第13話 傲慢の<神>
また旅を続けていると、道中で<神>が弁舌を振るっていた。この世界にいるということは腹話術師の類に違いない、と中間者は思う。
彼はこう言っていた。
「おお、我が創造物よ、万物よ、私はお前たちを歓迎している! なんと見事で素晴らしい我が光景が、月を仰ぐのか! なんと素晴らしい水面が、かの月を煌めかすのか! お前たちのように従順な物を、私は今まで知らなかった、私は今まで見て見ぬ振りをしてきた、だがお前たちは素晴らしい、私が賞賛するまでもなく、限りのない崇拝を孕んだお前たちは限りもなく素晴らしい、そうだ、それは言うまでもなく、私と私のかの仮面の賜物なのである、そうなのである……おお、おお、お前たち、なぜそう謙遜する? お前たちは人々を感動させ、笑わせ、虚無にさせ、苛立たせ、自浄させ、依存させ、そして信者にさせるではないか。お前たちは本当に素晴らしい物達だ。だが礼は言うまい、むしろ感謝するのはお前たちの方である。お前達は私というものがなければこの世に生み出でては来れなかったのだから。
さて、人形のことを話そう。人形と言っても、かの怠惰な腹話術師の人形ではない。私の人形のことである。彼ら、人形は永らくの間、我ら<神>とお前たちが操っていると考えられてきた。私が天地を創造し、お前たちが舞い狂う。それを観客は見て、我らを崇拝するのだと。だが、それは違う。確かに表向きでは、我らは彼らを操っている。だが、実際は彼らが我らを操っているのだ。観客は我々の劇が閉じれば、次の劇を寄越すよう懇願する。それこそ、頭を地につけて。それを見て、私はまた天地を創造し、お前たちをそこに放して舞わせるが、このとき、私もお前たちも、無意識のうちに彼らのことを頭に巡らせている。
最近、彼らはよく仮面を求める。彼らは仮面をつけて天地を作る道化と、そこで舞う道化が大好きなのだ。それを理解し、私は仮面をつけるが……これを、彼らの支配と言わずしてなんと言おう?」
少女は嘲笑し、心の内で呟いた。
「なんと哀れな。彼の考えは考えにもなっていない。おかしすぎる。月の毒がここまで回ったか、それとも彼の頭が弱いのか? どちらの一方的な支配も存在しないだろう? 観客は動かず、動くのはただ<神>のみ。傲慢もいいところだ」
中間者はまだ思うところがあったが、彼の声を聞いていると突然頭痛に襲われたので、足早にその場を後にした。




