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(?)蝉の一週間、人の百年

作者: 未知未知

A君が日本におりました。

A君は、親に対しての疑問、他人に対しての疑問、世界に対しての疑問を沢山持つ様な、そんな子でした。


ある時A君は言いました。

「金なんて要らない、そんな物で何が買えるんだ!」


それは、

「お金お金」と何かあれば口にするA君の親が、余りに滑稽に見えたからです。


そして、そんな親はA君にとって、何かが足りない様に感じられます。

その感覚は疑う余地の隙間も無い物だったのでした。完全なる感覚に違い無い物。




A君は、そんな親も嫌いで、まあ他にも色々思う事があり、

ある時家を飛び出しました。


試しに

「金」を捨ててみました。







A君は噴水のある、小さい時から大好きだった公園に住む事にしました。


ごくたまに友達の家に泊まらせて貰いました。


が、A君はその頃、友達の顔が…いや、他人の顔全てが、

ひょっとこの仮面、鬼の仮面(お祭りで売ってる、アレです)が着いている様に見えましたから、

時間が経つその内に、友達や他人との間に頑丈な壁を建てました。



そこで、友達と会わなくなり、お金が無いA君はたいそう困りましたが、

負けてたまるか、とばかりに働いてお金を稼ごうと奮起します。

働くのは初めてではありませんし、自信もまあまあ有ります。



さあ出かけるぞ、

というその時、自分が建てた壁が邪魔で外に出られなくなりました。






A君は悩みました。


何日も何週間も、悩み、落ち込み、

大声で叫んだりしながら(壁があり、誰も気付きませんでした)、考え抜きました。



(お金が欲しい)(働かなければ)(どうしようか)(負けてたまるか)(諦めるな)(固執)(でも壁は壊したくない)(そんなバカな真似出来ない)(ひょっとこは笑うし)(またあんな風になりたくない)(鬼は襲ってくるし)(与えた分が返ってこない)(理解)(他人)




考えて考えた揚げ句、A君はある答えを出します。



「働きに出る時は、壁をよじ登って出掛けよう!」




壁はそびえ立っています。

それは、何日も何週間も何ヶ月もかけて、苦心して作り上げた物でもありますから当然と言えば当然です。


その高さは、A君の身長と比べると、多分10倍程ありました。


正確な長さを計る物があればいいのですが、

そんな物は存在しません、少なからずA君は見た事がありません。




A君は予定通り、働く時になって、壁をよじ登って外に出ました。

すると公園は変わっていました。


公園が広くなり、隅々まで見て回るのには何年かかかりそうです。


噴水がもうほとんど水を出さなくなっていました。


それだけは確認しました。




その後も、A君は働く時は、その度に壁をよじ登ります。


その疲労たるや、かなりの物です。

自分で作った物を

「自己責任」で扱う。今まで味わった事の無い疲労の種類だという事は確かです。


が、あまり疲れた感じをひょっとこ達の前で見せるのも恥ずかしい。

本当は恥ずかしがる必要は無くても、その位A君は外の世界が久しぶりなのでした。




疲れます。出掛けます。


それを繰り返しました。


何回か繰り返していく内に、A君は言いました。




「命なんかいらない!そんな物で、何が出来るんだ!」



余りにこの状態に異変を感じたからです。



ひょっとこは嫌いだし、鬼も嫌いでしたし、まあ他にも沢山思う事もあり、ある時壁のてっぺんから飛びました。



試しに

「命」を捨ててみました。







15ページ…

「考える事は無くなり、試行錯誤も無くなりました。悩む事も無くなりました。めでたしめでたし」



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― 新着の感想 ―
[一言]  題名にひかれて読みましたが、正直面白くなかったです。 「公園が広くなり、隅々まで見て回るのには何年かかかりそうです。 噴水がもうほとんど水を出さなくなっていました。」の部分で実際蝉になって…
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