10.最終回
ミニ人物紹介
出戻り主人公 クウヤ
映画に憧れるヒロインエルフ アイナ
出番なくて寂しい美男子エルフ オルテ
「やぁ、おかえり」
目の前には見た顔が笑っている、神様だ
「魔王討伐、おめでとう!」
「そうか・・・あの2人は無事か?」
「うん、2人は君の亡骸をもってエルフの村に帰って行ったよ」
「そっか」
「さて、ここでボーナスチャンス!!パフパフ」
「え?」
「あれ?言ってなかったっけ?魔王討伐クリアにより3つのお願いが叶えられます」
「・・・どこぞのランプか!」
「まぁまぁ、時間はたっぷりあるから気長に選んでよ。常識の範囲で頼むよ?」
「んーじゃぁ。元の世界にもどれるか?俺が死んだ時間の数時間前に」
「OK」
「んじゃ2つ目は、向こうの世界で得た力を両方の世界で使えるようにすることは?」
「んーいいでしょう!でも元の世界では1年後には魔力が無くなっちゃうから気おつけて」
「どういう事?」
「それは、言えない。神法に違反する恐れがあるからね」
「神様にも法律みたいなもんがあるのか・・・」
「そうなんだよ、上が五月蝿くてね困ったもんだよ
それより、最後の1つは?」
「3つめは、・・・・・・」
俺の名は空也
今は寝ころびながらテレビを見ている
今日もまたテレビで戦争の映像が流れている
「あれ?これうちの近くじゃね?」
俺は急いで貴重品だけを持ち
家であるボロアパートを急いで出た
『ドカーン!!!』
100m先にで爆発音が上がる
「「きゃーーーー」」「「うわーーー」」
そこ等じゅうで人が泣き叫ぶ声が聞こえた
『ドカーーーーン!!』
「誰か助けて!!子供が瓦礫の下敷きに!!」
俺の目の前でも爆発で置き瓦礫で子供が下敷きになり
母親であろう女性が叫んでいた
周りの人は自分の事でいっぱいいっぱいなのであろう
見向きもせず逃げ惑う
その女性と目があってしまった
「お願い助けて!!」
俺は瓦礫へと近づき持ち上げる
大型のドラゴンを振り回せるほどの力のある俺には軽いものだ
瓦礫の下には女の子がうずくまり泣いていた
「おーい大丈夫か?泣いてないでこっちおいで」
手招きをすると女の子が歩いて近寄ってきた
頭をポンポンと撫でるとグジュグジュの顔が笑顔にかわった
「ありがとうございます」
何度もお礼を言う母子に苦笑いをする俺は
「早くここを離れた方がいい」
と安全な方向へと2人を見送る
またも近くで爆発が起こった
その影から虎の獣人が率いた部隊が銃を乱射しながら
生き残った者を探している
「ククク、生き残りを見つけたぞ!!お前達ぶっ殺せ」
合図と共に銃を撃つ獣人達
しかし、その場所には俺はいない
一瞬のうちに虎の獣人の後ろへと移動し気絶させる
驚く他の獣人達を無力化するのにさほどの時間は掛からなかった
それから1年後に魔力が無くなった
元々魔力が少なかった世界で、世界各地で魔法を使えば
無くなってしまうのは当たり前なのだろう
石油のようなものだ、今まであった物だけで賄ってきていただけなのだ
補充することがかなわなかった
この後この世界がどうなったのか俺は知らない
もうここには俺は存在しなかったのだから
目が覚めると、俺は森の中にいた
いや、正確には覗き込むように美少女の顔が近くにあった
「わ!!」
「キャッ」
俺の驚く声に吃驚して小さな悲鳴があがる
デジャブかな?
前にもあったような展開
美少女は俺の顔を木の枝でツンツンと突く
「いたい、俺はウ○チじゃねぇよ」
この美少女に元の世界のアニメの1シーンを振っても通じないのは分かっている
「私はアイナよ!」
「ハイハイ、俺はクウヤだ。それよりもここは何処だ?」
「ここはエルフ族のテリトリーだ」
茂みから1人の残念美男子エルフが出てきた
「ちょっとオルテ、あなたの出番はまだよ!!
クウヤと私の運命的な出会いの場面なんだからね」
「すまないお嬢」
そう言うと茂みに戻っていくオルテ
「はい、もう一回。クウヤは目を閉じて寝転んで」
「ハイハイ、よいしょ」
現在俺はアフタールと言う世界に転移した
神様の3つ目のお願いは、この世界への片道切符の転移
こうして俺はこの世界に出戻った
「それじゃぁ行くわよ!最初のシーン、アイナとクウヤの運命的な出会いのシーン」
目を瞑りアイナ監督のスタートの指示を待つ
『チュッ』
唇にやわらかくほんのり暖かいものが触れる
「あれ?台本にこんなシーンあったっけ?」
「えへへ、アドリブもあるのよ」
茂み『ガサガサ』
「貴様!ハーフエルフ。お嬢の唇を奪うとは!!」
「待て!!俺は奪われた方だ!!」
本気の弓矢が飛び交う中俺は逃げた、あいつ本気で殺す気だ!!
アイナは笑い転げている
バカヤロウ早く止めろ!!
アイナに元にいた世界の映画と言う話をしたのを後悔した。
ちょっと早足で終わらせました^^;