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哀愁の副産物  作者: たこみ
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第一話 たゆたう

 会いたい人がいる。


 三十歳を目前にして失恋をした今の私は、精気の無い顔をしてまるで廃人のようになってしまっている。


 憎らしいほど口のうまかった元カレにはお金を無心されたあげく逃げられ文無しになり、お先真っ暗になった私は金輪際恋愛などしないと心に誓った。



 失意の中現実逃避をするしかなくなったので、近頃では中学時代に想いを寄せていた松本くんを頭に描くようになった。


 非情な元カレに変な病気までもらってしまい、心のケアのために長い間胸の奥底で温めていた彼への想いを溜め息交じりに回想してみる。


 記憶に残っている松本くんは痩身で、一重まぶたをした和風の顔の少年だった。


 女生徒からはその容姿から密かに人気が高かったが、周りの男の子たちとやんちゃにはしゃぐというような姿を見かけたことはなかった。


 中学一年生のときに同じクラスになったきり接点がなかったが、その後の二年間、私は彼の姿を目で追い続けていた。



 中学を卒業すると彼は偏差値の高い私立の男子校へ進学し、私は地元の公立高校へ進んだので、次第に彼のことを思い返すことがなくなっていった。


 しかし忘れた頃になると必ずと言っていいほど夢に登場したり、振られたばかりの今のような状況になると甘い思い出として頭の隅をかすめるのだ。



 彼は今いったいどうしているのだろうか・・。


 相も変わらずあの端正なマスクをしているのだろうか。



 ロマンチックな思い出に浸っていると現実を忘れることができるのだが、私の顔からはすぐに笑みが消えてしまう。


 仮に偶然彼に会えたとしても、今の私は自信を持って彼の前に出られるのだろうか・・。






新しい作品です♪

よろしくお願いします(^-^)

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