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アリスさんはテンプレを知らない  作者: 干木津上
アリスさん、異世界へ行く
7/89

アリスさん、ドラゴンを知る

「凄い!凄いわよアリス!マジで真祖じゃない!しかも何このスキル!うわぁ、興奮する!!」


私のステータスを見終わったらしいドラゴンさんが、私を頭の上に乗せたまま首をブンブン振り回して興奮している。

気分はロデオマシンである。


「……何か話し方変わってない?」


加えて声自体が、透き通るような美しい大人の女性の声になっている。


「あー……こっちが本来の私の喋り方なのよ。さっきまでのは如何にも強者ってキャラクターを作ってたの。黒死の破滅龍っぽかったでしょう?」


「……へぇ」


ドラゴンもキャラを作ったりするんだなぁ……。

その黒死の破滅龍っぽさというのは分からないが。


「アリスのステータス見せてもらったし、私のステータスも見せてあげるわ」


はい。と言って私の前に差し出されるプロフィール。

どうやらドラゴンにもこのステータスと言うものがあるらしい。


ーーーーーーーーーーーーー


名前:エディルア


種族:終焉邪龍


性別:♀


年齢:3129歳


職業:終焉と再始の姫


識別:黒死の破滅龍


レベル:1342


称号:死と破滅を齎す者

   不運な乙女

   神殺し

   不滅

   生物の敵対者

   種の超越者

   死神

   災厄

   龍神


魔力:6231123/6231123


スキル:終焉


    魔法攻撃無効


    物理攻撃半減


    状態異常耐性(Lv.MAX)


    龍魔法(Lv.MAX)


    闇魔法(Lv.MAX)


    火魔法(Lv.8)


    水魔法(Lv.4)


    土魔法(Lv.8)


    風魔法(Lv.8)


    無詠唱


    飛行魔法(Lv.MAX)


    環境適応(極)


    加護付与(死神、終焉、龍神)




装備:ーーーー


加護:最上位神アレイシアの加護


ーーーーーーーーーーーーー




 種族 終焉邪龍:神の怒りに触れた人類を滅ぼす為に遣わされた龍。地上総ての生物を滅ぼし、世界に終焉と始まりを齎す。唯一の存在。



 職業 終焉と再始の姫:世界の終わりと始まりを司る姫。彼女の手により生命が終わり、また始まる。




 識別 黒死の破滅龍:約3000年前、ある神の怒りに触れた人類を滅ぼすべく地上に現れ、大陸中の様々な生物に死と破滅を齎した後、自らを遣わせた神を殺害。その後12賢者と呼ばれる者たちに大陸南西の森に封印された神災級の存在。




 称号 死と破滅を齎す者:黒死の破滅龍エディルアに与えられた名。

全能力値極大上昇。



 不運な乙女:黒死の破滅龍エディルアを不憫に思ったこの世界の最上位神アレイシアが彼女を祝福し与えた名。

運極大上昇



 神殺し:神を殺した者に与えられた名。

対神系統能力値大上昇。



 不滅:不老不死であり、思い付く限りの事では殺すことが出来ない、とても厄介な者に与えらた名。

各肉体系統能力値極大上昇。



 生物の敵対者:生きとし生ける総ての生物から敵対される者に与えられた名。



 種の超越者:種族を超越した者に与えられた名。その種族を率いる能力を得る。



 死神:死を司る神の一柱である証。

死系統能力値極大上昇。



 龍神:神の座に至った龍種である証。

龍系統能力値極大上昇。




 スキル 終焉:終焉邪龍が持つスキル。以下を有する。


ーーーーーーーーーーーーー


 終焉の死闇:即死の呪い効果のある黒紫の霧を身体から、随意の範囲内に発生させる。植物以外の触れた生命体を死滅させ、その魂を汚染する。龍形態時のみ有効のパッシブスキル。


 終焉の龍眼:終焉邪龍が持つ魔眼。邪視、透視、千里眼、催眠眼などを有する。


 呪死魔法:対象を呪い殺す魔法。


 形態変化:身体のサイズを変化させる。加えて龍人化、人化、龍化が可能。


 黒闇操作:魔力で闇を創り出し操作することが出来る。強度、範囲、量、持続時間等は所持魔力量に依存する。


 不老不死:老いが無くなり、自然死をする事が無くなる。


 無慈悲:一定時間、感情を封印し周囲総てを殺し尽くす。追加効果、精神異常耐性(極)。効果時、全能力値極大上昇。


 深淵:深淵の一部を出現させ、邪悪なる者達を召喚する。


 闇の再生:近くにある闇を吸収し、肉体のダメージ、欠損を瞬時に再生する。


 特攻無効:特別攻撃を無効化する。


 即死無効:即死攻撃、即死魔法を無効化する。


 精神干渉無効:あらゆる精神干渉系統のスキルを無効する。



ーーーーーーーーーーーーー




 魔法攻撃無効:あらゆる攻撃魔法を無効化する。



 物理攻撃半減:あらゆる物理攻撃を半減する。



 状態異常耐性(Lv.MAX):あらゆる状態異常に対する耐性が上がる。



 龍魔法(Lv.MAX):龍種のみが用いる魔法。



 闇魔法(Lv.MAX):6属性魔法の内、闇を司る魔法。



 火魔法(Lv.8):6属性魔法の内、火を司る魔法。



 水魔法(Lv.4):6属性魔法の内、水を司る魔法。



 土魔法(Lv.8):6属性魔法の内、土を司る魔法。



 風魔法(Lv.8):6属性魔法の内、風を司る魔法。



 無詠唱:詠唱無しで魔法が発動出来る。



 飛行魔法(Lv.MAX):飛行系統の適正に関する魔法。



 環境適応(極):あらゆる外環境の影響を受けない。



 加護付与(死神、終焉、龍神):死神エディルアの加護。終焉邪龍エディルアの加護。龍神エディルアの加護を付与する。



加護 最上位神アレイシアの加護:?????




