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アリスさんはテンプレを知らない  作者: 干木津上
アリスさん、異世界へ行く
27/89

アリスさん、新しい魔法を知る

暫く後。


エディルアとソフィア隊長が元の席に着き、目を赤くさせたソフィア隊長が気恥ずかしそうに口を開いた。


「……す、すまなかった、胸を貸して頂いて。その上、服も漏らしてしまって」


「ふふ、いいのよ。この服は私の魔力で造ったものだから。それに泣いてる貴女は中々可愛かったわ」


「そ……そんな事は……からかうのは止めてくれ」


そう言って赤い顔を手で覆うソフィア隊長。


ほほう、可愛いではないか。



「さて、そろそろお二方はお眠りになられたらいかがでしょうか?随分遅くなってしまいましたので」


少し他愛無い会話を交わした後、頃合いを見てヘデラがそう切り出した。


思えば、だいぶ時間が経ってしまった気がする。時計が無いので詳しい時間は分からないが、日付はもうとっくに変わっているだろう。


今日一日、色々とあったソフィア隊長とブラン隊員は、いい加減休みたい筈である。


前世は人間だった私には分かる。


「そうだね。じゃあ明日の昼頃に起こすから、起きたらリアデに行こう」


今から昼頃までゆっくり寝れば疲れもとれるだろうと思っての私の提案は、すんなりと受け入れられた。


明日は昼からリアデの街に行き、ソフィア隊長は引っ越しの準備、私達は冒険者とかいうやつだ。


さっきのソフィア隊長の話に出てきたので、それがどのようなものかを尋ねると、簡単に言えば魔物を狩るとお金が貰えるらしい。

前世の害獣駆除みたいなものである。

探検家では無かった。


そして後は、ソフィア隊長がうちに住む事と、その事のあらまし程度はソフィア隊長のお父さんに話しておいた方が良いだろう。

無断でいなくなるのはきっと心配する。


「では、起こす際はわたくしが声をおかけ頂します」


「何から何まで申し訳無い……そうさせて頂くとしよう」


「すみません、お世話になります」


そして、二人は就寝する。


……が、問題がある。


そう、二人の寝る場所。具体的にはベッドが無いという事。


床はタイルのような、見たまんま石なので、当然寝るには硬すぎる。

椅子も硬い。

布団もない。

というか、お客さんに床で寝ろだなんて言えない。


「もう、勿体振らずに魔法創っちゃお」


なのでそういう結論に至った。


新たな魔法を創り出す事が出来る「魔法創造」とかいうスキルで、ベッドとかその他の家具とかを作れる魔法を創ってしまおうという魂胆である。


しかしこの魔法は一度きりしか使えないらしいので、少し勿体なくも思う。


将来、他の良い魔法が思い付くかもしれない。

今使えば、その時に後悔してしまうかもしれない。


しかしそんな風に勿体ぶって死蔵していると、どんどんと使い時が無くなっていく気がするのだ。

その方が勿体ないと私は思う。


因みに、私は好きなおかずを一口目に食べるタイプである。


いっその事、思い切って今使ってしまうのも良いだろう。


「あら、魔法創造使っちゃうの?一度しか使えないのでしょう?いいの?」


「そうだけど。こういうのって結局勿体振って中々使わないから、いっそ思い切って今作っちゃおうと思って」


「どのような魔法を創造されるのですか?」


どんなのにしようか?


家具を作る魔法というのは流石に使い道が限られ過ぎる。

どうせなら、他の物も作れるのがいい。


「……『想像した物を具現化する魔法』とか」


それだ。

今日の私は冴えている。


前世の使い慣れた物を具現化したりしよう。

取り敢えずはベッド。


「それはまた……色々と過ぎる魔法ね」


「流石はアリス様です。魔法のような魔法ですね」


魔法のような魔法。確かに、言い得て妙である。


しかしこの魔法を創るのなら、一度切りの魔法創造も最早惜しくは無い。


なので早速創る。


「……出来た」


二百億ほどの魔力が一気に消費され、それだけで「想像した物を具現化する魔法」があっという間に創れてしまった。


やはりこの世界は色々と凄過ぎる。


「……何かするのか?」


私達から寝るのを提案しておきながら放っておかれたソフィア隊長が、少し不安気に尋ねてきた。


きっと早く寝たいのだろう。分かる。

待たせてしまって申し訳無い。


「アリスが新しい魔法を作ったのよ」


「新しい魔法を……作った……」


「……真祖という種族の方々はそういう事も出来てしまうのですか?」


「アリスが特別なだけよ。何せ創造神様のお気に入りらしいからね」


「……とんでも無いお方だな」


「その通りです。アリス様は偉大なる始まりの真祖にして、真祖の姫君であらせられるのですから」


皆が話している間に私は自分のステータスを出して、新しい「想像した物を具現化する魔法」を確認する。



ーーーーーーーーーーーーー


名前:アリス


種族:真祖


性別:♀


年齢:1


職業:真祖の姫


識別:始まりの真祖


レベル:6


称号:創造神のお気に入り

   転生者

   不滅

   始まりの真祖

   魂の超越者

   夜闇を統べる者

   唯一の存在

   全裸の放浪者

   黒死を解き放ちし者

   人類の敵対者

   魔術の禁忌者

   アレイシアの天使


魔力:44212846989/86658296601


スキル:始まりの真祖


    呪耐性(Lv.MAX)


