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アリスさんはテンプレを知らない  作者: 干木津上
アリスさん、異世界へ行く
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side.アレイシア 神様、アリスさんを知る2

ここは白い空間。

35番目の世界の最上位神が住まう、時空から隔たれた場所。


私、第35番世界の最上位神アレイシアは、84の世界と万物全てを創り出した創造神様と共に、違う世界に独りで放り出された一人の少女の様子を見守っていました。


「ほうら、上手くいくって言っただろ?」


隣に座る創造神様が手を取り合う二人の少女を指差して言いいます。

私達の前にある、地上の様子を見る事が出来るスクリーンには、私が管理する世界のある森の様子が映し出されていました。


遙か太古に滅んだ種族、真祖として新たな生を受けた少女アリスと、3000年もの間自らを絶対に解けない結界で封印し、世界が終わるまでただただ自己嫌悪を続けていた龍の娘エディルア。


彼女達の出会いは、二人の規格外が手を取り合う結果となりました。


私が、期待し、夢にまでみた、望んでいた光景です。


きっと二人は良き友となる事でしょう。


3000年前……。

私が未熟だった為にとある神の暴挙を止められず、結果、彼女に生物の敵対者という最悪の烙印を押し付け、神殺しの罪を負わせることになってしまいました。


だから、彼女が少しでも幸せなこれからを歩む事が出来るのならば、その結果、例えこの世界が終わりを迎えたとしても何も文句はありません。

あれからずっと、出来ることならば、彼女には好きに生きて欲しいと思っていたのですから。


だから、笑顔を浮かべて楽しそうにアリスと話す彼女を見ることが出来て私はとても嬉しい。


それでも……。


「そうですが……。もっとちゃんとした対面があったんじゃないですか?」


「アハハハ!あれは凄かったねぇ!まさかなんの躊躇いも無く結界を踏み砕くとは思わなかったよ。その後の吹っ飛びぷりと言ったらッ……クックククッ。爆笑物だったね」


流石にそれは酷い……。


でも、私もまさか25層も重ねて貼られた神級封印結界を、触れるだけで全て砕いてしまうとは思わなかった。

その後吹き飛んで驚いているところとか可愛かったですけど……。

創造神様が手を加えたにしても、彼女の力は異常過ぎる気がします。

この上司はいったい何をしたいのでしょうか?


「そもそも、何故、何も知らせずに死の森に放り出すなんて事をしたんですか?」


「だってその方が面白そうだったし。僕の予想通り、彼女の封印場所に行って封印解いたじゃない。いやぁ、僕の勘は今日も冴えてるなぁ」


「……そうですか」


このおちゃらけ神は、本当にもう……。

アリスちゃんが可愛そうじゃないですか。


「だってアリスちゃんったら、自分のステータスとエディルアちゃんのステータスを見比べて、(同じようなものだから、これがこの世界の普通なんだ)なんて思っちゃってるんだよ?何も知らないからこそ何をしでかしてくれるか分からなくて面白いんじゃないか」


流石にそこまでお馬鹿さんでは無いでしょう……。


……いや、確か彼女は前世でのその手合の知識は無いんでしたか。


それでも、常識的に考えると分かりますよね。

なんてったって不死身の吸血鬼、それも規格外のチート能力盛り沢山なんですから。


予備知識が何処まであるのかは知りませんが、自分が最強の吸血鬼になった事を知ってもそこまで驚いていなかった事を考えるに、こういうパターンの俺tueeee!するのも満更では無いという事なのでしょう。


エディルアのような「規格外の力を持っているが故に何か壮絶そうな過去を抱えている者」に出会い、打ち解け、行動を共にしていく中で次々と巻き起こる問題と新たな出会い。

そしてそれを艱難辛苦の末に二人で強力して解決。

更に深まる友情、芽生える愛情、ラブアンドピースです。

あり来たりなテンプレですが、だからこそ良いですね。


さしずめ、次は【エディルア編】ですかね?

……いえ、敢えてそれは最終章に持ってくるというのもありですね。


「それはそうと、私からエディルアに伝言をお願い出来ますか?」


「良いよー!」


こんな事を伝えるのはただの自己満足かもしれませんが、彼女の迷いがほんの少しでも無くなれば……


なんて……いけませんね私は。


神の癖に何を考えているのでしょうか……。


結局、今も昔も私は見守る事しか出来ないというのに。


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