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「マーク司令、先日の件なのですが」
「ん?あぁ……それは予定通りにする事になりそうだ」
「了解です、あの、何か良い事でもあったのですか?」
「まあそんなとこだ」
歩きながら部下と話していると、何時の間にか頬が緩んでいたようだ
いかん、いかん……
アメリカ中央軍司令官マーク空軍大将、それが私の肩書だ
アメリカ中央軍初の空軍出身司令官と言う事ではじめは注目されたものだがそれも最初だけ、今ではすっかり馴染んだものだ
そんな話はさて置き、方面軍司令官の私が何故こんな間抜け面を晒しているかと言うと、昔、家を飛び出して以来音沙汰なしだった息子が孫を連れて帰ってきたのだ
今度の休みに親子水入らずで呑みに行くことにもなったし、何より初孫に会えるとあって、私のは年甲斐も無く心が昂ぶっていた
「では私はこれで失礼します」
「ああ、ご苦労s――!」
しまった、私とした事が階段で足を……
「司令!」
後頭部に衝撃を感じると同時に、私の意識は途絶えた
幸せだったはずの私はあまりにも呆気なく死んだ…