side.アレイシア 神様、アリスちゃんを知る4
こんにちはアレイシアです。
アリスちゃんのお城が出来上がりました。
湖の中に建った、凄く素敵なお城です。
素敵過ぎるアリスちゃんにピッタリですね。
「はわぁ……アリスちゃんの魔法凄いですねぇ……」
そして今、私の天使アリスちゃんはお城の飾り付けをしています。
アリスちゃんが「魔法創造」で創った「具現魔法」という、反則級の魔法を使って、只今絶賛、家具や装飾品を作りまくっています。
想像した物を具現化出来る魔法なんて、チートなんてレベルじゃ無いです。
そのままの意味で、使い方によっては神様にもなれちゃいます。
「創造神様、いいんですか?あの魔法」
「大丈夫大丈夫。一応やり過ぎないように保険も掛けているし、アリスちゃんなら平気さ」
創造神様が具現化した物をチェックするという……保険?なのでしょうか?
まあ、可愛くて、優しくて、可愛くて、心の清い私のアリスちゃんなら、悪用なんてしないので問題無いですね。
「そう言えば、何故創造神様は、あのソフィアちゃんって娘をアリスちゃん達と出逢わせようと思ったのです?彼女が抱えている問題が理由ですか?」
新しい仲間と言うのは、得てして何か問題を抱えているものです。
ええ、そう決まっているんです。お約束です。
彼女の場合は、実家から自分の居場所が無くなるかもしれないという危機でした。
伯爵家の娘として必死で保ち続けた自らの存在意義が無くなってしまった。
父親に見せる顔も、これ以上頑張る気力も、意味も無くなってしまった。
その原因がアリスちゃんの提案で眷属化したコカトリスなのですから、何ともご都合主義が過ぎる展開です。
ひょっとして創造神様が何かしたのでしょうか?
この人ならあり得ますね……。
「まあ、それもあるけどね。一番はソフィアちゃんのキャラクターかな。真面目で、真っ直ぐで、強い意志と、芯の通った自分をちゃんと持っている。けれどもいつも不安で、前しか見えなくて、誰かに甘えたいのに、自分の強さが、真面目さがそれをさせてくれない。The女騎士って感じだよね」
そんな彼女は今回、何年もの間努力し続け報われず、追い込まれ続けて摩耗した心が、アリスちゃん達に出逢う事で折れてしまったわけですね。
そして、自分ではどうしようもないから、アリスちゃん達に縋った。と。
とんだマッチポンプのような気もしますが……。
これがノクターンならチョロ堕ちクッ殺女騎士の誕生です。
「良くそんなテンプレにハマりきった娘を見つけて来ましたね……」
「彼女はバッチリだったよ。結果エディルアちゃんが上手く纏めてくれて良かったよね。それにしてもあの娘は本当に自分が嫌いだよね。もっと気楽に生きればいいのに」
「そう、なのかもしれませんね……」
エディルアがソフィアちゃんを慰め、認め、励まし、その不安の一部を取り除いた。
長年、ソフィアちゃんが一番欲しかったであろう事を、言葉を与えてあげた。
長い間、自分すら救えなかった彼女が、初めて一人の誰かを自らの意志で救ったのです。
自分にない強い意志と強い心を持ったソフィアちゃんの話を聴いて、エディルアはきっと憧れたのでしょう。
そして、そんな自分にすら救いようが無いと思った。
「貴女の強さは、心は、決して無意味なんかじゃなかった」と、エディルアは声を大にして言いたかったんです。
それは自分が欲して、手に入れられなかったものだから。
けれども、それを言ってしまえば、その憧れを認めてしまう事になる。
そして、未だに過去の自分を払拭出来ないでいる今の自分の弱さも、同時に認めてしまう事になる。
「アリスと共にいると決めた今の自分を、少しでも否定したくない。けれども彼女を救いたい」そんな割り切れない、自己矛盾を孕んだ彼女の心は、結果として自分の過去を平行線として引き合いに出すことにした。
自分自身にさえ救われなかった過去の自分と正反対の貴女が、救われ無いわけが無いでしょう。と。
彼女は、まだ全てを開き直れないでいるのです。当然でしょうね。
そんな簡単に割り切れたのなら、3000年も引き籠ってはいないでしょう。
ことん優しくて、誰よりも強い筈なのに弱い自分が大嫌いで、そんな彼女らしい。
だから私は応援したくなっちゃうのです。
そんなエディルアを救ってくれた、アリスちゃん達共々。
少しでも、彼女達のこれからに多くの幸があらん事を。
まあ、そんな事は一先ず置いておくとして。
今は綺麗な庭園をお散歩中のアリスちゃんを愛でる事にしましょう。
「あぁ……アリスちゃん。私のアリスちゃん」
この光景は鼻血ブーです。
素晴らしすぎます。
目に焼き付けておきましょう。
「ちょっとアレイシアさん……。スクリーンに引っ付かれると、僕、また見えないんだけど……」
そんな二人の神様は、今日も変わらず彼女達を見守り続ける。
一人増えた、新しい仲間の事を祝福しながら。
読んで頂きありがとうございます。
次回から新章にするつもりです。
章とかぶっちゃけ全然考えて無かったので、これでキリが良いという事にしようかと。
また気の向いた時に読んで頂ければ、そして少しでも笑って頂ければ幸いです。