和解
薗田の言うのは、正論だ。
ここではほとんどの者が、自らの責任を思うばかりに、個人の感情を後回しにしてしまう。
「いや、私が浅はかだった。
ロキへの負担や依存が大きすぎる事は、私も気になってはいたんだ」
大槻の言葉に、二人を見比べるようにしていた吉井も口を開いた。
「谷城君が年齢のわりにしっかりしている事に、甘えていた事実は認めなければならないだろう。
私も考えてはみたのだが、今回の呪い、焦って解けるものでもなさそうだ。
いざとなれば彼らも現状のまま戦闘に赴く事も不可能ではないというし、我々は彼らを支える立場をとる方がいいように思えるのだが」
大槻も薗田も、吉井の言葉にほっとして頷いた。
買い物中のトラブル、その後のロキの不安定さには過敏になり過ぎた、過干渉には充分気を付け、彼らなりのペースに任せよう、と結論付けた。
「大槻さん」
廊下で背後から呼び止められ、息を切らして駈けてくる薗田を待った。
「あの、すみませんでした、急に生意気な事を。
私、必死になっちゃって」
「いや、逆に、助かったというか、安心したというか。
こっちこそ、すまなかった」
自分ばかりがロキを守らねばと思い込んでいた。
薗田の必死さに触れ、焦り、行き詰っていたと気付いた。
大槻の言葉に、ほっとした表情を浮かべた彼女に、言葉を続けた。
「吉井さんも言っていたが、私自身、ロキに依存して、甘えてしまっていると思っていたんだ。
けれど、具体的にどうしていいかはわからなくて。
彼を保護したい、少しでも楽になれる事があるのであれば助けたい、私以外のみんなも同じように思っているであろう事を忘れかけていた。
薗田君の言うように、ロキは今、普通の状態ではない。
それを踏まえて対応するべきだった」
「ロキ君、早く元に戻れるといいですね」
懸命になるがゆえにぶつかる事もある。
けれど、元をただせばロキの手助けがしたいという意図は同じもの同士。
過ちは示唆し合い、力を合わせていけばいいだけの事。




