夏祭り
私は人に嫌われている。
友人との関係は必ずと言っていいほど悪化し、最後には孤立する。
何が悪いのか。そんなことはとっくにわかっている。
自分だ。自分が悪いのだ。この不器用で不格好な自分が悪いのだ。
約束を果たせず頼まれごとをこなせず嫌なことから逃げ作り笑いしかできない、そんな自分が悪いのだ。
自分ではどうにかしようと努力している、他人と違うのはわかっている、普通の人のように振る舞っている。しかしながらどうしても私は嫌われるのだ。それだけが定められた結末のように。
そんな私がこの文芸部に入ったのは1年の最初である。
ふと、ふと気がついたら入部していた。
なぜどうして入っていたのかはわたしにもわからない。
自分であらかじめ入ろうと決めていたわけでも、誰かに誘われたわけでもない。
自然と足がその教室へと向かっていた。
だがそんな部活に入ったからと言って何か変わるわけでもない。部活の先輩や同学年の子達は私に良く接してくれるが私は必要以上に関わろうとしなかった。私が関わることでまた嫌われ、自分自身が傷つくことが嫌だった。
季節は過ぎ、皆が長袖から半袖へ移行し始めた頃この部活にも変化が訪れた。
私がいつも通り輪からはなれ、後ろで本を読んでいると知らない男の子がはいってきた。
その子は自分を転校生だと言った。
一目惚れだった。背もそこそこでそこまで顔は決してかっこいいと言えなかった。
それでも一目惚れをした。何故だかわからなかったが好きになった。初めて胸が高鳴った。
だが、だがそんなことは伝えずに思いは胸に秘めておく。伝えたら必ず悪い結果になってしまうからだ。
だから伝えない。伝わせない。
そんなある日、件の文芸部で夏祭りに行くことになった。行く人数が多かったので私もなんとなくついて行った。それほど目立たなく、かと言っておかしくないような服を着ていく。
集合場所で他の女子から少し離れた場所で携帯をいじっていると彼が来た。浴衣で。
つい見惚れていると、何してるのもう行くよ?と声をかけられ、ハッと気が付き後を追いかけていく。
会場は多くの人で賑わい、人が人の波に飲み込まれている状態だった。その中を人混みをかき分け文芸部の面々はすすんでいく。
が、私だけはぐれてしまった。こんなことふつうならおきないのに、そのような気持ちで頭が支配される。
「あ」
偶然彼と出会う。どうやら彼もはぐれたらしい。
二人で人混みをかき分け歩く。自然と鼓動が早くなるのがわかった。
どうしようかと考えていると、手を取られた。人混みの中を2つの光が遮ぎる。顔が火照るのがわかる。
少し人気のない場所まで連れ出されると彼はあらたまって喉を鳴らしたり手を少し弄りながらこう言った。
「好きです」
嬉しさと驚きと恥ずかしさが一気にこみ上げる。どうすればいいのか。こんな私が幸せを掴んでいいのか。
「君じゃなきゃだめみたい」
心臓の高鳴りが最高潮を迎える。私は意を決してこう言った。
「よろしくお願いします」
私たちのナツはまだまだこれからのようだ。