの悪い癖だ……。若い頃……芝居やらを良く観に行ける御身分だったんで、話を作るのも巧いんだよ」