「ふむ……なる程」


一通り眼を通した私は考える。


……このドラゴンのステータスも大概おかしな事が書いてある気がするが、この世界ではこれくらいが普通なのかだろうか?


だとすれば私も一般的な部類に入る気がする。神とか書いてないし、同じ不老不死だし。


しかしこのドラゴン、どうやら物騒な存在であるらしいが、こうやって話している限りは普通の人となんら変わらない。

寧ろ、ステータスとか色々と教えてくれて親切なドラゴンである。


何か尋ねてみたい気もするが、ドラゴン相手とは言え余りプライベートな事を聴くのも憚られるので、私は中でも一番気になったことを素直に尋ねてみることにした。


「この……形態変化?人化出来るって書いてるけど、どういうこと?人になれるの?」


「ええそうよ。人化してみましょうか?」


「え、やってやって!」


それは凄い。

ドラゴンから人へのトランスフォーム、是非とも見てみたい。


「おっけー」


エルディアがそう言うと、周囲に纏っていた黒紫の霧が巨体に吸い込まれるように消え失せ、ドラゴンの身体が溶けるように闇に変わった。

闇は渦巻くように収縮して行き、それはやがて人型に集まると闇は瞬時に晴れる。


私はそれまでドラゴンの頭に座っていた訳であるが、その頭も人化に伴い闇に変わった為、当然落ちたのだが、地面に付く前にその人型に抱えられていた。


艶のある闇のように黒い髪の隙間から、黒い縦長の瞳孔を乗せた金色の瞳が私を見据える。

鋭い眼と高く形の良い鼻。

真っ白な肌に朱く柔らかそうな唇。

見た目は20代中頃の超絶美人のお姉さんが、所謂お姫様抱っこの状態で抱えた私を、優しげな表情で見下ろしていた。


「……え、凄い」


どう見ても人間にしか見えない。


ドラゴンが人間になるという、新たなこの世界の摩訶不思議現象に私が感嘆していると、人型になったエディルアが私を抱き締めてきた。


そして次の瞬間、


「んはぁあああぁあ!!可愛い!可愛いわ、アリス!プニプニしてるううう!!」


そんな言葉と共に、私の顔に頬を擦り寄せてきた。


「んな……ッ!?」


唐突な事に困惑する。


……何だこの人。


いや違う、ドラゴン。


「な、何!?」


「スゥウ………ハァア………ン〜〜ッ!!真祖の幼女!遥か昔に滅んだ筈の吸血鬼の姫!しかも創造神のお気に入り!強くて可愛くて凄いわ!!」


私の髪に顔を埋めて深呼吸した後、超興奮気味に叫びながら私を抱えてくるくる回る美人なドラゴンさん。


……どうしよう。


何に対してそんなに興奮しているのか分からないが、匂いを嗅ぐのは止めて頂きたい。

変態か?

もしかすると、頭の弱い人、若しくは危ない思想の持ち主なのかもしれない。


嗅がれたり、触られたり、頬ずりされたりしながら、そんな失礼極まりないことを思っていると、漸く落ち着いた彼女は抱えていた私を地におろした。


初めて正面から見る彼女は、息を飲むような美人のお姉さんだった。


膝下で揺れるスカートから伸びる、黒い革製のグラディエーターサンダルに飾られた白く引き締まった脚。

豊満な胸を強調するようなデザインの黒いワンピース型のドレスが、彼女の女性らしいシルエットを浮き立たせていた。肩に透明感のある黒いショールを羽織り、手には黒い肘までのオペラグローブ。

全体的に飾り気が少なく、しかし所々透けたデザインであるため彼女の妖艶さがより際立ち、けれども決して下品では無い、見る者にある種の神秘的な扇情さを感じさせる出で立ちであった。


何処までも優麗で、気高く。

柔らかな女性らしい肉感的な体躯に関わらず、冷たく鋭い印象を受けるのは何故なのか。

夜の闇に靡く黒髪は月の光を吸込み、捻じ曲げ、黒く耀いている。

透き通るような白い肌とのコントラストが身震いする程に美しい。


……そう。

私が所望した、「誰もが羨むナイスバディー」なお姉さんがそこにいた。


「改めまして、私は黒死の破滅龍エディルア。生きとし生ける総ての敵よ。宜しくね」


思わず自分の真っ平らな身体を確認し、目の前の身体と見比べる私に、エディルアは何とも物騒な自己紹介を告げる。


「生物の敵対者」、彼女のステータスにそんな事が書かれていたことを思い出した私であるが、ドラゴンといえども他人のプライベートを覗き見てしまったことに、今更ながら若干の罪悪感を感じていた。


とても気になるが、他人の過去を詮索するのは宜しく無い。

自分がされて嫌な事は、他人にしてはいけません。とは子供の頃にお母さんに言われた事だ。


私は他人に過去を穿り返されるのは好きではない。


なので彼女の自己紹介についても何も触れないことにした。


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