08.ハーフエルフの鍛冶屋
ミニ人物紹介
早とちり話聞かない主人公 クウヤ
悪戯っ子美少女ヒロインエルフ アイナ
影薄い美男子エルフ オルテ
これを最後にもう出番ない村長 ボルク
トウヤの弟子。人族最高の鍛冶師 オウル
名前無いオウルの弟子 青年
声だけ出演、ハーフエルフ鍛冶師 トウヤ
エルフの村へ戻ろうとしてもいっこうに
自分の居る場所の見当さえ付かない
そういえば、エルフの村と言えば結界云々がって良く話では聞くが
もしかして?あれ?それじゃあもう出られないし戻れない・・・?
俺はガックリと膝から崩れ落ち力尽きた
「プ、プププ、ブゥー。ケホッケホッ」
と噴出す音とむせる音が聞こえて
振り向くと其処にはアイナとオルテの姿があった
「あははは、はーお腹痛いよー」
腹を抱えて笑うアイナに怒りよりも恥ずかしさよりも
ほっとしたと言うのが一番だろうが
膝から崩れ落ちる真似をオルテがし
そのモノマネで笑い続けるアイナ達に段々と怒りが込みあがる
「もういいだろその辺で!!」
「だって何も言わずに村から出て行くからでしょ?」
ぷんぷんと頬を膨らませお怒りのアイナさん
ここは素直に謝って森から出して貰うのが良いだろう
ごめんなさいと2人に謝り、そのまま森の外へと案内して貰う
やはりエルフの村のテリトリー内では
エルフが同行するか、とあるマジックアイテムが無いと抜け出す事は出来ないのだ
「それじゃぁ、ありがとう」
俺はリオンと言う街に行くからと、2人に別れの挨拶をし手を振る
が、2人は横に並び俺の行く方向と同じ方向に歩き出した
「え?」
「「え?」?」
俺の疑問の声に、同じ問いが返ってくる
エルフって基本森から出ない掟があるんだ!とか
私たちが手伝えるのはここまでだ!みたいのじゃないの?
そんな事を聞くと
「えー、なにそれ?」
おじさんの考え方チョー古いんですけど~
みたいなのが帰ってきた。ちょっとショック・・・
そういう事で3人旅が始まったのであった!!
道は長かった、あんな事やこんな事が!!イヤー、タイヘンデシタ
手抜きじゃないかって?いえいえ違います言葉で表せないことが数多くありすぎちゃって
俺のレベルもいつの間にやら60台に・・・
とうとう俺たち3人はリオンと言う街に辿り着いたのであった
「ふぅー結構遠かったな」
「だねぇ~、こんな遠い所まで来たの初めて」
「中々骨のある魔物達だった」
リオンの街はあまり大きいとは言えない
いや、凄く小さな街であった
冒険者のギルドやその他のギルドが中央にかたまり
その近くに宿屋もあるが、今までの街と比べると規模が小さい
ギルドには1人の受付がいるだけなので
そこからでも規模の小ささは伺える
とりあえず、泊まる所を確保するために宿屋に行くと
元気で可愛らしい女主人が切り盛りしている
100年以上続く歴史ある宿屋で料理の腕も一流で
代々この宿屋に婿入りする夫は強面の無口な男が多いと言われているそうだ
どうやら、代々の女主人の好きな男のタイプが毎回同じなのだろう
俺ではどうも婿入りする事は出来ないだろう、真に残念だ
そんな事を考えていたら、横に居たアイナに睨まれていた
女の勘は鋭いようなので、気をつけよう
「鍛冶屋かい?それなら大通りを真っ直ぐ行ってあそこの通りを曲がったらすぐよ」
快く目的の鍛冶屋の場所を聞くことが出来た
部屋を取り荷物を置く。お礼を言ってとりあえずその鍛冶屋へGo
目的の鍛冶屋は直ぐにあった、やはり小さな街なだけある
しかし、ここで思いがけない事が!!
