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プロローグ

 むかしむかし、あるところに美しい人魚の娘がおりました。

 きらきらと輝く青銀髪に海色の深青の瞳を持った娘は、海の王の娘でした。

 ある日、海の王の娘は地上へやってきて、そこで運命の恋に落ちました。

 王の娘、稀有なる美貌を持った彼女が故意した相手は沿岸の小さな王国、コゼントの若き王子でした。

 二人は愛し合いました。

 人魚の姫は人の姿へとなり、王子の元へ身を寄せました。

 これに怒りを示したのは人魚の姫の父親である海の王でした。

 海の王は可愛い娘を愛しておりました。

 人と人魚は種族が違う、幸せに離れないと父は娘を諭します。

 しかし、娘も反論をしました。

 人魚と人との間に愛は存在する。

 わたし以外にも人の子を伴侶に選び、陸へと上がった人魚は数多存在する、と。

 確かに少なくない人魚は、伴侶を人間に求めることもありました。

 沿岸国には人魚の血を引く者が多数住んでおりました。

 海の王は、自分の守るべき民が海を捨て陸へと上がることにも不快な思いを抱いていました。

 娘と父の意見は真っ向から対立をし、平行線のままでした。

 そこで父王は一計を案じました。

 海の王の魔法の力で、人の姿に変わった娘を人魚の姿に戻したのです。

 魔法の力は強大でした。娘は自らの意思で人の姿を取ることができません。

 愛する人と引き離された娘はしかしあきらめませんでした。

 同じく深く人魚の姫を愛していたコゼント王国の王子は愛する人を取り戻すために海へと出ていきました。

 再会した二人はお互いに唯一無二の存在であることを確かめ合います。

 お互いに誓いました。

 海の王の魔法に、呪いの力に屈しない、と。

 二人は見事魔法の力を打ち破り、娘は人間の足を取り戻しました。

 そして、二人は結婚し、仲睦まじく暮らしました。




 しかし。

 娘を失った海の王の嘆きは深いものでした。愛する娘が陸の世界で幸せになれるのか、また陸へと上がった海の民たちは本当に幸せなのか。

 海の王は毎日悲しみにくれました。

 やがて悲しみに魔法の力が宿りました。

 その魔法の力は海の民、人魚の血を引く者たちへと向かいました。

 先祖返りというものでしょうか。

 人魚の血を引く赤子たちの間で、まれに人魚へと先祖返りする子が現れたのです。

 呪いの影響や引く血の濃さによって人魚になる日数は人によって様々です。

 ある者は月に一度、ある者は月に数日などです。人魚返りと呼ばれるこの症状を破る方法はただ一つ。

 それは……。


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