    時空魔法(Lv.5)


    具現魔法


    原初魔法(Lv.MAX)


    死霊術


    無詠唱


    飛行魔法(Lv.MAX)


    アイテムボックス(血の収納)


    環境順応(中)


    不汚


装備:アリスの衣装一式


加護:創造神の加護


   魔術と魔法の女神カゲラエの加護


   死神エディルアの加護


   終焉邪龍エディルアの加護


   龍神エディルアの加護


   最上位神アレイシアの加護



ーーーーーーーーーーーーー





 具現魔法:想像した「実態があり、見たことがあり、且つ実在する物、物質」を具現化させる魔法。膨大な魔力と想像力が必要であり、具現化させる物、具現化させた物には創造神のチェックが定期的に入る。



「魔法創造」が無くなり、新たに「具現魔法」が増えていた。


私が思った通りの、「想像した物を具現化する魔法」である。


「出来てる」


「凄い魔法だな……。創造神様のチェックが入るのか……。しかしエディルア殿もそうだが、アリス殿のステータスは凄まじいな」


そう言って、私のステータスをまじまじと眺めるソフィア隊長。


私のステータスは凄まじいのか。


まあ、魔力八百億とか、確かに凄まじく多いのだろう。

人間の成人男性の平均が三百とか書いていたし、その……何倍だ?

兎に角、驚くのも無理は無い。


神様のチェックが入るのは、きっと良からぬ事に使わないようにということなのだろう。

あの神様は何も説明してくれないくせに、こういう所は親切だ。


それとも、説明しない理由が何かあるのかもしれない。


……何だろう。


説明しちゃうと、私が新しい世界の事を知る楽しみが無くなるから、そうならないよう、自由に生きられるようにと思ってくれたとか?


もしそうなら、超いい神様だ。ありがとう神様。



そして、いつの間にか称号が増えていた。



 アレイシアの天使:この世界の最上位神、アレイシアの天使に任命された証。アレイシアの深い寵愛を受ける存在。この者の為ならば世界が滅んでも惜しくはない。

全能力値極大上昇


 最上位神アレイシアの加護:?????




私、何か知らないが、この世界の最上位神とかいう神様の天使に任命されたらしい。


アレイシアさん。

創造神からの手紙に、エディルアへの言伝を書いた神様だ。


その神様の天使に私が任命されたという……。


何だろうか……意味が分からない。


ので、放っておこう。


「……じゃあベッド出すから、部屋に行こ」


二人に沢山ある部屋を適当に選んで貰い、このお城に似合うようなデザインの、天蓋付きのキングサイズベッドを具現化してそれぞれの部屋に置いた。


私はこの世界のベッドがどのような物かを知らない。


なので、前世の科学技術の詰まったいい感じのベッドと寝具を具現化したのだが、それに「こんなベッドは貴族の家でも見た事が無い」と一頻り興奮した後、二人は漸く身体を休めた。


騒がしい人達である。



そして、これからは私達、寝なくても良い組三人の時間である。


せっかくヘデラがお家、基お城を作ってくれたんだから、私は色々と模様替えを楽しもうと思うのだ。


さっき創った魔法を使えば、購入から取り付けまで全てロハである。


流石は魔法の世界。便利なんてものじゃ無い。

前世なら確実にダメ人間になる。


「私、朝まで家具とか色々作ってる」


「ではわたくしは正面の庭園とその他を仕上げてまいります」


「じゃあ私はその辺をお散歩してるわ」


ヘデラとエディルアはお城の外へ出て行き、私はお城の中を見て周りながら、早速タンスや机、絨毯、調度品など、このお城に似合いそうなデザインのものを、自分の趣味と想像力をフル稼働させて作り出して行く。


こんな大きなお城を、全て自分の好きなように模様替えが出来るのは超楽しい。

私はノリノリで色んな物を配置していった。


中でも頑張ったのが水道。


「そうだ、トイレを作ろう」と思い立ち、部屋の一つをトイレ用にして、中に洋式の便座をドンと出すまでは良かったのだが、如何せんこのお城には下水道は愚か、上水道すら無いのだ。


便利な魔法が使える世界とはいえ、水道が無いのでは色々と不便である。

トイレも水洗式に出来ない。料理も出来ないし、お風呂にだって入れない。


まあ、私には全て必ずしも必要では無いのだが、人間であるソフィア隊長が一緒に住むなら無いと困るのだ。


なので、上下水道管をお城内に通す事にした。


土魔法でちょちょいとやって、お城の石壁や柱の中に、具現化したパイプを埋め込み、枝別れさせた先を必要な部屋の壁から蛇口と共に生やす。


お城の横の湖の中に、お城より高い石造りの貯水棟を浄化装置付きで作って、お城のパイプを繋げる。

貯水棟の中には水魔法を使って水をこれでもかと溜めれば、後は水位差でお城の方で蛇口を捻れば勝手に流れるのだ。

あっという間に上水道の完成である。


下水管も同じようにお城の床や柱の中にパイプを通して、全ての出口を一つに纏めてお城の外へ。

そこに私が時空魔法でゲートを一つ設置して、排水は全て私が新しく作った広大な異空間の上空にダストシュート出来るようにした。

定期的に別の異空間を作って繋げ直せば良いだけという処理要らず、手間要らずな上に環境にも優しい仕組みである。


しかして、色々とお城の内装を弄くっていると直ぐに朝が来た。


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