鍛冶屋はあったのだが、覗くと明らかに人族と思われる
青年が鍛冶を打っている
探しているのはハーフエルフの鍛冶師なのだ、まいったなぁ
「すみません、ハーフエルフの鍛冶師さんがここにいると聞いてきたのですが?」
「え?、大師匠のことですか?師匠、大師匠にお客さんが来てますー」
青年は奥に師匠と呼ばれた人を呼びに行った
奥から出てきたのは、100人に聞いたら100人があいつは鍛冶師に違いないと言うほどの
The鍛冶師が出てきた。
筋肉隆々でスキンヘッドに立派な髭を生やすダンディなおやじだ
「なんだ?師匠に用事か?」
「はい、名前はえーっとなんて言ったっけ?」
そういえば聞いてこなかったなぁ・・・横に居るアイナとオルテを見ると
「トウヤよ、ハーフエルフで鍛冶師のト・ウ・ヤ」
「と言う人です」
ダンディおやじに振り向きながら、最後の言葉を言う
「ふむ、なら師匠の事だな。ちょっと待ってろ連絡してみるからよ」
奥に何かを取りに行くダンディおやじ
何かを持ってこちらに戻ってきた
「こちら、リオン支部のオウルです。師匠応答願います。どうぞ」
マッチョダンディはこの世界とは場違いな物を手にし話している
俺はあれを良く知っている、俺が居た世界にあった機械だ
トランシーバーと言うなの機械なのだ
「ザーザザッ。こちら、トウヤです。久しぶりだなオウル、何の用事だ。どうぞ」
トランシーバーから声が聞こえてきた、この声の主が探していたトウヤと言う鍛冶師なのだろうか
「師匠に、お客さんが来ています。ちょっと待ってださい
えっと、そういやどんな用事なんだい?」
大事な説明を忘れていたようだ、まさかそんな直ぐに連絡が付くものだと思っても見なかった
マッチョダンディなオウルに説明する
「師匠にお願いがあるとの事です、どうやら師匠がお持ちであろう
オーパーツを貸して欲しいとの事です。どうぞ」
「ん?オーパーツ?そんなものあったかな」
トランシーバーの向こうから大きな独り言が聞こえてくる
「ダンジョンの最下層にあったアイテムの事だと言ってます、どうぞ」
補足説明をオウルに言ってもらう
「ああ、あれの事か。お客さんってのはどういった人達ですか?どうぞ」
「えーっとエルフが2人にハーフエルフが1人いてます。
ボルクと言う村長のエルフの村から来たそうです。どうぞ」
「あーボルクさんか懐かしいなぁ」
懐かしむような暖かい声が聞こえた
「了解だ、オウル俺の倉庫に小さな箱が3つ置いてあるから、それを渡して置いてくれ。どうぞ」
「師匠分かりました。そういえば、いつリオンにお帰りになりますか?どうぞ」
「んーまだ30年は掛かりそうだな」
そうですか・・・と少し寂しそうな顔をしたマッチョダンディのオウル
「俺が死ぬ前に帰ってきてくださいよ~。どうぞ」
「わはは、分かった分かった」
トランシーバの通信はそこで終わった
「それ、トランシーバーですよね?」
「お、にいちゃんコレを知ってるのかい?師匠はトランシーバーと昔呼んでいたけど正式名称は携帯魔道通信電波装置という名前らしい」
どうやら、このトランシーバーこと携帯魔道通信電波装置は
他には出回ってはおらず、いくつかあるこの鍛冶屋の本部と支部に備えてある
秘密道具だそうだ。
どういう原理なのかも分かってはおらず、代々支部の店長になると
師匠直々に使い方を教わるとか
これもオーパーツの一種なのかも知れない
アイナとオルテは未知のアイテムに興味津々でトランシーバーに釘付けだった
その間にオウルが小さな箱を倉庫から出してくる
その中には、見覚えのある物が入っていた
それは携帯電話であった、しかしその携帯電話は俺が使っていた物より
数世代以上は古い型であった
その携帯電話を手に取り確かめていると
急に単音のメロディが流れ出す、いわゆる着信音だ単音なので少し寂しい
先ほどまで電源は入っていなかった
電源を入れたわけでもないのに・・・
恐る恐る、でると
「ビックリした?」
と少し気の抜けた声が聞こえた、俺はこの声の主を知っている。そう、神様だ
「ビックリしましたよ、目が覚めたら森の中
チートって聞いてたのにレベル1で放り出されたんですからね!!」
「あ、あーごめんよ。こっちも時間が無くてさぁ。
・・・リアルタイムでアニメを見るタイプなんだよね」
最後の方は聞き間違えだったのだろうか、スルーしたほうが良いだろう
とりあえず、なぜこの世界に連れて来られたのかを含め説明を要求した
「とりあえず、魔王が復活しようとしているから
ちょっとひねって来てよ。それだけです」
「え?魔王?強いの?倒せるの?どこに?」
疑問で一杯です
めんどくさそうに答える神様に問いただし情報を引き出す事に成功した
どうやら、前回の勇者に倒された魔王の城にまたもや
魔王が出現しようとしている、少なからず暗躍もしているそうで
行って退治する簡単なお仕事です
強いの?って聞いたら、まぁ瞬殺される位には強いんじゃないかな?
って爆弾発言、現在レベルは60台。それで瞬殺ってどんだけ強いの?
「それじゃぁ頼みまーす」
そんな声を残し携帯電話が切れた、もうウンともスンとも言わない
「大丈夫?よしよし」
アイナが俺の頭を撫でる、どうやら絶望的な顔をしているのだろう
「にいちゃん、よく分からんが魔王討伐しに行くならこの刀を持っていきな!」
オウルの手には一振りの刀が握られている。その刀を手渡された
「上手く言えないが、にいちゃんは師匠に似ているんだ
同じハーフエルフって事もあるかもしれんがな」
ニッっと微笑む
オウルの至高の一品の刀を頂戴した
アイテム名 皇琉守藤家
価値 <1000>
説明 人族である名匠オウルの作
アフタールには存在しなかった
刀というジャンルの武器であり
魔力をも切り裂く力をもつ大業物
一目見ただけでも素人の俺にでも分かるほどのオーラがこの刀に宿っている
「本当にいいですか?」
「ああ、もってけ。武器は使ってこそ価値があるってもんだ
お前さんにはこの刀を使いこなせるだけの力と信念があると俺は見た」
オウルさんの期待に答え裏切らぬようにしよう
「ありがとうございます」
刀を腰に差し鍛冶屋を後にする
今日はもう遅いので宿屋に戻り
明日、魔王の城へと旅に出よう
「おい、ハーフエルフ!俺の出番はないのか?
もうちょっと会話に参加させるんだ!!つまらんぞ」
「うるさい!その辺で魔物でも狩ってろ!!」
「ポカッ」