夜の海へ
暗い夜の大海原を、
孤独な船は僕だけを乗せて進んで行く。
月にかかった夜の雲が、
波の音と共に散り、
月光と無限の星たちの輝きが船を照らした時、
僕は静かに船を飛び降りた。
トポンと、
着水の音を聴くものは誰もいなかった。
肺に溜まった空気を吐き出しながら海底へと進んで行く。
吐き出す空気も無くなっても静かに僕は上昇を続けた。
その途中で僕は直立して眠る君に会った。
君の口からはぷくぷくと小さな気泡が一定のリズムで溢れていた。
その姿を眺めながらなお、
僕は海底への上昇を続ける。
君がどんどん遠ざかり小さくなっていく。
もう会えないのかなと少し切なくなったけど、
何処かでまた会える気がするよ。
まだしばらく旅路は続きそうだ。