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05

「父上、無事儀式を終えました」

「おお、ルーク帰ってきたか。でどんな加護を受けた?」

「創造の加護です、属性は見たこともない文字ですが……」

「どれ、見せてみろ」

そういってオーウェンは私のカードをまじまじと見つめる

「ふむ、確かに見たことが無いな」

「属性を調べたいので、屋敷の裏庭を使っても?」

「構わないぞ、使ってくれ」

「ありがとうごさいます、直ぐに属性を突き止めてみせます」

「……あぁ行って来い」

「行ってきます」

ん?オーウェンの表情がいつもと違ったような……気になるが、今は実験が優先だ

そういって私は裏庭へ駆け出した……まではいい物のどうしたもんか

"United State of America"か……風の属性で風を創造する

ならばこれは合衆国を創造する?


そうこう考えていると裏庭に着いた

ここは裏庭といいつつもただの原っぱだが、加護の実験には都合がいい

「とりあえず何か試してみるか」

合衆国……合衆国を創造、例えばシンボルたる……

「星条旗」

一瞬目の前が揺らめいたと思ったら、そこには見慣れた星条旗がはためいていた

「嘘だろ……」

自分でやっといて何だが、眼前で起きた出来事を理解しきれない

「だったら次は自由の女神……そのまま出てきたら困るから置物にしておくか」

再び目の前が揺らめき、50cm程の自由の女神像が現れた

「ハハッ……」

最早笑うしかない

「つ、次は……M1911……」

合衆国が生んだこの伝説の拳銃は前世の私の愛銃だった

現れたM1911を私は握る

「懐かしい感触だ……」

まだこっちの世界に来てそこ迄経過していないが、もう二度と見ることはできないと思っていたそれに、私は何年も経っていたような懐かしさを覚えた

「M4」、「トンプソン」、「ブローニングM2」、「ジャベリン」……

気付けば銃火器の山が出来ていた

足が震えている……私はとんでもない力を得てしまったのかもしれない

なにせこの世界のメインウェポンたる弓や加護の射程はせいぜい長くて2、300m程度だ

それに対し銃は500m、長いもので2000m以上に達する

どうなるかは火を見るより明らかだ

しかし元軍人として、そして領主の息子として力を得た以上、護る為に使う義務がある

……いや単にこの状況を正当化したいだけかもしれない



「ハァ……」

深呼吸をして落ち着いた私は次の段階に移る

「ハンヴィー」

銃と同じ様にそれは現れた……だがとある物が視界に移ると私はそれに釘付けになる

「なんでドライバーが」

ハンヴィーの運転席には合衆国陸軍の戦闘服に身を包んだ兵士が乗っていた

私が固まっていると、彼はハンヴィーから降り、スタスタとこちらに歩いてきた

「創造していただきありがとうごさいます。ご命令を、司令」

「あー、えーと、では質問に答えてくれ。君は……その、人間なのか?」

「そうですね、私は確かに医学的には人間です。……ですが加護の面から云えば召喚人、といったところでしょうか」

「召喚人?あー、つまり召喚獣の人間版だと」

「はい」

「飯は……食うのか?」

「食べることは出来ますが、必須ではありません」

「そりゃあ便利でいいな、えーと名前は?」

「名前はウェッジで、階級は伍長です」

「分かった、ではハンヴィーと、この銃火器の山を見張っておいてくれ、他にも創造出来るか試してみるから」

「了解です。司令」


まさか兵士まで出てくるとは思わなかったがこれは便利だぞ、教育をすっ飛ばせるから予想より早く戦力化出来そうだ

「よし次はヘリだな」

空軍出身としては早いとこ航空機が欲しいところだ

「HH-60 ペイブ・ホーク」

現れたヘリのコックピットを見ると、予想通りパイロットが2名乗っている

私はヘリに乗り込みパイロットに話しかける

「今から飛ばせるか?」

「はい大丈夫です。創造されたばかりですので、整備も完璧です」

「結構。この辺りの上空を一周りしてくれ、10分程度でいい」

「了解。エンジンスタート」

パイロットがエンジンをスタートさせると2基のターボシャフトエンジンが甲高い音を立て始める

「パイロット、準備が出来たら直ぐに飛んでくれ。領主が来たときに私が不在だと面倒だ」

「了解、では離陸します」

体がフワリと浮く何とも言えないこの感覚……懐かしい

私があれこれ考えているうちにどんどん機体は上昇していく

衛兵がこっちを指差しているのが小さく見えた

「まあこんなもんみたら驚きもするか」

そうしているとあっという間に10分が経ち、ヘリは元いた場所に着陸する

そうしていると、待っていたと言わんばかりの表情でオーウェンが現れた

「ルーク、領主としてお前に話があるんだが」

……案外早かったな



今後は週一ペースを目安にしたいと思います


登場兵器の解説

M1911

名前の通り1911年に米軍に採用された拳銃で、現代の自動拳銃の祖とも言える存在

二度の大戦を通じて活躍し、高いストピッングパワーを持つ.45ACP弾を採用した本銃は多くの兵士に愛された

登場から100年以上経った今でも多くの人に使われている名銃である


M4

正式名称はM4カービン、M16を元にした現代アメリカ陸軍のメインウェポン

米軍だけでなく各国の警察や特殊部隊でも広く運用されている

高い拡張性を持ち、数多くのアクセサリーを装着することが可能


トンプソン

正式名称はトンプソンM1短機関銃、M1911と同じく.45ACP弾を採用している

1942年に設計された本銃は、トンプソン・サブマシンガン(通称トミーガン)を元とし、戦時量産型として第二次世界大戦時に大量生産された

大戦ではアメリカ陸軍でBAR等と共に運用されたが、M16の採用によりベトナム戦争を最後に姿を消した


ブローニングM2

正式名称はブローニングM2重機関銃、採用は1933年と古いが現代でも各国の軍隊で使われている、銃器界の生けるレジェンド

その信頼性と完成度の高さ、そして12.7mm弾の高い威力が特徴で、その汎用性の高さから戦闘機、ヘリ、対空機銃、車載と数多くのバリエーションを誇る

また狙撃銃として使用された例もある程の精度を持つ

自衛隊や海上保安庁でも採用され活躍している


ジャベリン

正式名称はFGM-148 ジャベリン、いわゆる対戦車ミサイルだが、建築物や低空を飛行するヘリを攻撃する事も可能な高性能な兵器……なのだがその性能と引き換えに非常に高価になってしまい、あのアメリカ陸軍でさえ訓練にはシミュレータを使用する

初陣はイラク戦争

類似する兵器としてイスラエルのスパイク LR/MRや日本の01式軽対戦車誘導弾が存在する


ハンヴィー

M151(ジープの後継)の後継機として開発された車両、4〜6人が登場可能で、現代アメリカ陸軍を支える"足"である

上記のブローニングM2など多くの兵器を車載武器として使用することが出来る

近年の市街地戦に対応するため装甲の強化やIED対策が施されたが充分な防御力を確保出来ず、MRAPと呼ばれる車両の配備が行われている


HH-60 ペイブ・ホーク

UH-60 ブラック・ホークを元にシコルスキー・エアクラフト社が戦闘捜索救難ヘリコプターに改修した機体

12名もの人員を乗せることが可能で戦場のみならず、緊急航空患者搬送や災害救助等にも出動している

日本のUH-60J救難ヘリコプターに相当する役割をもつ

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