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15章 制度に感ずる勇者

 俺の借り受けた携帯から連絡すると、何かしらの痕跡が残るかもしれない。

 この国の司法機関を何処まで詐称できるか分からないが、少しでも俺に辿り着く可能性を減らした方が賢明だろう。

 そう判断した俺は、男達の懐を漁る。

 幾つかの身分証明書と共に携帯電話を見つけると、俺は救急車の手配を行った。

 この世界では電話一つで専用の自動車が駆けつけ、医療院へ患者を運んでくれるらしい。

 しかも救急車の料金は無料。

 本当に便利なシステムだ。


(問題はこいつらの容体だが……

 間に合うか?)


 四肢の腱を断ち切られ、影忍妖魔に生気を吸い取られた男達。

 今は動く気力すらなく痙攣を繰り返すのみ。


「はあ……仕方ないな」


 俺は嘆息すると男達に少しだけ回復魔術を施す。

 痙攣が終息し、呼吸が安定する。

 剣皇姫曰くこういったとこが俺のケツの甘さなのだろう。

 しかし自分に関わった者が死ぬのは何となく嫌だ。

 命を奪う事に躊躇するほど純粋ではないが、積極的に命を奪う程冷酷でもない。

 傷を塞ぎ体力を賦活しただけだが、これで救急車が来るまで間に合うだろう。

 まあ最も、色々喋られても困るので声帯を潰しておくのを忘れなかったが。

 その他、銃を持っていた者達からは銃と予備の弾倉を回収する。

 昨日から幾度か対峙してみて分かったが、容易に人へ力を与えるこの銃という導具は危険で警戒すべきものだ。

 だが使いこなせば戦力になるのも確かである。

 弩弓に似た構造なので、使用するのはさほど難しくない筈。

 弾の方も火のエレメントが内包されている為、魔術の触媒に出来るので便利だ。

 こうして俺は襲撃者の身分証明書と銃、そして女王へ繋がる手掛かりを得た事に満足しながら廃ビルを後にするのだった。


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